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ハレと不安と文化祭

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「まずは一日目、お疲れ様!」
 柏野の一言にクラス内から「お疲れー」とか「大変だったねー」と返事が返ってくる。
「特に大きなトラブルもなく、各人楽しめたなら何よりよ」
「それよりもさー! 売上どうなってるのー?」
 のんびりとした空気の中、クラスの誰かがそんなことを口にした。
「精算した感じは上々かな? このままなら多分目標には届くと思うわ」
 「おおー!!」と沸き立つ室内。それを制するように柏野が再び口を開いた。
「それじゃあ、明日もあるから今日はこれで解散! しっかり休んで明日も頑張りましょ!」
 HRの最後に実行委員からの簡単な激励を送られ、クラスメイトはそれぞれ教室を出ていく。それに紛れるように、自分も教室を後にした。

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「……さて」
 いつものしつこい友人も疲れているのか特に話しかけても来ないため、すんなりと部室前へとたどり着いてしまった。
「文化祭中になんか見つけたんだろうか……」
 急に呼び出された理由がわからず、少し不安にかられながらも閉まっている扉を開ける。
 部屋の中には普段と変わらない様子で会長が座りながらこちらを待っていた。
「悪い、待たせたか?」
「そんなに待ってないわよ」
「ならよかった。それで、文化祭中になんか見つけたりした?」
「あー……その、呼び出したのはそういう事じゃなくて……」
「?」
 なんか様子がおかしい……。そう感じたがいつも通りの席に腰を下ろしつつ宇佐見の話を待つ。
「ウッチーって、彼女いたんだね」
 意を決して喋りだしたかと思うと、突然の一言に面食らってしまった。
「彼女さんいるなら、その、別に無理して秘封倶楽部の活動優先しなくてもいいのよ? というか、なんなら辞めてもいいわけだし……」
「待て待て待て待て。……まず初めにその話の出所を教えてくれないか?」
「あのうるさい男子が大声で喚いてたのを聞いたのよ」
 やっぱり原因はあいつか……。
「その話なんだが、あいつの勘違いなんだよ。彼女じゃなくて妹だよ、妹」
「へ?」
「そもそも、その件に関しては柏野から全体にメッセージ送られてるはずなんだけど……読んでないの?」
「……私そんなのあるの初耳なんだけど!?
 え、それじゃあつまり私だけ勘違いし続けてたの?」
「まあ、そういう事だな」
 こちらの言葉を聞いて、宇佐見はぐでんと目の前の机に上半身を投げ出した。
「うわー……真剣に悩んでたのばっかみたい……。その話を早く聞いてたらもう少し早くから文化祭楽しんでたんだけど」
「いや、それをこっちに言われても困るんだが……それで、何を悩んでたんだ?」
「その……なんて言うか、ウッチーの強制退部?」
「思ったより穏やかじゃねぇな!?」
「そりゃ、元々私のためだけの部活だし。興味が別のところにいって活動が蔑ろになるようならそれくらいするから」
 呆れたように口調で宇佐見は机の上に突っ伏しながら答える。
「ま、勘違いなわけだから……まだしばらくは二人でこの活動を続けてくわよ」
「はいよ。そんで明日はどうするんだ?なんか柏野が上手いこと擦り合わせて自由時間が重なるようになったみたいでさ」
「んー……それじゃあ適当に見て回りましょうか? あと何かしら奢ってもらえると嬉しかったりするんだけどなぁー」
「了解。だけど、奢るのは気が向けばな」
 こちらの答えに「ちぇー」とだけ答え、彼女は自分の荷物をまとめ始めた。それにあわせてこっちも席を立ち、宇佐見の準備が完了したことを確認してから先に教室を出る。
 下駄箱の近くにくると宇佐見は、「それじゃ、また明日」と一足早く学校を後にする。
「おう、またな」
 と遠ざかる背中に向けて声をかけ、少し遅れてこちらも学校を出る。
 帰ったら妹にまた来るのか聞かなきゃなとぼんやり考えながら暗くなってきた道を歩き出した。

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