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【中秋の名月】
季節は移ろい、夏から秋へ……やはりまだ暑さの残滓が漂っている。
夏の妖精達が駄々をこねて、夏が終わるのを先延ばしにしているんだろう。
秋の豊饒神はそれを宥めて、ゆっくりと里に、森に、山に……牽いては幻想郷全土に死と実りを広めていく。
「とはいっても、まだ暑いな……。そう思わないか、輝夜?」
「そうね。確かに暑いけど……」
さぁぁ、と俺と輝夜の間に撫でるような風が吹いた。
その風のお陰で溜まっていた熱気が何処かに流され、ちょっとだけ過ごしやすい空気に代わったようだ。
「ね、涼風が吹くし過ごしづらい訳じゃ無いでしょ?」
柔らかい笑みを俺に向けて来る輝夜。
その顔は何処か誇らしげに見える。
「確かに過ごしやすいし、輝夜にも良風が吹いてるみたいだな」
良風、つまりは良い習慣と云うこの言葉。吹いているみたいと言ったのは暗に輝夜の悪い習慣が無くなっていると言った様なものだ。
「なっ……前から吹いてますっ!ナナシこそ、ナナシこそ……」
やはりそこは聡い輝夜。俺の言わんとしていることを汲み取ったらしい。
「俺こそ、何だい?」
「何でもないっ!!」
だが、反論出来ずにそう言うと輝夜は立ち上がり、永遠亭の奥へ行ってしまった。
やれやれ……。お姫様は我が儘だな。
.
先程思い出したんだが、今日は中秋の名月らしい。しかも珍しく晴れ……いやはや、夜に晴れと言うのも些か変な感じがするが雨でもなければ曇りでも、ましてや雪でもない。だから晴れなのだ。
「一つ搗いてはダイコクさまー」
「二つ搗いてはダイコクさまー」
とまあ、こんな感じに庭?……竹林の手前辺りから兎達が餅を搗いている声が聞こえて来る。
例月祭と言ったか?ここでは一月の恒例行事みたいなものだ。
「三つ搗いてはカグヤさまー」
「四つ搗いてはエイリンさまー」
そんな和やかな光景を先程と同じ縁側で眺めていた。
「月に御座す高貴で永遠の御方のために」
「搗き続けましょ はぁ 続けましょ」
.
「こんな所でサボって……永琳に言い付けるわよ?」
盆に徳利や先に出来上がっていた団子を乗せて、輝夜が俺に絡んできた。
「心配しなくても、ちゃんと手伝っていたさ」
「何を?」
「兎達がサボっていないかの監視を」
人はこれをサボりと言うんだろう。まあ実際はサボっていたんだけど。
「ナナシ、そんなこと言う暇があるなら、私を手伝いなさいよ……」
馴れない足取りで盆の上の物を運ぶ輝夜。
危なっかしくて見ていられなくなった俺は輝夜の後を追って、ひょいと盆を奪ってやった。
「ちょっ……何するのよ?」
「手伝いだよ、輝夜が運んでると危なっかしくて見てられないから」
「いいからっ、返しなさいっ!!」
盆を奪い返そうと躍起になる輝夜。
それを難無く躱し、俺は目的の場所まで持って行った。
.
「綺麗な月だな」
「ええ、そうね」
三度同じ縁側で月を肴に、輝夜と少し呑んでいた。
「だけど、輝夜の方が奇麗だよ」
「ナナシ、貴方酔ってるのかしら、お世辞を言っても何も出ないわよ?」
「それでいいさ、こうしているだけで満たされるからね」
「そう?なら、私も嬉しいわ」
御猪口を持ち、コツンと小気味の良い音を立て乾杯をする。思えば、初めて輝夜と月見酒を交わした気がする。月に一度は例月祭があると言うのに。
「そういえば、二人で呑むのは始めてね」
どうやら向こうも同じ事を考えていたらしい。
「確かにそうだ。……けど次は出来れば外で呑んでみたいな」
「そうね、ナナシがエスコートしてくれるなら考えないでもないわ」
「はは、お手柔らかに頼むよ」
と一言二言交わし、また酒を一口呑む。
秋は夜が永い。今日は中々眠れなさそうだ。
END
あとがき→
.
はい、ノリでやった輝夜夢です。中秋の名月、満月が綺麗ですね。でも本当に満ちているのか、ほんの少し欠けているのか……地上の私達にはわかりませんね。
現在、月が部屋から正面に見えるタイミングを見計らって団子を食おうとしています。
最近気付いた事は、パチュリーや輝夜と言った、引き篭りが好きということなのです。
でもパチュリーが嫁に変わりない。
久我拓人さんのアルバイト輝夜で輝夜の良さを再認識したくりゅでした。
09/13 00:35
因みに
デフォ主人公名 煌(きら)
なんか夜か月、星か空に関した名前でって感じにしたらこうなった。
季節は移ろい、夏から秋へ……やはりまだ暑さの残滓が漂っている。
夏の妖精達が駄々をこねて、夏が終わるのを先延ばしにしているんだろう。
秋の豊饒神はそれを宥めて、ゆっくりと里に、森に、山に……牽いては幻想郷全土に死と実りを広めていく。
「とはいっても、まだ暑いな……。そう思わないか、輝夜?」
「そうね。確かに暑いけど……」
さぁぁ、と俺と輝夜の間に撫でるような風が吹いた。
その風のお陰で溜まっていた熱気が何処かに流され、ちょっとだけ過ごしやすい空気に代わったようだ。
「ね、涼風が吹くし過ごしづらい訳じゃ無いでしょ?」
柔らかい笑みを俺に向けて来る輝夜。
その顔は何処か誇らしげに見える。
「確かに過ごしやすいし、輝夜にも良風が吹いてるみたいだな」
良風、つまりは良い習慣と云うこの言葉。吹いているみたいと言ったのは暗に輝夜の悪い習慣が無くなっていると言った様なものだ。
「なっ……前から吹いてますっ!ナナシこそ、ナナシこそ……」
やはりそこは聡い輝夜。俺の言わんとしていることを汲み取ったらしい。
「俺こそ、何だい?」
「何でもないっ!!」
だが、反論出来ずにそう言うと輝夜は立ち上がり、永遠亭の奥へ行ってしまった。
やれやれ……。お姫様は我が儘だな。
.
先程思い出したんだが、今日は中秋の名月らしい。しかも珍しく晴れ……いやはや、夜に晴れと言うのも些か変な感じがするが雨でもなければ曇りでも、ましてや雪でもない。だから晴れなのだ。
「一つ搗いてはダイコクさまー」
「二つ搗いてはダイコクさまー」
とまあ、こんな感じに庭?……竹林の手前辺りから兎達が餅を搗いている声が聞こえて来る。
例月祭と言ったか?ここでは一月の恒例行事みたいなものだ。
「三つ搗いてはカグヤさまー」
「四つ搗いてはエイリンさまー」
そんな和やかな光景を先程と同じ縁側で眺めていた。
「月に御座す高貴で永遠の御方のために」
「搗き続けましょ はぁ 続けましょ」
.
「こんな所でサボって……永琳に言い付けるわよ?」
盆に徳利や先に出来上がっていた団子を乗せて、輝夜が俺に絡んできた。
「心配しなくても、ちゃんと手伝っていたさ」
「何を?」
「兎達がサボっていないかの監視を」
人はこれをサボりと言うんだろう。まあ実際はサボっていたんだけど。
「ナナシ、そんなこと言う暇があるなら、私を手伝いなさいよ……」
馴れない足取りで盆の上の物を運ぶ輝夜。
危なっかしくて見ていられなくなった俺は輝夜の後を追って、ひょいと盆を奪ってやった。
「ちょっ……何するのよ?」
「手伝いだよ、輝夜が運んでると危なっかしくて見てられないから」
「いいからっ、返しなさいっ!!」
盆を奪い返そうと躍起になる輝夜。
それを難無く躱し、俺は目的の場所まで持って行った。
.
「綺麗な月だな」
「ええ、そうね」
三度同じ縁側で月を肴に、輝夜と少し呑んでいた。
「だけど、輝夜の方が奇麗だよ」
「ナナシ、貴方酔ってるのかしら、お世辞を言っても何も出ないわよ?」
「それでいいさ、こうしているだけで満たされるからね」
「そう?なら、私も嬉しいわ」
御猪口を持ち、コツンと小気味の良い音を立て乾杯をする。思えば、初めて輝夜と月見酒を交わした気がする。月に一度は例月祭があると言うのに。
「そういえば、二人で呑むのは始めてね」
どうやら向こうも同じ事を考えていたらしい。
「確かにそうだ。……けど次は出来れば外で呑んでみたいな」
「そうね、ナナシがエスコートしてくれるなら考えないでもないわ」
「はは、お手柔らかに頼むよ」
と一言二言交わし、また酒を一口呑む。
秋は夜が永い。今日は中々眠れなさそうだ。
END
あとがき→
.
はい、ノリでやった輝夜夢です。中秋の名月、満月が綺麗ですね。でも本当に満ちているのか、ほんの少し欠けているのか……地上の私達にはわかりませんね。
現在、月が部屋から正面に見えるタイミングを見計らって団子を食おうとしています。
最近気付いた事は、パチュリーや輝夜と言った、引き篭りが好きということなのです。
でもパチュリーが嫁に変わりない。
久我拓人さんのアルバイト輝夜で輝夜の良さを再認識したくりゅでした。
09/13 00:35
因みに
デフォ主人公名 煌(きら)
なんか夜か月、星か空に関した名前でって感じにしたらこうなった。