宇佐見菫子の憂鬱
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
~宇佐見菫子の手記~
20XX/5/10
たまーにレイムッチの神社にいるピンク髪の人ともとも少しずつ仲良くなっていけるかしら?
あの騒動があったからちょっとおっかないのよね……
20XX/5/14
サナエさんっていう、もう一人の巫女さんにあった!なんと彼女は現代から幻想郷に移住したんだって!驚きよね!
20XX/5/16
珍しくレイムッチにこっちの事を聞かれた。
大して面白くないのに何がいいんだろう?
友達がいるか聞かれて適当にはぐらかしてたら話を聞いてたサナちゃんとマリサッチにも友人は作っておいた方がいいと釘を刺された。
皆がいるから大丈夫っていったらサナちゃんが大勢じゃなくていいから一人だけでも秘密を打ち明けられる友人はいた方がいいって。
そのときのサナちゃんがとても苦しそうだったからつい首を縦に振っちゃったけど……どうしよう。
こっちの友達なんて……でも話してみないと、もしかしたら私みたいな子がいるかもしれないし……。
20XX/5/17
昨日の今日で見つけてしまった。幻想を夢見る人を……といってもほとんど諦めているというか折り合いをつけて無理やり納得してるように見えた。
そう見えたからつい意地悪な問題を出してしまった。
けど、これが解けたなら……秘封倶楽部に勧誘してもいいかも
けど、中間前にすることじゃなかったかな?
20XX/5/18
昨日の事を報告したらなぜだか皆に誉められた。友人はいるに越したことはないってマリサッチはいうけど……。
ただ、テスト明けまではどうなるかわからないのよね
20XX/6/1
明日でテストは終わる。
この前は友人と相談してたみたいだけど答えに辿り着けたのだろうか?
20XX/6/2
こっちの世界も捨てたもんじゃない、幻想郷の方が良いのは当然なんだけど……。
とりあえず、新生秘封倶楽部活動開始、かな?
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
翌週の月曜日、中間考査も終わったということでクラスメイト達も何処か安堵した表情に見える。
「どーだったよ、二人とも」
いつものメンツで集まるや否や、少しだけ不機嫌そうに俺と小野寺にそう聞いてきた。
「俺は大丈夫そうかな」
と小野寺。そりゃそうだ。お前が大丈夫じゃなかったらきっと俺も林田も赤点まっしぐらなんだから。
「小野寺がそう答えるのはわかっていた。むしろ俺はお前の、ウッチーの手応えを知りたい!」
俺?そうだな、今回は……。
「手応え的には……うん。六、七割ぐらいいってると思うぞ」
今のところまだ授業にはついていけてるからな。期末はどうなるかわからんが。それより、お前はどうなんだ?
「よくぞ聞いてくれた!さっきまでは五割いっていれば良い方だったが、ウッチーでも六、七割なんだろ?それならば俺は自信を持って七、八割は出来たことをここに宣言しようじゃないか!」
「でも、ウッチーは放課後残って自習したり、解らないところを聞いたりで頑張ってたよね?」
「まあ、何度もケアレスミスを指摘されれば少しは自分でも隙がないようにしておきたくなるからな」
宇佐見からの問題で少しだけ注意力散漫になっていたかもしれないのだけど。
一方自信満々に喋っていた林田は魚のように口をパクパクさせながら、やっとの思いで声を絞り出しているように見えた。
「じ……自習だと?ウッチーはそんなことする奴じゃないと思っていたのに……」
「酷い思い込みだな!流石に俺だって試験期間くらいは学業に励むぞ?」
「そんな、でも……なんか古いゲームで詰まってたりしてたのは嘘だったのか?」
「あれは……ほら、息抜きだから。普通に考えて試験期間ならちょっとくらい勉強するだろうが」
「この、裏切り者ぉお!」
何をどう裏切ったのかはわからないがそれだけ言い残し、いつかのように教室を飛び出す林田。
呼び戻したりはしない。どうせすぐ予鈴は鳴るし、今日は始まったばかりだ。
自分の席に着く前にある女子生徒と肩がぶつかる。
「あ、悪い」
「……こっちこそごめん」
その生徒――宇佐見なのだが――は自席に着くなり直ぐ突っ伏してしまった。程なくして教室に担任が入ってくる。
いつも通りの学校生活の始まり……かと思いきやSHRの最中に宇佐見がこちらにだけわかるような小さな動きでジェスチャーを送ってきたのに気がつく。
なんだ、ポケットを叩いて指差して……。
そのジェスチャーの意味するところはわからないが、制服のポケットを探ってみる。すると一枚のメモ紙が入っていた。
折り畳まれたそれを開く。中には少しだけ丸みを帯びた文字でこう書かれていた。
『放課後、部室棟の三階に集合ね! 会長より』
目を通し、宇佐見の方を向く。
こちらの視線に気がついた彼女はこれまたこちらにだけわかるように小さなVサインを送ってきたのだった。
放課後、何が待ち受けているのだろうか……。SHRの内容などそっちのけで、俺はこの後に待つ未知との邂逅に心を踊らせていた。
宇佐見菫子の憂鬱<了>
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~宇佐見菫子の手記~
20XX/5/10
たまーにレイムッチの神社にいるピンク髪の人ともとも少しずつ仲良くなっていけるかしら?
あの騒動があったからちょっとおっかないのよね……
20XX/5/14
サナエさんっていう、もう一人の巫女さんにあった!なんと彼女は現代から幻想郷に移住したんだって!驚きよね!
20XX/5/16
珍しくレイムッチにこっちの事を聞かれた。
大して面白くないのに何がいいんだろう?
友達がいるか聞かれて適当にはぐらかしてたら話を聞いてたサナちゃんとマリサッチにも友人は作っておいた方がいいと釘を刺された。
皆がいるから大丈夫っていったらサナちゃんが大勢じゃなくていいから一人だけでも秘密を打ち明けられる友人はいた方がいいって。
そのときのサナちゃんがとても苦しそうだったからつい首を縦に振っちゃったけど……どうしよう。
こっちの友達なんて……でも話してみないと、もしかしたら私みたいな子がいるかもしれないし……。
20XX/5/17
昨日の今日で見つけてしまった。幻想を夢見る人を……といってもほとんど諦めているというか折り合いをつけて無理やり納得してるように見えた。
そう見えたからつい意地悪な問題を出してしまった。
けど、これが解けたなら……秘封倶楽部に勧誘してもいいかも
けど、中間前にすることじゃなかったかな?
20XX/5/18
昨日の事を報告したらなぜだか皆に誉められた。友人はいるに越したことはないってマリサッチはいうけど……。
ただ、テスト明けまではどうなるかわからないのよね
20XX/6/1
明日でテストは終わる。
この前は友人と相談してたみたいだけど答えに辿り着けたのだろうか?
20XX/6/2
こっちの世界も捨てたもんじゃない、幻想郷の方が良いのは当然なんだけど……。
とりあえず、新生秘封倶楽部活動開始、かな?
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
翌週の月曜日、中間考査も終わったということでクラスメイト達も何処か安堵した表情に見える。
「どーだったよ、二人とも」
いつものメンツで集まるや否や、少しだけ不機嫌そうに俺と小野寺にそう聞いてきた。
「俺は大丈夫そうかな」
と小野寺。そりゃそうだ。お前が大丈夫じゃなかったらきっと俺も林田も赤点まっしぐらなんだから。
「小野寺がそう答えるのはわかっていた。むしろ俺はお前の、ウッチーの手応えを知りたい!」
俺?そうだな、今回は……。
「手応え的には……うん。六、七割ぐらいいってると思うぞ」
今のところまだ授業にはついていけてるからな。期末はどうなるかわからんが。それより、お前はどうなんだ?
「よくぞ聞いてくれた!さっきまでは五割いっていれば良い方だったが、ウッチーでも六、七割なんだろ?それならば俺は自信を持って七、八割は出来たことをここに宣言しようじゃないか!」
「でも、ウッチーは放課後残って自習したり、解らないところを聞いたりで頑張ってたよね?」
「まあ、何度もケアレスミスを指摘されれば少しは自分でも隙がないようにしておきたくなるからな」
宇佐見からの問題で少しだけ注意力散漫になっていたかもしれないのだけど。
一方自信満々に喋っていた林田は魚のように口をパクパクさせながら、やっとの思いで声を絞り出しているように見えた。
「じ……自習だと?ウッチーはそんなことする奴じゃないと思っていたのに……」
「酷い思い込みだな!流石に俺だって試験期間くらいは学業に励むぞ?」
「そんな、でも……なんか古いゲームで詰まってたりしてたのは嘘だったのか?」
「あれは……ほら、息抜きだから。普通に考えて試験期間ならちょっとくらい勉強するだろうが」
「この、裏切り者ぉお!」
何をどう裏切ったのかはわからないがそれだけ言い残し、いつかのように教室を飛び出す林田。
呼び戻したりはしない。どうせすぐ予鈴は鳴るし、今日は始まったばかりだ。
自分の席に着く前にある女子生徒と肩がぶつかる。
「あ、悪い」
「……こっちこそごめん」
その生徒――宇佐見なのだが――は自席に着くなり直ぐ突っ伏してしまった。程なくして教室に担任が入ってくる。
いつも通りの学校生活の始まり……かと思いきやSHRの最中に宇佐見がこちらにだけわかるような小さな動きでジェスチャーを送ってきたのに気がつく。
なんだ、ポケットを叩いて指差して……。
そのジェスチャーの意味するところはわからないが、制服のポケットを探ってみる。すると一枚のメモ紙が入っていた。
折り畳まれたそれを開く。中には少しだけ丸みを帯びた文字でこう書かれていた。
『放課後、部室棟の三階に集合ね! 会長より』
目を通し、宇佐見の方を向く。
こちらの視線に気がついた彼女はこれまたこちらにだけわかるように小さなVサインを送ってきたのだった。
放課後、何が待ち受けているのだろうか……。SHRの内容などそっちのけで、俺はこの後に待つ未知との邂逅に心を踊らせていた。
宇佐見菫子の憂鬱<了>
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