貴女の名前を入力してください。
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「名前さんは、今は覚えてないみたいですが…オレちゃんアンケートを募集していて、リスナーの貴女が応募と言う形で提出してくれたんですよ♡」
そう言い、ノートパソコンを開くとメッセージを開いて私に見せた。
横に並び、液晶画面をトントンと黒く細い指の尖った爪先でノックする。
“ここ”と教えてくれている様だ。
私はその部分を覗き込んだ。
『あ…』
思わず声が漏れた。
アドレスが私のもので、間違いなかったからだ。
本文を読んでみると、文章の書き方も私っぽい…というより私だ。
びっしりと空欄を余すことないように埋めて書きたい!という熱意を感じさせる長文で綴られていた。
「オレちゃんと、デートがしたいって書いてありますよ~♡」
隣にいるブラックが、ニィ…っと目を細めてこっちを見てくる。
顔に急激に熱が集まって血が沸き立つようで。
その勢いで酸素不足の様な、クラクラとした眩暈に襲われる。
…今の私に覚えがないにしても、私が宛てたであろう本人が真横に居て、一緒にそのラブレター?に似た文を読んでいる状況なのだ。
それは…こうなってしまう……。
「こんな長文を宛ててくれた貴女に逢いたかったんですよぉ…♡」
糖度の高い声で、囁かれる。
笑みを深めて裂けた口許の、生え揃った犬歯が妖しく光る。
更に辱めるのはやめてくれと言わんばかりに、思わず距離を取って向かい合わせに居直った。
「貴女自身が後悔しないためにも、お望み通りにしましょう♡」
咥内のキャンディは力を入れればすぐに割れてしまうぐらいに薄く磨り減っていた。
微風が、頬を心地よく撫でてくれる。
髪の束が、するりと解けながら、風に乗って靡く動きを肌で感じる。
ブラックのことをちゃんと思い出せないままなのが、勿体ないなと思った。
こんな、“私が後悔しないために”なんて、言ってもらえることが何だか誇らしかった。
ちゃんと彼を覚えている好きな私を、認めて肯定してもらえているみたいで…。
『わかりました…、どうぞ、よろしくお願いします…っ』
深々と頭を下げた。
「カカカッ…じゃあ、まずは…プランを立てましょうね」
綿密に、一緒にプランを立てていった。
◇◇◇