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如月センディング

「――ってことがあってね」
 事のあらましをざっくりとサナエちゃんに伝えると、彼女はため息をひとつついてから笑顔を作って口を開いた。
「菫子さん……なんですか、惚気ですか?惚気ですね」
「ちょっと!なんでサナエちゃんもそんなこと言うの!?」
「そりゃ言いますよ!バレンタインにチョコを渡すどころか、男子から!手作りのクッキーを!二人きりの時に貰うなんて!これが惚気と言わずなんというんですかぁ!?」
 サナエちゃんの叫びが静かな博麗神社に響く。すると本堂の方からレイムっちのうるさいわよ!というお叱りが飛んできて、私たちは二人して「はーい」と、まるで学校で先生に注意された時のような返事をした。
「それで、もうお返しは渡したんですか?」
「一応渡したと言えば渡した……のかな?」
「あっ、菫子さんだとやりそうだから先に言っておきますけど、市販のチョコをそのまま……例えば最後までチョコたっぷりのやつを箱のまま渡してお返し渡しましたー!はノーカウントですからね」
「う"……」
 まるであの日のこちらの行動を見ていたかのような忠告に変な声が出る。
 いや、渡したのは細長いやつだけども。
「……はぁ。やっぱりですか……」
「し、仕方ないじゃん!そもそも貰えるなんて毛ほども思ってなかったし、仮に貰えなかったとしてもいつものお礼代わりにくらいしか考えてなかったんだから!」
「それじゃあ、渡すつもりではあるんですね?」
「それは……まあ」
「なるほど……ちなみに菫子さんは料理ってできますか?」
 料理……料理かぁ……。
「でき――」
「冷食、インスタント、レンチンは除きますよ?」
「――ないわね」
「そこからかぁー……でも、一ヶ月あれば大丈夫ですよ!」
 ん、一ヶ月?
「ね、ねぇサナエちゃんもしかして……」
「ホワイトデーまでの間に!菫子さんの女子力アップ大作戦!始めますよ!!」
 こちらの言葉は既に届かず、こうして一ヶ月の間お返し作りの為の料理教室が始まったのであった……。


 どーしてこうなった!


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