天界の反逆者となってしまってから、行方知れずで連絡もない。
みんなの前では、格上の存在なのでB様と敬称を使っていたけれど、二人の時は敬称はやめるように言われていた。
Bは仕事のない日はずっとそばに居てくれて
仕事の覚えが遅い私は、ミスが多いから…いつもBにフォローしてもらっていた。

目の前に落ちている髪を見て思い出す。

あぁ…Bは私の髪、好きって言ってよく撫でてくれたなァ…。
それなりに、Bのことを知ってたつもりだったけど、本当は何も知らなかったのかな？
どうして天界から堕ちてしまったんだろう？
その理由もよくわかっていない。
私に対しての気持ちをしっかりと伝えられたことは…なかったかもしれないけど、態度すべてが優しくて慈愛に溢れていて…ほんの少しでも愛してくれてるんだと、思っていたのに…。

立ち上がり、自分のデスクに戻る。
目の前に青い電飾が光る。UIプログラムの羅列が無機質で冷たく感じる。

刻々と時計の針が進み、赤い夕焼けが沈むと私の心の中みたいに、影を重く落として、同時に業務終了の鐘が鳴った。


・・・・・・・


自宅へと疲れた体を引きずりながら、帰路に着く。

今日も鐘が鳴った後、すぐには帰れなくて疲れた。

スプリングが鈍い音を立てるベッドへ、身を沈める。
日中の天使からの暴行を羽根で癒し切れていないのか、バウンドすると体が痛んだ。

ふっと目を閉じる。

堕ちる前には、次期神候補だと言われていた、秀才な彼…B。