宇佐見菫子と初めての後輩
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
そして放課後。
教室には私たち以外誰もいないが、お昼の時と同じ机の回りに集まっている。
「さて……他に人はいなくなったところで、宇佐見さんの番ね?わー楽しみだなー」
笑っているが笑ってない表情で柏野さんはこちらを見ている。
「あはは……あのさ、これってやっぱり話さなきゃだめ?」
「うさみーん、昼休みにあれだけ話を聞いてたんだからさ、諦めようよ」
時間も経ったことだし、もしかしたら別に話さなくてもいいよーっていうことにならないかなと思って聞いてみたのだが、やっぱり避けることはできないみたいだ。
「みちるのいう通りよ、宇佐見さん。諦めて」
「委員長まで……」
聞く気満々といった様子で委員長と柏木さんは姿勢よく椅子に座っていた。
逃げられないことを理解し、どこから話したものかなぁとか流石に忍び込んだ話とかは不味いよねとか色んなことが頭をよぎって、はぁ……とため息がでる。
意を決して顔を上げると八つの瞳が爛々とこちらを見つめ、私が喋りだすのを待っていた。
「んー……結構ざっくりと話すんだけど、私は入学当初は友達なんていなくてもいいし、そういうの作って群れるよりは一人で過ごしてた方がいいって考え方で、しばらくは結構周りにも冷たく当たっててね。まあ、そんなんだからとーぜん共通の話題で盛り上がれる人なんて学校には一人もいなくてさ」
改めて過去の自分の考えを口にすると結構傲慢だなぁと思ってしまう。
確かにこんなヤツが急に、しかも異性の友人を作っているとなれば噂になるのも仕方ないかもしれない。
「連休中にちょっとゴタゴタがあってね。それで友達作るのもいいかもしれないって思ったのよ。けど、その頃には自分から壁を作りまくっていたから改めてフレンドリーに接するなんて難しいじゃない?どうしたもんかなぁって感じたところにたまたま気になる独り言を言うのが現れてね」
「なるどねぇ、それでうさみんは共通の話題があったウッチーと仲良くなると」
「まあ、その後の事はだいたい宮東さんの言う通りなんだけど。……かなり雑に説明終わっていいならこれで止めたいんだけど……ダメだよね?」
ダメもとで聞いてみると、もちろんと言うように柏野さんは大きく頷く。
他になにか話すことあったかなぁ……とこの一年であったことを振り返ってみる。
勧誘して、学校に不法侵入して、夏休みにはたまたま遭遇したうえに励まされたり、勝手に勘違いしたり、お菓子を貰ったりあげたり……。
うん、どれも話しにくい事ばっかりだ。
「話すっていっても、なんかもう話題だしきっちゃってて……なんだろ、皆の方から聞きたいことってあったりするのかな?」
時間とかも考えると一人ひとつくらいの質問しか受けれないかもだけどと、こちらから訊ねてみることにした。
「聞きたいことって、いわれたら……それは、ねぇ?」
『ウッチー(山内くん)のこと好きなの?』
私以外の全員が顔を見合わせたあとに声を揃えて尋ねてきた。
「うぅ……やっぱりそうなるのね」
「昼に私言ったじゃない。『どうなのかくらいは話してもらう』って」
柏野さんは当然でしょ?といった感じだ。まぁ、ここまで来ると仕方ないというか諦めがつくというものだ。けど、うまく言語化できるかどうか……。
「どうなのか、と聞かれてもねぇ……」
「おっーと、そういう逃げは駄目だからね?」
「いや、逃げとかそういうのじゃなくて!本当にわからないのよ。さっきも言った通り友達とかいなかった訳だし……どういう関係かって聞かれてもどう答えるのが適切なのかなって」
「そりゃ、こういう話題に上がるならとりあえずは友達以上……じゃないの?」
友達以上か……言われてみると確かに近いかもだけど、なんかしっくり来ない。
「いやぁ、それはちょっと違うかな?」
「おぉ……まるであの歌詞みたいな問答……」
「かしすん、落ち着いて落ち着いて」
「あっ、ごめんね」
柏野さんの後ろでなにやら柏木さんが喜んでいるが、委員長と宮東さんに宥められていた。
そんな彼女らをよそに柏野さんは口を開く。
「まあ、そもそも男女間の友情が成立するのかって問題もあるものね。んー……それじゃあ仕方ないけど、宇佐見さんの意見を最大限尊重しつつ、私達の目的も果たすために、恋愛感情とかは抜きでいいからどう思ってるかだけでも教えてくれないかな?あ、当然分かんないとかでお茶を濁すのはなしでね」
仕方ないって……とは思いつつも口に出すことはしない。その代わりにため息を一つ。
でも実際、自分は彼の事をどう思っているのだろうか?と俯きながら考える。
恋愛感情……は分からない。けど、こっちの話を茶化さずにしっかり聞いてくれたり、たまの無茶振りに渋々とはいえついてきてくれたり……。振り返ってみるとそういう姿勢を信頼したりしていたのかもしれない。
そういうのを一纏めで言葉にするとなると。
「なんていうか……頼りにしてた、のかな……?」
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そして放課後。
教室には私たち以外誰もいないが、お昼の時と同じ机の回りに集まっている。
「さて……他に人はいなくなったところで、宇佐見さんの番ね?わー楽しみだなー」
笑っているが笑ってない表情で柏野さんはこちらを見ている。
「あはは……あのさ、これってやっぱり話さなきゃだめ?」
「うさみーん、昼休みにあれだけ話を聞いてたんだからさ、諦めようよ」
時間も経ったことだし、もしかしたら別に話さなくてもいいよーっていうことにならないかなと思って聞いてみたのだが、やっぱり避けることはできないみたいだ。
「みちるのいう通りよ、宇佐見さん。諦めて」
「委員長まで……」
聞く気満々といった様子で委員長と柏木さんは姿勢よく椅子に座っていた。
逃げられないことを理解し、どこから話したものかなぁとか流石に忍び込んだ話とかは不味いよねとか色んなことが頭をよぎって、はぁ……とため息がでる。
意を決して顔を上げると八つの瞳が爛々とこちらを見つめ、私が喋りだすのを待っていた。
「んー……結構ざっくりと話すんだけど、私は入学当初は友達なんていなくてもいいし、そういうの作って群れるよりは一人で過ごしてた方がいいって考え方で、しばらくは結構周りにも冷たく当たっててね。まあ、そんなんだからとーぜん共通の話題で盛り上がれる人なんて学校には一人もいなくてさ」
改めて過去の自分の考えを口にすると結構傲慢だなぁと思ってしまう。
確かにこんなヤツが急に、しかも異性の友人を作っているとなれば噂になるのも仕方ないかもしれない。
「連休中にちょっとゴタゴタがあってね。それで友達作るのもいいかもしれないって思ったのよ。けど、その頃には自分から壁を作りまくっていたから改めてフレンドリーに接するなんて難しいじゃない?どうしたもんかなぁって感じたところにたまたま気になる独り言を言うのが現れてね」
「なるどねぇ、それでうさみんは共通の話題があったウッチーと仲良くなると」
「まあ、その後の事はだいたい宮東さんの言う通りなんだけど。……かなり雑に説明終わっていいならこれで止めたいんだけど……ダメだよね?」
ダメもとで聞いてみると、もちろんと言うように柏野さんは大きく頷く。
他になにか話すことあったかなぁ……とこの一年であったことを振り返ってみる。
勧誘して、学校に不法侵入して、夏休みにはたまたま遭遇したうえに励まされたり、勝手に勘違いしたり、お菓子を貰ったりあげたり……。
うん、どれも話しにくい事ばっかりだ。
「話すっていっても、なんかもう話題だしきっちゃってて……なんだろ、皆の方から聞きたいことってあったりするのかな?」
時間とかも考えると一人ひとつくらいの質問しか受けれないかもだけどと、こちらから訊ねてみることにした。
「聞きたいことって、いわれたら……それは、ねぇ?」
『ウッチー(山内くん)のこと好きなの?』
私以外の全員が顔を見合わせたあとに声を揃えて尋ねてきた。
「うぅ……やっぱりそうなるのね」
「昼に私言ったじゃない。『どうなのかくらいは話してもらう』って」
柏野さんは当然でしょ?といった感じだ。まぁ、ここまで来ると仕方ないというか諦めがつくというものだ。けど、うまく言語化できるかどうか……。
「どうなのか、と聞かれてもねぇ……」
「おっーと、そういう逃げは駄目だからね?」
「いや、逃げとかそういうのじゃなくて!本当にわからないのよ。さっきも言った通り友達とかいなかった訳だし……どういう関係かって聞かれてもどう答えるのが適切なのかなって」
「そりゃ、こういう話題に上がるならとりあえずは友達以上……じゃないの?」
友達以上か……言われてみると確かに近いかもだけど、なんかしっくり来ない。
「いやぁ、それはちょっと違うかな?」
「おぉ……まるであの歌詞みたいな問答……」
「かしすん、落ち着いて落ち着いて」
「あっ、ごめんね」
柏野さんの後ろでなにやら柏木さんが喜んでいるが、委員長と宮東さんに宥められていた。
そんな彼女らをよそに柏野さんは口を開く。
「まあ、そもそも男女間の友情が成立するのかって問題もあるものね。んー……それじゃあ仕方ないけど、宇佐見さんの意見を最大限尊重しつつ、私達の目的も果たすために、恋愛感情とかは抜きでいいからどう思ってるかだけでも教えてくれないかな?あ、当然分かんないとかでお茶を濁すのはなしでね」
仕方ないって……とは思いつつも口に出すことはしない。その代わりにため息を一つ。
でも実際、自分は彼の事をどう思っているのだろうか?と俯きながら考える。
恋愛感情……は分からない。けど、こっちの話を茶化さずにしっかり聞いてくれたり、たまの無茶振りに渋々とはいえついてきてくれたり……。振り返ってみるとそういう姿勢を信頼したりしていたのかもしれない。
そういうのを一纏めで言葉にするとなると。
「なんていうか……頼りにしてた、のかな……?」
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