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宇佐見菫子と初めての後輩


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 全くもう……。という気持ちがため息とともに溢れる。
 なぜそんな気持ちなのかというと、ちょっと前にやり取りした相手のせいなのは確かだった。
「というよりも、本当に一言足らないのよね」
 伝えることの難しさというか、単に相手が言葉足らずなのかはおいといて、ちゃんと話してくれないと理解できることもできなくなってしまう。
「……ま、今回は対面で話さなかったから起こりかけた事故なので改めて自分も言葉足らずにならないように気を付けるのでした、まるっと……」
 気持ちを切り替え、残りは細部の修正になっている明日の原稿とにらめっこをする。
「あーはやく終わらせてさっさと幻想郷に行きたいのになぁ!」
 大体の所は当たり障りのない感じで書き終わっているのだけど、締めの部分……新入生へのメッセージという一番面倒だけど大事な部分が彼に手伝って貰っていた時から進んでいないのだ。
「もう明日の私に全部投げちゃおうかな……」
 いや、それをして困るのは明日の私だ……。なんとなくでもいいから良さげな話を書いておかないと。
「……あ、それこそ伝えることの難しさとか、その話にしちゃえばいいんじゃない?そうね、そうしましょ!」
 そうと決まれば筆は進む、さっきまで唸っていたのはなんだったのかと思うくらいの速さで原稿は完成した。
「よし、終わり!……それじゃあ、はやいとこ眠って幻想郷へ行きますか!」
 心残りもなくなり気楽に向こうに行くことができる。
 今日はどこに行こうかな?なーんて事を考えながら眠りについた。

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 そして翌日。つつがなく授業は終わり、残すは午後のオリエンテーションだけとなった。
 参加しない二、三年は午前授業同様である。普通に羨ましい……。
「ま、教師からの評価が上がると思えば多少はね……」
 とはいえ、それに見合わない役回りなのも確かなので頑張りすぎない程度に、けれども新入生からは良い先輩に見えるぐらいの姿勢で彼らの前に立った。

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 ただ教室で待ち続けているのもなんなので、久しぶりに図書室へと向かう。何だかんだで授業後はすぐ帰宅するか、いつものあの空き教室へ集まるのが常になっていたので放課後に一人でここへ来るのは一年ぶりになるのかもしれない。
「……てか、ここで声かけられて始まったんだよなぁ」
 去年、まだそこまで親しくない宇佐見から突然出されたオカルトの課題……。その問題を解いた事で現在は彼女が運営……?する『秘封倶楽部』なる活動に一緒に……いや、足手まといながらついていっている。
 備え付けの机に荷物を置き、携帯で時間を確認する。……オリエンテーションはまだ始まったばかりだ。
 それなら……と本棚から民間伝承について書かれている物を探す。流石進学校、思ったより蔵書がある。やっぱり大学受験の時に使ったりするのだろうか?


 『石神信仰』『異類婚姻譚』『古事記』と目についたものを手に取り取っておいた席へ腰を下ろす。
 教室へ戻ることも考えると一時間あるかどうかだが……とりあえず目を通すくらいはできるだろう。活動の役に立つかはわからないが……知識として知っているのとそうでないのでは不足の事態に対処できるかが変わってくる。
「……高校生が陥る不足の事態ってなんなんだよ」
 自分自身に突っ込んでしまったが、実際にその不足の事態に陥ってしまった事があるため、やっぱり知識は大事だなと無理矢理納得し時間まで本を捲り出した。



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