如月センディング
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「また明日」
私がそう返事をするのを聞いてから、彼は部室を出てからある事に気がつく。
「……まあ、普通に洗って返せばいいよね?」
もちろん部活動の時に。クラスで返そうものならまた勘違いの連鎖か起きてしまうだろう。
はぁ……とため息をつき、室内の戸締まりを確認する。
全ての窓、引戸共に施錠完了。電気も消した。
「できれば壊さずに持って帰りたいもんね。いくらタッパーと言えど、電車で揺られたらどうなるか……。だから今日のこれはノーカンってことで……」
自分に言い聞かせるように呟き、意識を集中させて瞬間移動(テレポート)の準備をする。ひとまず学校上空……かな?薄暗いから見つけられなそうだし。
パッと回りの景色が薄闇に包まれ、冬の冷たい風が吹き付ける。
問題なく超能力は使用出来る。最近は極力向こうに行っている間と一人きりの時、夜間の遊覧飛行時以外は使わないように制限を設けている。
カセンちゃんにも言われた、こちらでの私の居場所を作るために。
「まー、遅刻しそうだったりするとすぐ使っちゃうんですけどねー」
落ちないようにホバリング、そしていつも使う、家の近く公園へと意識を集中させる。
少し……というか電車通学一時間ちょっとの距離をショートカット。そして、公衆トイレの一室に人が居ないことを透視で確認してから短距離の瞬間移動。
だいぶ疲れるけど、最速で帰れる私だけの特別な通学路。
「通勤ラッシュや帰宅の時間帯で混んでる電車に乗らなくてすむのはラクチンで助かるわー」
何食わぬ顔で公園を出てそのまま家へと歩き始めた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「ただいまー」
「おかえりなさい、スミちゃん」
「もー、スミちゃんはやめてって言ってるじゃん……」
「そう言われても体に染み付いてるのよねぇ……。それより、何か良いことあったの?」
良いこと……何かあったっけ?と今日一日を思い返す。……良いことといえばあれくらいか?
「あったと言えばあったのかな……?」
「なになに?バレンタインだから誰かにあげたのかしら?それとも友チョコたくさん貰ったとか?」
「うん、貰った貰った」
少しあしらうように返事をして鞄の中から貰ったものを取り出す。
「え……タッパーごと?」
「それは私がちょっと無理言っちゃったから……」
「そっか、洗って返さなきゃね。それでどんな子なの?」
どんなと言われても……。
「えーと……話が合って、多少の無茶は聞いてくれる……」
「そうなの、なんか嬉しいわね……。つい最近まで友達の影なんてなかったのに、いいお友達ができたのね。もしかしてそのうちパジャマパーティーしたりするのかしら?」
とんでもないことを言う母親に呆れながらも返答する。
「やめてよ、さすがに男子を連れ込んだりお持ち帰りされたりしないって」
そう言うとピシリ、と空気が固まった音が聞こえた。
「……スミちゃん、このクッキーもその男の子から貰ったの?」
「え、う……うん」
「見た感じ手作りよね?」
「うん、本人もそう言ってたし」
そこまで聞くとこちらの両肩をがしりと掴み、真剣な表情でこう伝えてきた。
「いい、スミちゃん。その人逃がしちゃだめよ?こんなお菓子作れて話が合って貴女の無茶もちょっと聞いてくれる物件なんてそうそういないんだから」
「は?え、ちょっとお母さん?」
「どうしましょ、今日は赤飯かしら?」
「お母さん!?そーゆーのじゃないからね!!」
勝手に想像して盛り上がってる母親をおいて自室へと逃げ込む。そしてそのままベッドに倒れ込み微睡みに身を任せる。
色々言いたいことはあるがまともに取り合っても疲れるだけなので少し申し訳ないが向こうで愚痴らせてもらおう。
.
「また明日」
私がそう返事をするのを聞いてから、彼は部室を出てからある事に気がつく。
「……まあ、普通に洗って返せばいいよね?」
もちろん部活動の時に。クラスで返そうものならまた勘違いの連鎖か起きてしまうだろう。
はぁ……とため息をつき、室内の戸締まりを確認する。
全ての窓、引戸共に施錠完了。電気も消した。
「できれば壊さずに持って帰りたいもんね。いくらタッパーと言えど、電車で揺られたらどうなるか……。だから今日のこれはノーカンってことで……」
自分に言い聞かせるように呟き、意識を集中させて瞬間移動(テレポート)の準備をする。ひとまず学校上空……かな?薄暗いから見つけられなそうだし。
パッと回りの景色が薄闇に包まれ、冬の冷たい風が吹き付ける。
問題なく超能力は使用出来る。最近は極力向こうに行っている間と一人きりの時、夜間の遊覧飛行時以外は使わないように制限を設けている。
カセンちゃんにも言われた、こちらでの私の居場所を作るために。
「まー、遅刻しそうだったりするとすぐ使っちゃうんですけどねー」
落ちないようにホバリング、そしていつも使う、家の近く公園へと意識を集中させる。
少し……というか電車通学一時間ちょっとの距離をショートカット。そして、公衆トイレの一室に人が居ないことを透視で確認してから短距離の瞬間移動。
だいぶ疲れるけど、最速で帰れる私だけの特別な通学路。
「通勤ラッシュや帰宅の時間帯で混んでる電車に乗らなくてすむのはラクチンで助かるわー」
何食わぬ顔で公園を出てそのまま家へと歩き始めた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「ただいまー」
「おかえりなさい、スミちゃん」
「もー、スミちゃんはやめてって言ってるじゃん……」
「そう言われても体に染み付いてるのよねぇ……。それより、何か良いことあったの?」
良いこと……何かあったっけ?と今日一日を思い返す。……良いことといえばあれくらいか?
「あったと言えばあったのかな……?」
「なになに?バレンタインだから誰かにあげたのかしら?それとも友チョコたくさん貰ったとか?」
「うん、貰った貰った」
少しあしらうように返事をして鞄の中から貰ったものを取り出す。
「え……タッパーごと?」
「それは私がちょっと無理言っちゃったから……」
「そっか、洗って返さなきゃね。それでどんな子なの?」
どんなと言われても……。
「えーと……話が合って、多少の無茶は聞いてくれる……」
「そうなの、なんか嬉しいわね……。つい最近まで友達の影なんてなかったのに、いいお友達ができたのね。もしかしてそのうちパジャマパーティーしたりするのかしら?」
とんでもないことを言う母親に呆れながらも返答する。
「やめてよ、さすがに男子を連れ込んだりお持ち帰りされたりしないって」
そう言うとピシリ、と空気が固まった音が聞こえた。
「……スミちゃん、このクッキーもその男の子から貰ったの?」
「え、う……うん」
「見た感じ手作りよね?」
「うん、本人もそう言ってたし」
そこまで聞くとこちらの両肩をがしりと掴み、真剣な表情でこう伝えてきた。
「いい、スミちゃん。その人逃がしちゃだめよ?こんなお菓子作れて話が合って貴女の無茶もちょっと聞いてくれる物件なんてそうそういないんだから」
「は?え、ちょっとお母さん?」
「どうしましょ、今日は赤飯かしら?」
「お母さん!?そーゆーのじゃないからね!!」
勝手に想像して盛り上がってる母親をおいて自室へと逃げ込む。そしてそのままベッドに倒れ込み微睡みに身を任せる。
色々言いたいことはあるがまともに取り合っても疲れるだけなので少し申し訳ないが向こうで愚痴らせてもらおう。
.