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【縁も紫も】
「ねぇ、ナナシ。明日にでも外に行かない?」
ある朝、紫がそんなことを尋ねてきた。
外って……散歩にでも行きたいのか?
冬眠なりなんだりで自宅に引き篭っていて、行く場所と云えば博麗をからかいに神社に行くか、西行寺のお嬢様の所に食事しに行くぐらいの紫からすると、自ら散歩に行こうなんて漸くぐうたらな生活から離れる決心が着いたんだろうか。
内心ちょっと嬉しくなった俺は、「いいぜ」と二つ返事で答えてしまった。
「よかったー……ナナシに案内してほしい所とかあったから嬉しいわ」
案内?……なるほど、人里に散歩に行くつもりなのか。確かに買い出しやらお使いで紫よりは多く人里に行ってるからな。さて、何処に連れていこうか……
*
翌日
*
「それじゃあ、張り切って行くわよー!」
「……それ使うのか?」
「当たり前じゃない」
目の前に存在しているのはスキマと呼ばれる代物で、所謂どこでもドア~みたいなものだ。
つまり、ちょっとのぐうたら癖は治ってないみたいだ。
「ほら、早く行きましょ?」
歩いてでも行けるのに……と思いつつ、紫に手を引かれスキマの中に足を踏み入れた。
.
スキマを抜けた先は、人気の少ない裏通りみたいな所だった。
夏の太陽の陽射しの下、木の幹に張り付いているだろう蝉達が五月蝿いくらいに鳴き続けている。
「ほら、早く案内して。ナナシならよく知っているでしょ?」
「ああ、そうだな……」
確かに俺ならよく知ってるよ。
なぜかって?
紫に連れて来られた場所は人里ではなく、幻想郷の外……つまりは前に俺がいた所だからな。
向こうに比べると大分熱く感じる。やっぱりコンクリートとかの反射熱があるからなのか。
人は忙しなく動き、利便性を追求して環境にも少しは配慮した車等が走り回る。なんだか、前まで住んでいたとは思えない世界だった。
適当に紫を連れ歩いていると見覚えのある通りに出てきた。
此処は……
「覚えてるかしら?貴方と初めて会った場所よ」
忘れるはずがない。此処で紫に会って、それから……
「忘れないようにしてたんだからな」
「本当に!?……でも、私のこと怨んでない?」
「怨む?なんでさ」
「だって、私と会わなければ……縁が生まれなければ、ナナシは普通に生活出来たのに……」
.
「なんだ、そんな事か」
「なっ、何よ。そんな事って!?これでもスッゴく悩んでたんだからね!」
慌てて言い返してきた紫の目を見据えて言ってやった。
「俺はな、別に気にしてないんだ。どっちかって言うと紫に会えて凄く嬉しかったんだ。それとな」
いったん言葉を切って、紫の頭に手を置きその頭を撫でながら優しく伝えた。
「俺にとっては向こうでの生活が普通になってるんだ。だから、紫が悩む必要はない」
「ナナシ……ありがとう」
「だから、気にすんなって。それに、せっかく外に来たんだから楽しもうぜ。じゃないと損だろ?」
デートなんだし。と茶化すように付け足して軽く頭を小突く。
「…ええ、そうね」
紫は少しだけ顔を朱に染めながら小さく頷いた。
さてと、どこに行こうか?
END
あとがき→
.
はい、紫夢でした。
八月までに作れてよかったー……
なんだか、ちょっとした続きもの多いですね。
因みに『スキマの向こうで出会えたら』を読んでからなら話が繋がってる……………はず
糾様、リクエストありがとうございました。
「ねぇ、ナナシ。明日にでも外に行かない?」
ある朝、紫がそんなことを尋ねてきた。
外って……散歩にでも行きたいのか?
冬眠なりなんだりで自宅に引き篭っていて、行く場所と云えば博麗をからかいに神社に行くか、西行寺のお嬢様の所に食事しに行くぐらいの紫からすると、自ら散歩に行こうなんて漸くぐうたらな生活から離れる決心が着いたんだろうか。
内心ちょっと嬉しくなった俺は、「いいぜ」と二つ返事で答えてしまった。
「よかったー……ナナシに案内してほしい所とかあったから嬉しいわ」
案内?……なるほど、人里に散歩に行くつもりなのか。確かに買い出しやらお使いで紫よりは多く人里に行ってるからな。さて、何処に連れていこうか……
*
翌日
*
「それじゃあ、張り切って行くわよー!」
「……それ使うのか?」
「当たり前じゃない」
目の前に存在しているのはスキマと呼ばれる代物で、所謂どこでもドア~みたいなものだ。
つまり、ちょっとのぐうたら癖は治ってないみたいだ。
「ほら、早く行きましょ?」
歩いてでも行けるのに……と思いつつ、紫に手を引かれスキマの中に足を踏み入れた。
.
スキマを抜けた先は、人気の少ない裏通りみたいな所だった。
夏の太陽の陽射しの下、木の幹に張り付いているだろう蝉達が五月蝿いくらいに鳴き続けている。
「ほら、早く案内して。ナナシならよく知っているでしょ?」
「ああ、そうだな……」
確かに俺ならよく知ってるよ。
なぜかって?
紫に連れて来られた場所は人里ではなく、幻想郷の外……つまりは前に俺がいた所だからな。
向こうに比べると大分熱く感じる。やっぱりコンクリートとかの反射熱があるからなのか。
人は忙しなく動き、利便性を追求して環境にも少しは配慮した車等が走り回る。なんだか、前まで住んでいたとは思えない世界だった。
適当に紫を連れ歩いていると見覚えのある通りに出てきた。
此処は……
「覚えてるかしら?貴方と初めて会った場所よ」
忘れるはずがない。此処で紫に会って、それから……
「忘れないようにしてたんだからな」
「本当に!?……でも、私のこと怨んでない?」
「怨む?なんでさ」
「だって、私と会わなければ……縁が生まれなければ、ナナシは普通に生活出来たのに……」
.
「なんだ、そんな事か」
「なっ、何よ。そんな事って!?これでもスッゴく悩んでたんだからね!」
慌てて言い返してきた紫の目を見据えて言ってやった。
「俺はな、別に気にしてないんだ。どっちかって言うと紫に会えて凄く嬉しかったんだ。それとな」
いったん言葉を切って、紫の頭に手を置きその頭を撫でながら優しく伝えた。
「俺にとっては向こうでの生活が普通になってるんだ。だから、紫が悩む必要はない」
「ナナシ……ありがとう」
「だから、気にすんなって。それに、せっかく外に来たんだから楽しもうぜ。じゃないと損だろ?」
デートなんだし。と茶化すように付け足して軽く頭を小突く。
「…ええ、そうね」
紫は少しだけ顔を朱に染めながら小さく頷いた。
さてと、どこに行こうか?
END
あとがき→
.
はい、紫夢でした。
八月までに作れてよかったー……
なんだか、ちょっとした続きもの多いですね。
因みに『スキマの向こうで出会えたら』を読んでからなら話が繋がってる……………はず
糾様、リクエストありがとうございました。