貴女の名前を入力してください。
夢ならば。
空欄の場合は「名前」になります。
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「じーっ!」
「おや、固まっちゃってます?」
何も言えない私に対し、不思議そうに顔を傾げる男性は、ずいっと身を乗り出して私を覗き込んだ。
パーソナルスペースなどの配慮は一切なく、間近に迫った顔に驚いて、思わず尻餅をついてしまった。
『……わ、えっ。私、何のことか、全然わからないんですけど…ぉ…!』
自分でも間抜けだと思える震え切った声音で発する。
残念ながら、今の私にはそれが精一杯だったので、仕方ない。
しゃっくりをあげるように顎を揺らして、生唾を飲んだ。
「まさか、……記憶がない?ふむ…そういうパターンもあるんですねぇ。」
「じっっ」
「でも、面白そうですね。それもまた、一興です♪」
「じじ~!」
私を見下ろし、少し驚いたような表情をしたのも束の間。
にやりと口角をあげて、隣のカメラのような子?と自分勝手に話を進めている二人を、ただ手持無沙汰に見つめることしか出来ずにいる。
仲良さげに話す二人は、同時にこちらに顔を向けると、何も気にしない様子で話し出した。
「ここは夢の中です♪明晰夢…ってやつですかね?知ってます?」
腰を屈めると、手を差し出してきた。
「申し遅れました。オレちゃんはブラック。悪魔系ヨーチューバ―をしています。
訳あって、夢の中の名前さんに会いに来ました。夢の中って記憶が曖昧になることもあるんですよね。元のまま持っていることもありますが…貴女は前者の記憶がないタイプみたいですねぇ♪」
ニヤリ…と、その擬容音がしっくりくる…。
ブラックは、自己紹介の通りに、“いかにも悪魔らしく”口を裂いて妖しく笑った。
『明晰夢……聞いたこと、あります…。』
掴めないでいる、差し出された手を見て、空気を読んだ私は、どうにか掴まないと…と、おそるおそる近付ける。
その手を、ブラックは待ちきれないとばかりに掴んで引き起こした。
力任せに引き上げられた体は、何とか立ち上がるも勢いのせいでまた体制を崩しそうになる。
「おっと。」
と、よろけた私を庇う形で、腰を掴んで支えた。
「すみません、力…強かったですか?」
顔も体も近く、心臓が強く跳ね上がる。
人間離れした大きな三白眼と視線が合う。
肌も、きめが細かく見惚れてしまうぐらい…人間離れしていて綺麗だ。
「……、もしかして、あまり体幹ありません?」