宇佐見菫子の一存
いくら土曜日とはいえ始発の電車にはちらほらとサラリーマンの姿が見える。
運良く二人分空いている座席に座り、何だかんだで疲れきってる体を休ませる。
「やっと座れたぁ……」
「しばらく追い駆けっこはこりごりね……」
「本当にな……」
電車に揺られ一駅、二駅……疲れのせいか他愛もない話をすることもなく、延々と窓の外を眺めていた。
「やば……流石にキツい……」
と隣に座る宇佐見が言葉を洩らす。
「どうかしたのか?」
「ん……その……眠くてね?このまま起きてられるかわからないなって」
そりゃオールした上にあれだけ走り回ったんだから眠くないわけがない。
「落ち着いてくると急に眠くなるしな。各駅なんだし、少し眠っとけば?」
「どうしよっかなぁ……」
と呟いたが、眠気に負けたのかふぁあっと欠伸をこぼす。
「……ごめん、寝ちゃう……」
「そっか、どこで起こせばいい?」
「ウッチーが降りる駅で……」
「はいよ。しっかり寝ちゃいな」
「……ん」
そう返事をすると宇佐見は目を閉じた。
かなり眠気が来ていたのか、数分もせずに隣から微かな寝息が聞こえてくる。
そして少しすると、こちらの腕にもたれ掛かってきた。
「そりゃ、一晩中昼間のテンションだったもんな……」
ここまで眠くなるのも当然か、と彼女を起こさないように反対側の腕でスマホを弄る。
時間を見ると普段ならまだ布団の中で夢見心地な時間だったが、昨晩……というかさっきまで起きていた事の現実味が薄すぎて、一連の出来事は夢なんじゃないかと思ってしまう。
ただ頬をつねってみると感じる痛みと、肩にもたれ掛かる宇佐見の重さがこれは現実だと感じさせる。
改めて思う。とんでもない部活動に加入してしまったものだ、と。
だけどこの先も昨日みたいな……出逢う事を諦めていた不思議な現象に遭遇できるかもしれないと思うと、誘ってくれた宇佐見には感謝しかない。
「……ありがとな、宇佐見」
聞こえていないだろうけど、ポツリと会長に礼を言う。
柄でもない事をしたせいか、自分の顔が熱くなっていくのを感じる。
幸いなことに、今この車両には同学年はおろか俺たちの事を知っている人物はいない。
だからたまには、自分の本心に素直になっても問題ないはずだろう?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「で?気がついたら貴方も眠ってたと……」
「……はい」
「なるほどね。……いや、すぐに寝ちゃった私が言えた事じゃないけど、出来そうにないならちゃんと無理とかキツいとか言ってよね?まあ、オールした後じゃ判断力鈍くなるのはわかるんだけどさぁ……」
あの後目を閉じてしまったのが運の尽き、気がつけばお互いに降りるべき駅を大幅に越えてしまっている。各駅停車というのを踏まえたら大体一時間くらいは寝てしまったようだ。
「いや、もう……本当に申し訳ない……」
「……そこまで怒ってるわけじゃないからそんなに謝らないでよ。それよりも……これからどうしましょっか?」
どうすると言われても……家族には友人宅に泊まると話をしているのでこんな朝早くに帰るのも不自然だろう。
「とりあえず……何処かで食べながら考えるか?」
もうすぐで終点の新宿だし、時間的にそろそろ腹も減ってくる……。
「あら、いいじゃない。……あっ、もちろんウッチーの奢りよね?」
「へっ?いやなんで俺が……」
「あーあ、本当なら今頃家でゆっくり眠ってたのになぁー」
「くっ……わかったよ。モーニングセットの一人分くらいまでしか出せないけどな」
「そんなに豪勢なものは頼まないわよ。でも、ありがと」
「お、おう……」
「それじゃ行きましょ!朝早くの大きい街ってあんまり来たことないから新鮮なのよねー」
とこちらの返事を待つことなく先を行く宇佐見。
今日の予定も恐らくは彼女の一存で決まることになりそうだ。
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運良く二人分空いている座席に座り、何だかんだで疲れきってる体を休ませる。
「やっと座れたぁ……」
「しばらく追い駆けっこはこりごりね……」
「本当にな……」
電車に揺られ一駅、二駅……疲れのせいか他愛もない話をすることもなく、延々と窓の外を眺めていた。
「やば……流石にキツい……」
と隣に座る宇佐見が言葉を洩らす。
「どうかしたのか?」
「ん……その……眠くてね?このまま起きてられるかわからないなって」
そりゃオールした上にあれだけ走り回ったんだから眠くないわけがない。
「落ち着いてくると急に眠くなるしな。各駅なんだし、少し眠っとけば?」
「どうしよっかなぁ……」
と呟いたが、眠気に負けたのかふぁあっと欠伸をこぼす。
「……ごめん、寝ちゃう……」
「そっか、どこで起こせばいい?」
「ウッチーが降りる駅で……」
「はいよ。しっかり寝ちゃいな」
「……ん」
そう返事をすると宇佐見は目を閉じた。
かなり眠気が来ていたのか、数分もせずに隣から微かな寝息が聞こえてくる。
そして少しすると、こちらの腕にもたれ掛かってきた。
「そりゃ、一晩中昼間のテンションだったもんな……」
ここまで眠くなるのも当然か、と彼女を起こさないように反対側の腕でスマホを弄る。
時間を見ると普段ならまだ布団の中で夢見心地な時間だったが、昨晩……というかさっきまで起きていた事の現実味が薄すぎて、一連の出来事は夢なんじゃないかと思ってしまう。
ただ頬をつねってみると感じる痛みと、肩にもたれ掛かる宇佐見の重さがこれは現実だと感じさせる。
改めて思う。とんでもない部活動に加入してしまったものだ、と。
だけどこの先も昨日みたいな……出逢う事を諦めていた不思議な現象に遭遇できるかもしれないと思うと、誘ってくれた宇佐見には感謝しかない。
「……ありがとな、宇佐見」
聞こえていないだろうけど、ポツリと会長に礼を言う。
柄でもない事をしたせいか、自分の顔が熱くなっていくのを感じる。
幸いなことに、今この車両には同学年はおろか俺たちの事を知っている人物はいない。
だからたまには、自分の本心に素直になっても問題ないはずだろう?
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「で?気がついたら貴方も眠ってたと……」
「……はい」
「なるほどね。……いや、すぐに寝ちゃった私が言えた事じゃないけど、出来そうにないならちゃんと無理とかキツいとか言ってよね?まあ、オールした後じゃ判断力鈍くなるのはわかるんだけどさぁ……」
あの後目を閉じてしまったのが運の尽き、気がつけばお互いに降りるべき駅を大幅に越えてしまっている。各駅停車というのを踏まえたら大体一時間くらいは寝てしまったようだ。
「いや、もう……本当に申し訳ない……」
「……そこまで怒ってるわけじゃないからそんなに謝らないでよ。それよりも……これからどうしましょっか?」
どうすると言われても……家族には友人宅に泊まると話をしているのでこんな朝早くに帰るのも不自然だろう。
「とりあえず……何処かで食べながら考えるか?」
もうすぐで終点の新宿だし、時間的にそろそろ腹も減ってくる……。
「あら、いいじゃない。……あっ、もちろんウッチーの奢りよね?」
「へっ?いやなんで俺が……」
「あーあ、本当なら今頃家でゆっくり眠ってたのになぁー」
「くっ……わかったよ。モーニングセットの一人分くらいまでしか出せないけどな」
「そんなに豪勢なものは頼まないわよ。でも、ありがと」
「お、おう……」
「それじゃ行きましょ!朝早くの大きい街ってあんまり来たことないから新鮮なのよねー」
とこちらの返事を待つことなく先を行く宇佐見。
今日の予定も恐らくは彼女の一存で決まることになりそうだ。
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