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宇佐見菫子と初めての後輩


 持ってきた三冊に軽く目を通し、ページを捲る手を止める。
「……全然わからん」
 椅子に大きくもたれ掛かり、天を仰ぐように上を向きながら溜め息をつく。
 そもそも怪異や都市伝説を調べるのにあの三冊はどうだったんだと言うところから反省しなきゃいけない気がする。……神話は興味がある部分だけなんとなく読めても、その他はからっきしである。そもそもの知識量が足りないから理解できない。
「もう少し分かりやすく書かれてるのを本屋で探す……というかネットで調べてから購入とかでも良さそうだな」
 もっと言うと会長に良い本がないか聞いてみるのも一つの手段だが、別に今すぐに必要と言うわけでもないので、どこかゆっくりしたタイミングで聞いてみようか。
「……って、やべ!もうこんな時間じゃん」
 時計をみて慌てて本を片付けて、足早に図書室を後にした。

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「あっ!ちょっと、どこ行ってたのよ。誰もいないから危うく帰っちゃうところだったのよ?」
 ガラリと教室のドアを空けると、中に居た宇佐見に怒られてしまった。
「悪い!終わるまで教室に居ても手持ち無沙汰で図書室に行っててさ……」
「それならそうと一言連絡入れればいいじゃない……。しかしまぁ、ウッチーって図書室好きよね?結構読書家だったり?」
「いや、そこまでじゃないかな。人並みだよ。今だって少し気になることあったから調べようとしただけだし」
 鞄を置くために自分が使っている机へと向かう。
 宇佐見はこちらの席の前の椅子を引き、向かい合う形で腰を下ろしていた。
「そこでスマホとか使わないんだから、人並み以上だとは思うのよねぇ……」
「ネットでもそれなりに調べられるけど誘惑多いだろ?」
「あー、確かに余計な事まで調べちゃうかも」
 余計な事……というよりも他の情報に気を取られて本来調べたいことを調べられずに時間が過ぎてしまう。……まあ今回は調べてたことがことなので、ネットの知識よりちゃんとまとめられた情報が見たかったからなぁ……と思っていると再び扉が開き聞き慣れた声が室内に響いた。
「あのー、兄さ……じゃなかった。山内先輩
いますかー?」
「おー、こっちこっち。他に誰もいないから気にしないで入っちゃいな」
「失礼しまーす」
 丁寧に扉を閉めてから妹はこちらへとやってくる。そして、宇佐見の前に立つとすごく緊張した様子で口を開いた。
「あ、あの!山内鈴香っていいます!この前は助けていただいてありがとうございました!」
「ああ、いいのいいの、気にしないで。私は宇佐見菫子。よろしくね……えっと、鈴香さん?」

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