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【紅い館の】
俺の目の前には禍々しいほどに紅い館がそびえ立っている。
「ここが悪魔の館か?」
出来ればそうであってほしい。
なんせ森に入ってからは二三日迷うわ、食料盗られるわで散々な目にあったからな。
「神祖なる者……コイツなら懸賞金がっぽりだし、割に合うだろ」
まぁ、依頼書とは少々違う点があるが問題無いだろ。
「それじゃあ、仕事に励みますか?」
俺は獲物を握り締め、門番のいない正門らしきところを悠々と進んだ。
館は外観よりも広く、果てのない廊下を歩いている感覚に捕われた。
「つか、室内まで紅一色かよ……目が痛くなるっての」
そして不思議な事に三、四十分歩き続けているというのに、館の者と全くすれ違わない。
いや、生き物の気配がしないのだ。
「こりゃ当たりかね?」
ふと、心中を呟いてしまったが聞く相手がいないんだ。独り言って事で。
しばらく歩いていると、異様な存在感を放っている扉が現れた。
「もしかしなくても、この先にいるよな……」
よしっ!
扉を蹴破り今回の標的に向かって高らかに宣言した。
「ちーす。貴方の街の何でも掃除屋のナナシでーす。いきなりだけど……アンタの首、捕らせてもらうぜ!」
.
「掃除屋?そんなもの頼んだ覚えは無いけど」
「街の人間からの要望でな。この館を黙って出ていくんなら、危害は加えんさ。でも、抵抗するなら……手段は選ばんぜ?」
「へぇ、人間ごときが私を殺すと?……面白いじゃない。咲夜」
「はい、お嬢様」
標的が従者の名前を呼んだとたん、音も無くその傍に現れた。
何がどうなってんだ?
「貴方が咲夜に勝てれば遊んであげる。手加減なんてしたらすぐに負けるわよ?それと咲夜?」
「なんでしょうか」
「あの人間は、貴女の好きなように痛め付けたり嬲ったりしていいから」
「畏まりました」
はいっ?
いやいや、こっちは畏まってないっての!
「ナナシさん……でしたっけ?あっさりやられてしまっては私がつまらないので、這ってでも逃げてくださいね」
刹那、俺の頬の横を何かが通り過ぎていった。
「……最近の従者さんってのは、ナイフを投擲するのが流行りなのか?」
次々と飛んで来るナイフを躱し続ける。何たって一直線にしか飛ばないからな。初めの動作で見抜けるわ。
「フフッ」
なんで笑っているんだろうか?ホントに殺し合いが好きなのか?
急に右太股に鋭い痛みが襲ってきた。
「なん……で?」
.
クソッ……もう躱せねぇ…。
あれから何本ものナイフが体に突き刺さった。
全て避けているのに気づいたら刺さっている。
「もう終わりですか?」
「どう……かな?こっちはまだ攻めちゃないんだぜ?」
「フフッ……戯言を」
肩に担いでいた幅広の剣を思いっ切り従者に向かって投げつける。
「全く……無駄な足掻きですね」
「まだまだぁ!」
続いて左腕に刺さっていた三本のナイフを引き抜き投げつける。
狙いは剣を避けた先!
これなら……
「だから言ったでしょう?無駄な足掻きって」
従者はいつの間にか俺の背後に立っていた。投げ付けた剣とナイフは壁に突き刺さり、独特なモニュメントになっている。
「私相手にここまでしたのは貴方ぐらいですよ。ですから負けてください、ナナシさん」
「いや……、これでチェックメイトだ」
右足の太股に刺さっていたナイフを引き抜き、従者の首元に切っ先を向ける。
.
「くっ……」
「そこまでね」
「お嬢様!?私はまだ負けて……」
「そっちの人間の負けよ。立ったまま気絶するなんて珍しいわね」
「それで、この方はどうしますか?」
「貴女の好きにしていいわよ。煮るなり焼くなりね」
「と言われてもねぇ……一応手当はしたけど。どうしようかしら?」
「んっ……」
「やっとお目覚め?暢気なものね」
「……ここは?」
「貴方、自分が乗り込んだ所も覚えてないの?」
「乗り込んだ……ああ、そうか。それで負けた俺は殺されると」
「お望みならね。貴方を自由にしていいとお嬢様からも言われてますし」
「それじゃ、雇ってくれないかな?」
「雇う?貴方を」
「そっ、俺もまだ死にたくないし。それに、アンタみたいな綺麗な人と働けるんだからな」
「からかわないでくれる?……十六夜咲夜よ。よろしくね、ナナシさん」
「ん、ああよろしくな」
END
→あとがき
.
はい、咲夜夢でした。
これで行くか!と決めて種書き無しで書いてみたけれど、やっぱり3、4個は書いといたほうがいいみたいですね。
恋愛要素が薄くてすみません。
ではまた!
盟様
リクエストありがとうございました。
先の更新の際にお礼を言いそびれました。申し訳ありません。
2011/ 6/22
.
俺の目の前には禍々しいほどに紅い館がそびえ立っている。
「ここが悪魔の館か?」
出来ればそうであってほしい。
なんせ森に入ってからは二三日迷うわ、食料盗られるわで散々な目にあったからな。
「神祖なる者……コイツなら懸賞金がっぽりだし、割に合うだろ」
まぁ、依頼書とは少々違う点があるが問題無いだろ。
「それじゃあ、仕事に励みますか?」
俺は獲物を握り締め、門番のいない正門らしきところを悠々と進んだ。
館は外観よりも広く、果てのない廊下を歩いている感覚に捕われた。
「つか、室内まで紅一色かよ……目が痛くなるっての」
そして不思議な事に三、四十分歩き続けているというのに、館の者と全くすれ違わない。
いや、生き物の気配がしないのだ。
「こりゃ当たりかね?」
ふと、心中を呟いてしまったが聞く相手がいないんだ。独り言って事で。
しばらく歩いていると、異様な存在感を放っている扉が現れた。
「もしかしなくても、この先にいるよな……」
よしっ!
扉を蹴破り今回の標的に向かって高らかに宣言した。
「ちーす。貴方の街の何でも掃除屋のナナシでーす。いきなりだけど……アンタの首、捕らせてもらうぜ!」
.
「掃除屋?そんなもの頼んだ覚えは無いけど」
「街の人間からの要望でな。この館を黙って出ていくんなら、危害は加えんさ。でも、抵抗するなら……手段は選ばんぜ?」
「へぇ、人間ごときが私を殺すと?……面白いじゃない。咲夜」
「はい、お嬢様」
標的が従者の名前を呼んだとたん、音も無くその傍に現れた。
何がどうなってんだ?
「貴方が咲夜に勝てれば遊んであげる。手加減なんてしたらすぐに負けるわよ?それと咲夜?」
「なんでしょうか」
「あの人間は、貴女の好きなように痛め付けたり嬲ったりしていいから」
「畏まりました」
はいっ?
いやいや、こっちは畏まってないっての!
「ナナシさん……でしたっけ?あっさりやられてしまっては私がつまらないので、這ってでも逃げてくださいね」
刹那、俺の頬の横を何かが通り過ぎていった。
「……最近の従者さんってのは、ナイフを投擲するのが流行りなのか?」
次々と飛んで来るナイフを躱し続ける。何たって一直線にしか飛ばないからな。初めの動作で見抜けるわ。
「フフッ」
なんで笑っているんだろうか?ホントに殺し合いが好きなのか?
急に右太股に鋭い痛みが襲ってきた。
「なん……で?」
.
クソッ……もう躱せねぇ…。
あれから何本ものナイフが体に突き刺さった。
全て避けているのに気づいたら刺さっている。
「もう終わりですか?」
「どう……かな?こっちはまだ攻めちゃないんだぜ?」
「フフッ……戯言を」
肩に担いでいた幅広の剣を思いっ切り従者に向かって投げつける。
「全く……無駄な足掻きですね」
「まだまだぁ!」
続いて左腕に刺さっていた三本のナイフを引き抜き投げつける。
狙いは剣を避けた先!
これなら……
「だから言ったでしょう?無駄な足掻きって」
従者はいつの間にか俺の背後に立っていた。投げ付けた剣とナイフは壁に突き刺さり、独特なモニュメントになっている。
「私相手にここまでしたのは貴方ぐらいですよ。ですから負けてください、ナナシさん」
「いや……、これでチェックメイトだ」
右足の太股に刺さっていたナイフを引き抜き、従者の首元に切っ先を向ける。
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「くっ……」
「そこまでね」
「お嬢様!?私はまだ負けて……」
「そっちの人間の負けよ。立ったまま気絶するなんて珍しいわね」
「それで、この方はどうしますか?」
「貴女の好きにしていいわよ。煮るなり焼くなりね」
「と言われてもねぇ……一応手当はしたけど。どうしようかしら?」
「んっ……」
「やっとお目覚め?暢気なものね」
「……ここは?」
「貴方、自分が乗り込んだ所も覚えてないの?」
「乗り込んだ……ああ、そうか。それで負けた俺は殺されると」
「お望みならね。貴方を自由にしていいとお嬢様からも言われてますし」
「それじゃ、雇ってくれないかな?」
「雇う?貴方を」
「そっ、俺もまだ死にたくないし。それに、アンタみたいな綺麗な人と働けるんだからな」
「からかわないでくれる?……十六夜咲夜よ。よろしくね、ナナシさん」
「ん、ああよろしくな」
END
→あとがき
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はい、咲夜夢でした。
これで行くか!と決めて種書き無しで書いてみたけれど、やっぱり3、4個は書いといたほうがいいみたいですね。
恋愛要素が薄くてすみません。
ではまた!
盟様
リクエストありがとうございました。
先の更新の際にお礼を言いそびれました。申し訳ありません。
2011/ 6/22
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