宇佐見菫子と初めての後輩
「……よし、山内は熱で休むと連絡がきてるからこれで全員いるな。」
今日は珍しくもう一人の部員は休み。……といっても休んだからと言って何が変わるでもないから、いつも通り授業を受けて、さっさと帰って向こうに行くくらいかな。
そんな感じでこの後の事を考えてるうちにホームルームは終わったらしく、1限目の準備のために室内が騒がしくなる。
「うさみーん、さっきの話の続きなんだけど……」
「それなんだけどさ、本人のいないところで変に答えるとまた変な噂がたったりするかもしれないからノーコメントでもいい?」
「えー、つまんないのー……。でも、しょうがないか」
もう少し粘られると思っていたが、わりとすんなりこちらの話を聞いてくれる。
……なんだろ、自分が変に思い込んでたのかな?
「ごめんね、宮東さん」
「いーのいーの。……つか、1限目って移動教室じゃん!早く行こ?」
ちょっと申し訳なくなって、謝ったが、彼女はそんなことは気にしてないような感じで私を急かしてくる。
「そうだね」
その勢いにつられて、珍しく誰かと一緒に別の教室に行く事になった。
いわゆる普通の女子高生はこんな風に日常を過ごしてるんだろうな。とかそんなことを考えながら宮東さんの後ろを小走りでついていった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
そんなこんなで普通の女子高生みたいな午前中を過ごし、今は昼休み。
普段ならこっそりと部室に入り込み、そこで一人のんびりとお弁当をいただいてるのだが……。
「そういえば、かしすんは今どんな感じなの?」
「ど、どんな感じって?」
「もー、とぼけちゃって。JKが五人も揃ったらここはピの話しかないでしょ?」
ね?と同意を求めるようにこちらを向く宮東さん。さすがにその辺りの話には乗っかれないと思い、やんわりと否定する。
「えっと、今日始めてこのグループに混ぜてもらう私をさも当然のように頭数にいれないで欲しいんだけど……」
「あーでも翠ちゃんの話は私も気になるかなー。委員長は?」
遮るわけではないけど、柏野さんの発言で抜け出すチャンスを逃してしまったようだ。けれど、委員長ならピシャリと拒否を……。
「……きょ、興味はあるわ」
まあ、JKだもんね。女の子ならそういう話に少なからずとも興味あるよね……。
「ほほーぅ。委員長は思ったよりムッツリということですな、みちるさん」
「そうですなー、紅菜さん」
「貴女たちねぇ……!」
「そんな委員長は置いといて。どうなのかしすん?」
「んー……。まあ、本気なのは伝わってくるかな。付き合う前にちょっと自暴自棄になって……言いにくい事になるんだけどね?生きるのを諦めようとしちゃったんだ」
(((思ったより重い話きちゃったぞ……)))
「それでもト……彼は諦めないで受け入れてくれて……」
かしすん……と呼ばれている柏木翠(かしわぎすい)さんの話をぼんやりと聞きながら今の状況を整理する。
今日はなぜか宮東さんに誘われて、柏野さんと委員長と柏木さんという普段はあまり話さない面々に囲まれお昼を食べていて、どうしてか恋愛の話題に巻き込まれてる。ほんとにどうしてこうなった?
「で、最近だとウチの実家にお呼びしてですねて……その、公認の仲といいますか。高校生という身分だけどね、一応ウチの両親は認めてくれてるのかな」
「はぇー……その行動力をどこかの誰かに分けて欲しいよ……」
「お、なんだなんだ?次は紅菜っちの番か?まぁ、確かに行動力はあるけど、あの子はどこかで踏み留まっちゃうからなぁ」
「はあ?別に千歳にそんなことを望んでないんだが?」
「……いやいや、こっちこそ一言もチーくんとは言ってないんだが?」
「へ?……ちょっと今のなし今のなし‼」
「まあ、ほぼ全員が周知済みの話題を掘り返すのもなんだからねぇ」
「紅菜ちゃんの話、もっと聞きたいかも!」
自分には関り合いのない話題をあはは……と苦笑いでなんとか乗りきっていく。これが博麗神社の宴会だったらなぁと頭の片隅で思ってしまう。いや、この話題の感覚……結構サナエちゃんのノリに近いな?
とはいえ、一人相手でも御しきれないサナエちゃんが今の場では三人居るような状況なので迂闊なことは口に出せない。
「宇佐見さん大丈夫?」
他の三人で盛り上がっているため、一旦食べることに集中してた委員長が不安そうに問いかけてきた。
「あー、うん。平気平気……この三人っていつもこんな感じなの?」
「いつもはもっと趣味というか部活の事とかが多いんだけど、柏木さんがいるからちょっと恋愛面に傾倒しちゃってるかも」
「そうなんだ……」
三人で面白いくらいに盛り上がっているのを見て、これだと恋愛関係の情報が正しく伝わらない訳だとどこか納得してしまう。
「いや、だーかーらー!そこまで面白い話はないってば!」
「でも、聞いてみないとわからないよね?」
「そーそー、かしすんのいう通り!ってなわけで、どういう経緯でほの字になったのかとか、『あれ、あいつ昔とは全然違うじゃん……(トゥンク)』みたいな話を紅菜っちの口から聞かせてプリーズ!そこの二人も聞きたいよね?ねっ?」
宮東さんはどうしても聞きたいらしく傍観していた私達にも問いかけてくる。その後ろで柏野さんが「聞きたいわけないよね?」と無言ながらも笑顔で圧をかけてきている。
「私は……」
「私は聞いてみたいわ」
委員長さん⁉
私の言葉を遮り、委員長が襲ってくる圧をものともせずに言い放つ。
「柏野さんが千歳くんを好いてるのは周知の事実」 「だから違うって……」 「事実かもしれないけど、改めて本人の口からどういう状況なのかを話してもらった方がいいんじゃない?外野の勘違いとかもあるかもだし。ね?宇佐見さん」
そしてこちらにパスしてきた。でも彼女が言いたいことはわかる。つまり柏野さんは午前中の私と同じ状況に陥っているのだ。多分……。
「へ……うん!そうそう!私だって実際は違うのに外野の盛り上がりで事実みたいになってたからさ、柏野さんも一回話してみれば言いと思うよ!」
慌てた感じで答えてしまう。すると柏野さんは、はぁ……と溜め息をつき、「仕方ないなぁ」と話す気になったようだ。
「それじゃ話すけど……終わったら次は宇佐見さんの番だからね?」
「ゑ?」
「まさか自分は狙われないと思ってた?……まぁ、あんまり勝手に勘違いするとまた迷惑かかりそうってのはわかってるからさ、あくまで宇佐見さんから見てどうなのかぐらいは話して貰うからね?」
柏野さんが言いきった後に宮東さんを見ると頭に拳をあて、「さっきの話しちゃった、ゴメンネ!」と……所謂てへぺろのポーズをとりながら、そう言われてしまった。
どうしようか慌てているうちに語り手はゆっくりと話し出した。
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今日は珍しくもう一人の部員は休み。……といっても休んだからと言って何が変わるでもないから、いつも通り授業を受けて、さっさと帰って向こうに行くくらいかな。
そんな感じでこの後の事を考えてるうちにホームルームは終わったらしく、1限目の準備のために室内が騒がしくなる。
「うさみーん、さっきの話の続きなんだけど……」
「それなんだけどさ、本人のいないところで変に答えるとまた変な噂がたったりするかもしれないからノーコメントでもいい?」
「えー、つまんないのー……。でも、しょうがないか」
もう少し粘られると思っていたが、わりとすんなりこちらの話を聞いてくれる。
……なんだろ、自分が変に思い込んでたのかな?
「ごめんね、宮東さん」
「いーのいーの。……つか、1限目って移動教室じゃん!早く行こ?」
ちょっと申し訳なくなって、謝ったが、彼女はそんなことは気にしてないような感じで私を急かしてくる。
「そうだね」
その勢いにつられて、珍しく誰かと一緒に別の教室に行く事になった。
いわゆる普通の女子高生はこんな風に日常を過ごしてるんだろうな。とかそんなことを考えながら宮東さんの後ろを小走りでついていった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
そんなこんなで普通の女子高生みたいな午前中を過ごし、今は昼休み。
普段ならこっそりと部室に入り込み、そこで一人のんびりとお弁当をいただいてるのだが……。
「そういえば、かしすんは今どんな感じなの?」
「ど、どんな感じって?」
「もー、とぼけちゃって。JKが五人も揃ったらここはピの話しかないでしょ?」
ね?と同意を求めるようにこちらを向く宮東さん。さすがにその辺りの話には乗っかれないと思い、やんわりと否定する。
「えっと、今日始めてこのグループに混ぜてもらう私をさも当然のように頭数にいれないで欲しいんだけど……」
「あーでも翠ちゃんの話は私も気になるかなー。委員長は?」
遮るわけではないけど、柏野さんの発言で抜け出すチャンスを逃してしまったようだ。けれど、委員長ならピシャリと拒否を……。
「……きょ、興味はあるわ」
まあ、JKだもんね。女の子ならそういう話に少なからずとも興味あるよね……。
「ほほーぅ。委員長は思ったよりムッツリということですな、みちるさん」
「そうですなー、紅菜さん」
「貴女たちねぇ……!」
「そんな委員長は置いといて。どうなのかしすん?」
「んー……。まあ、本気なのは伝わってくるかな。付き合う前にちょっと自暴自棄になって……言いにくい事になるんだけどね?生きるのを諦めようとしちゃったんだ」
(((思ったより重い話きちゃったぞ……)))
「それでもト……彼は諦めないで受け入れてくれて……」
かしすん……と呼ばれている柏木翠(かしわぎすい)さんの話をぼんやりと聞きながら今の状況を整理する。
今日はなぜか宮東さんに誘われて、柏野さんと委員長と柏木さんという普段はあまり話さない面々に囲まれお昼を食べていて、どうしてか恋愛の話題に巻き込まれてる。ほんとにどうしてこうなった?
「で、最近だとウチの実家にお呼びしてですねて……その、公認の仲といいますか。高校生という身分だけどね、一応ウチの両親は認めてくれてるのかな」
「はぇー……その行動力をどこかの誰かに分けて欲しいよ……」
「お、なんだなんだ?次は紅菜っちの番か?まぁ、確かに行動力はあるけど、あの子はどこかで踏み留まっちゃうからなぁ」
「はあ?別に千歳にそんなことを望んでないんだが?」
「……いやいや、こっちこそ一言もチーくんとは言ってないんだが?」
「へ?……ちょっと今のなし今のなし‼」
「まあ、ほぼ全員が周知済みの話題を掘り返すのもなんだからねぇ」
「紅菜ちゃんの話、もっと聞きたいかも!」
自分には関り合いのない話題をあはは……と苦笑いでなんとか乗りきっていく。これが博麗神社の宴会だったらなぁと頭の片隅で思ってしまう。いや、この話題の感覚……結構サナエちゃんのノリに近いな?
とはいえ、一人相手でも御しきれないサナエちゃんが今の場では三人居るような状況なので迂闊なことは口に出せない。
「宇佐見さん大丈夫?」
他の三人で盛り上がっているため、一旦食べることに集中してた委員長が不安そうに問いかけてきた。
「あー、うん。平気平気……この三人っていつもこんな感じなの?」
「いつもはもっと趣味というか部活の事とかが多いんだけど、柏木さんがいるからちょっと恋愛面に傾倒しちゃってるかも」
「そうなんだ……」
三人で面白いくらいに盛り上がっているのを見て、これだと恋愛関係の情報が正しく伝わらない訳だとどこか納得してしまう。
「いや、だーかーらー!そこまで面白い話はないってば!」
「でも、聞いてみないとわからないよね?」
「そーそー、かしすんのいう通り!ってなわけで、どういう経緯でほの字になったのかとか、『あれ、あいつ昔とは全然違うじゃん……(トゥンク)』みたいな話を紅菜っちの口から聞かせてプリーズ!そこの二人も聞きたいよね?ねっ?」
宮東さんはどうしても聞きたいらしく傍観していた私達にも問いかけてくる。その後ろで柏野さんが「聞きたいわけないよね?」と無言ながらも笑顔で圧をかけてきている。
「私は……」
「私は聞いてみたいわ」
委員長さん⁉
私の言葉を遮り、委員長が襲ってくる圧をものともせずに言い放つ。
「柏野さんが千歳くんを好いてるのは周知の事実」 「だから違うって……」 「事実かもしれないけど、改めて本人の口からどういう状況なのかを話してもらった方がいいんじゃない?外野の勘違いとかもあるかもだし。ね?宇佐見さん」
そしてこちらにパスしてきた。でも彼女が言いたいことはわかる。つまり柏野さんは午前中の私と同じ状況に陥っているのだ。多分……。
「へ……うん!そうそう!私だって実際は違うのに外野の盛り上がりで事実みたいになってたからさ、柏野さんも一回話してみれば言いと思うよ!」
慌てた感じで答えてしまう。すると柏野さんは、はぁ……と溜め息をつき、「仕方ないなぁ」と話す気になったようだ。
「それじゃ話すけど……終わったら次は宇佐見さんの番だからね?」
「ゑ?」
「まさか自分は狙われないと思ってた?……まぁ、あんまり勝手に勘違いするとまた迷惑かかりそうってのはわかってるからさ、あくまで宇佐見さんから見てどうなのかぐらいは話して貰うからね?」
柏野さんが言いきった後に宮東さんを見ると頭に拳をあて、「さっきの話しちゃった、ゴメンネ!」と……所謂てへぺろのポーズをとりながら、そう言われてしまった。
どうしようか慌てているうちに語り手はゆっくりと話し出した。
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