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Paraphilia part2※後日談
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・・・・・・・
目覚めると、胸元まで肌触りのいいタオルケットが被されていた。
ベッド横で腰かけながら、ノートパソコンを見ているブラックがいた。
私が何も言葉を発せずに、ぼんやりとブルーライトに照らされたブラックの横顔を見つめていた。
全体的に暗い内装の部屋は、ブラックの趣味なのか…それとも悪魔だからそういう暗さを望むのか。
わからないが、普段はっきり見ない横顔が、明るく照らされている様子を何だか目新しく感じてしまった。
すると余りに凝視したせいか、視線に気付かれ目が合ってしまった。
ブラックは、ノートパソコンを閉じると、私の額に掌を伸ばしゆっくりと撫でてきた。
「起きたのなら声を掛ければいいのに…そんなに見つめて、どうしたんですか?」
黒の革手袋がさっきまで剥き出しで私に突き立てていた爪を隠している。
柔らかい肌の、穏やかな感触しか与えてこない。
ブラックの仕草に、頬が熱くなりただ見上げる。
「カカカ…♡変な子ですねぇ…さっきまでと全然違うじゃないですか♡」
微かに伏せた瞼で見下ろされる。
掌は、額から頬、そして唇までをゆっくりと指でなぞった。
「本当に…キミには“暫く”飽きなさそうですねぇ…」
と、呟いた。
その言い回しにどうしようもない胸騒ぎの様な不安を抱いて、私は起き上がって向き合うようにしてブラックの肩を掴んだ。
『……暫く?って…、なんで…?どういうこと、ですか?飽きたら…どうなるんですかっ?』
肩を掴む私の手が不快なのか、一瞬眉間に皺を寄せた。
そして、私の手を簡単に払うと表情をいつもの様子に戻して
「……さァ?飽きる飽きないは名前次第でしょう?飽きた先なんて…話す必要あります?」
そう淡々と話すブラック。
急に距離ができたように感じて、不安が拭えない。
冷めたような…そんな態度に見える。
『やだ、飽きないで…ずっと、傍に居てください…っ。お願い、です。』
跳ねのけられた手は、膝にあるタオルケットを掴んで震え、心のざわつきを押さえようとする。
「…オレちゃん、口約束嫌いなんですよね。そんな不確かなモノ。」
ブラックは、そう言うと少しだけ身を寄せて私との間の距離を詰めた。
そうして考える様な仕草で、顎に手を当てて私に視線を合わせた。
「オレちゃんの好きなこと、全て好きになってくれますか?」
『…好きに、なります。』
「捨てたくないものを、捨てることも厭わないですか?」
『……っ。』
その抽象的な言葉に対して、返答に詰まる。
ブラックのその言葉は、当て嵌めようとすれば全てが対象になるのではないかと推量し、的確な反応ができない。
私が、考えを深めるほどに手に痛いぐらい力が入る。
そのシーツを握り締めた拳に、上から包み込むように撫でながら手を重ねてくる。
驚くほどひんやりとした冷たい体温が、私を手の甲から覆う。
その温度が身に沁み、じわじわと広がるように感じる。
「そうしたらあるいは…ずっと貴女のそばにいるなんてことも可能かも、しれないですね…?」
何を考えているのかわからない無表情な瞳が私を凝視する。
低く冷淡な声色が、暗がりの部屋によく響いた。
“口約束嫌いなんですよね。そんな不確かなモノ…”と揶揄するに相応しい、不確かさしかないブラックの言葉。
「……ッ。…頑張る、から…っ」
喉から絞り出す声は小さく、苦渋で枯れて息苦しい。
でもこうやって縋りつくことしかできない。
…傍にいてほしい。その気持ちに囚われてそれ以外考えられない。
「カカッ…♡頑張ってください。」
そう口角をまた一層あげて満足そうに目尻を細めて笑んだ。
「もう、名前はオレちゃんでしか満足できない体でしょうから…♡」
・・・・・・・
――自分しか見えなくなって、他の人間からも疎まれてしまって、食み出し者になればいい。
躊躇しながら、ゆっくりと数多の垣根を越えて、もう戻れなくなればいい。
今この瞬間、堕ちてくるキミが愛おしいから。
キミが望むままに、覚めない悪夢であり続けましょう。
キミにとって、いい夢見心地のままで。
End
●後書き●
Paraphiliaは、ギリシャ語で「横に逸れた愛」って意味なんですって。なんかよいですよね。
性倒錯で依存してしまうendにしたくて…後日談と言う形で書かせていただきました。
もっとうまくまとめたかったんですが…ちゃんと描写できなくて申し訳ないです…😢
良識も倫理も取っ払って堕ちてきた貴女をブラックさんは大事にしてくれるはずです(*ノωノ)
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