宇佐見菫子の一存
・テケテケ
校庭で一人サッカーの練習をしている男子生徒が校舎の二階からこちらを見ている女子生徒に気が付いた。
男子生徒が見つめ返すと女子生徒は彼に微笑みかける。「もっと近くで見てもいいよ」と声をかけると女子生徒はうなずいて窓から飛び降りた。
その少女には下半身がなく、上半身だけの姿で地面に肘を着くと「テケテケ」と音を鳴らしながら凄まじい早さで男子生徒に近付いてきた。
「っていうのがテケテケの話の内容だけど……」
「なんだろう……イメージしてた話と違うって言うのか……」
「物足りないわよね。気になって調べないと大元の事件なんてわからないだろうし」
「追い付かれたらどうなるとかは伝えられてないんだな」
「まあ、九割がた捕まるなり追い付かれたらそのままあの世行きでしょ?七不思議なんてそんなものよ」
確かにそうだ。それこそ助かる例なんて片手で数えられるくらいなんじゃないか?と思ったが、しっかりと調べたわけじゃないからなんとも言えない。
「……でも、その話を信じるとすれば校庭で出逢う存在になるのか?」
「どーだろ。映像作品とかだと校内を徘徊する描写もあるし……、たまたま校庭で追われたのかもしれないわね。だって校舎の二階から飛び降りるってことははじめは校内に居たってことでしょ?」
「あー確かに。そう考えると吸血鬼みたいな感じか?ほら、招かれないと家に入れないっていう」
「なるほど、面白いわね!招かれたから校舎の外に出る事が出来たってわけか……うん。あり得そうな話じゃないの」
「あとはどうやって足がないのに窓の外を眺めてたのかって話なんだけど……。その辺り会長はどう思う?」
「そうねぇ……。一番わかりやすいのは、あんな風に上半身は宙に浮く事が出来るとかじゃない?」
「おー、浮くなら確かに眺められるけど……身を乗り出したら落ちずにそのまま校庭まで飛んでいかないか?」
「まあ、そこなのよね。テケテケって一部の噂じゃ手を使って移動じゃなくて空を飛ぶみたいだし……」
そうすると飛行音がテケテケなのか……?想像してみるとなんともマヌケだが、上半身のみが飛んで迫ってくるなんて恐ろしいにも程がある……。
「……ん?あんな風に……って」
軽く聞き流していたが、その言い方は明らかにおかしい。
「だってあの窓際に居るでしょ?本物が」
そんな馬鹿な……と彼女が指差す方を見ると、目があってしまった。
上半身だけで浮遊する、テケテケと称されるであろうものに。
「……また追われるのは御免なんですけどねぇ!」
「対処法は……なんだったかしら?」
「んなこと言ってる場合か!?とにかく逃げるぞ!」
「しかし、回り込まれてしまった!……って訳じゃないけど、逃げ出したところですぐに追い付かれるわよ」
「それじゃどうしろと!」
言い争っている間に向こうもこちらの事を認識したのか、噂通りテケテケと音を鳴らして近付いてくる。
その速さは確かに人が出せるものではなく、あっという間に目の前にやって来ていた。
もうダメだと、目を瞑った瞬間、三度の破裂音が鳴り響く。恐る恐る目を明けてみると、迫ってきていた驚異の姿はどこにも見えなくなっている。
「いったい何が……」
さっきの破裂音は後ろから聞こえたから、また別の何かが居るのかもしれない……。という不安が襲ってくる。
「宇佐見は大丈夫だったか?」
「……え?ああ、無事よ無事。無問題」
振り向きながら確認すると、少し安堵の表情を浮かべながら返事をしてきた。
その手に銃のような物を持ちながら。
「……何持ってるんだ?」
「これ?3Dプリンターガンよ」
「……は?いやいやいや、なんでそんな物騒な物を……ってか銃を3Dプリンターで出力するのはアウトなんじゃ……」
「実弾を発射できるものや殺傷能力の高いエアガンはね。これの威力は市販品のエアガンレベルだから問題ないはずよ。……それに出来が悪いから三回も撃てば薄い部分とかは耐えきれなくて……この通り」
持っていた銃を反対の手で軽く小突く。すると留め具の部分がイカれていたのか、幾つかの部品がパラパラと落ちていった。
「ね?だからこれに関してはあんまり気にしないで」
「……いや、まあそのお陰で助かったから何も言えないけどさ……。というかテケテケってそういうの効くんだな」
「撃った弾が特別だったからね。いやー外れなくて良かった良かった!
退治出来たかはわからないから、次行きましょ」
と急かす宇佐見に置いていかれない様に、後をついていく事にした。
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校庭で一人サッカーの練習をしている男子生徒が校舎の二階からこちらを見ている女子生徒に気が付いた。
男子生徒が見つめ返すと女子生徒は彼に微笑みかける。「もっと近くで見てもいいよ」と声をかけると女子生徒はうなずいて窓から飛び降りた。
その少女には下半身がなく、上半身だけの姿で地面に肘を着くと「テケテケ」と音を鳴らしながら凄まじい早さで男子生徒に近付いてきた。
「っていうのがテケテケの話の内容だけど……」
「なんだろう……イメージしてた話と違うって言うのか……」
「物足りないわよね。気になって調べないと大元の事件なんてわからないだろうし」
「追い付かれたらどうなるとかは伝えられてないんだな」
「まあ、九割がた捕まるなり追い付かれたらそのままあの世行きでしょ?七不思議なんてそんなものよ」
確かにそうだ。それこそ助かる例なんて片手で数えられるくらいなんじゃないか?と思ったが、しっかりと調べたわけじゃないからなんとも言えない。
「……でも、その話を信じるとすれば校庭で出逢う存在になるのか?」
「どーだろ。映像作品とかだと校内を徘徊する描写もあるし……、たまたま校庭で追われたのかもしれないわね。だって校舎の二階から飛び降りるってことははじめは校内に居たってことでしょ?」
「あー確かに。そう考えると吸血鬼みたいな感じか?ほら、招かれないと家に入れないっていう」
「なるほど、面白いわね!招かれたから校舎の外に出る事が出来たってわけか……うん。あり得そうな話じゃないの」
「あとはどうやって足がないのに窓の外を眺めてたのかって話なんだけど……。その辺り会長はどう思う?」
「そうねぇ……。一番わかりやすいのは、あんな風に上半身は宙に浮く事が出来るとかじゃない?」
「おー、浮くなら確かに眺められるけど……身を乗り出したら落ちずにそのまま校庭まで飛んでいかないか?」
「まあ、そこなのよね。テケテケって一部の噂じゃ手を使って移動じゃなくて空を飛ぶみたいだし……」
そうすると飛行音がテケテケなのか……?想像してみるとなんともマヌケだが、上半身のみが飛んで迫ってくるなんて恐ろしいにも程がある……。
「……ん?あんな風に……って」
軽く聞き流していたが、その言い方は明らかにおかしい。
「だってあの窓際に居るでしょ?本物が」
そんな馬鹿な……と彼女が指差す方を見ると、目があってしまった。
上半身だけで浮遊する、テケテケと称されるであろうものに。
「……また追われるのは御免なんですけどねぇ!」
「対処法は……なんだったかしら?」
「んなこと言ってる場合か!?とにかく逃げるぞ!」
「しかし、回り込まれてしまった!……って訳じゃないけど、逃げ出したところですぐに追い付かれるわよ」
「それじゃどうしろと!」
言い争っている間に向こうもこちらの事を認識したのか、噂通りテケテケと音を鳴らして近付いてくる。
その速さは確かに人が出せるものではなく、あっという間に目の前にやって来ていた。
もうダメだと、目を瞑った瞬間、三度の破裂音が鳴り響く。恐る恐る目を明けてみると、迫ってきていた驚異の姿はどこにも見えなくなっている。
「いったい何が……」
さっきの破裂音は後ろから聞こえたから、また別の何かが居るのかもしれない……。という不安が襲ってくる。
「宇佐見は大丈夫だったか?」
「……え?ああ、無事よ無事。無問題」
振り向きながら確認すると、少し安堵の表情を浮かべながら返事をしてきた。
その手に銃のような物を持ちながら。
「……何持ってるんだ?」
「これ?3Dプリンターガンよ」
「……は?いやいやいや、なんでそんな物騒な物を……ってか銃を3Dプリンターで出力するのはアウトなんじゃ……」
「実弾を発射できるものや殺傷能力の高いエアガンはね。これの威力は市販品のエアガンレベルだから問題ないはずよ。……それに出来が悪いから三回も撃てば薄い部分とかは耐えきれなくて……この通り」
持っていた銃を反対の手で軽く小突く。すると留め具の部分がイカれていたのか、幾つかの部品がパラパラと落ちていった。
「ね?だからこれに関してはあんまり気にしないで」
「……いや、まあそのお陰で助かったから何も言えないけどさ……。というかテケテケってそういうの効くんだな」
「撃った弾が特別だったからね。いやー外れなくて良かった良かった!
退治出来たかはわからないから、次行きましょ」
と急かす宇佐見に置いていかれない様に、後をついていく事にした。
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