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【ティータイム】
ども、紅魔館の庭師のナナシです。
今日は咲夜と一緒に買い出しに里まで来ています。
ちなみに妖怪だけど、上白沢さんに里に入る許可証代わりに博麗の御札を張られているので問題無し。
「それで、何を買うんだっけ?」
「えっと、銀のナイフに紅茶の葉でしょ。あとは……何かあったかしら?」
「特にないんじゃないかな。あるとしたら食材ぐらいだよ」
大体月に一度ほど、屋敷内の様々な消耗品と食品を買い出しに来ているのだけど、如何せん紅魔館は広いので何がどれくらい必要なのか把握しきれない。
一応咲夜が解っている範囲の物を買い出しに行くから、それまでに各自必要な物をメモ書きでも口頭でもいいから伝えないと補充されないようになっている。
僕は荷物持ちと、自分の買い出しを一緒に行っているので、補充しそびれる事はないんだ。
.
「ふぅ……これくらいかしら?」
様々な紅茶の葉が一杯に詰まった紙袋を両手で抱え、人里を練り歩く。
「銀食器ってこれだけでよかったの?」
咲夜が買ったのは一本のティースプーン。
その一本にしても、小一時間かけて選んでいた。
「そこまで失くなってないから大丈夫よ。あとは……」
咲夜が辺りを見渡し、ある方を眺めたまま固まってしまった。
「どうかしたの、咲夜?」
「あっナナシ。ちょっとあのお店に寄っていいかしら?」
.
「いらっしゃいませー」
「わぁ……」
「へぇ……」
咲夜が見つけたのは最近里の中でちらほらと見かける“アクセサリーショップ”という所だ。
以前から指輪や首飾り、腕輪。変わり種としてはロザリオや十字架は個人で作成販売してたり、後者に関しては森の入口近くの道具屋で取り扱っていたけど、ここみたいにそれだけを扱う店はなかった。
多分外から流れ着いた物を見つけて、真似をしてここまで発展したんだろう。
人間ってすごい。
「初めて来るけど、いろいろあるんだね」
「このブローチお嬢様に似合いそうね……ああ、この指輪も……けどお嬢様は十字架苦手だし……」
ダメだ、聞こえてない。
「おにーさんおにーさん」
「ん、僕の事?」
ここの店員だろう。客受けの良さそうな女性が話し掛けてきた。
「そうですよ。何をお探しで?」
「何をと言われても……なんせ初めて来たからね」
「初めてなんですか!?だったら、ちょいとサービスしますよ?」
「本当に?」
「ええ、任せてください!流石に只とは言えませんけど」
.
「じゃあ、これを貰えるかな?」
「はいっ、それじゃあ値段はこんくらいでどうです?」
「えっ!?いくらなんでも負けすぎじゃない?」
「いいのいいの。こっちも店を立ち上げたばかりなんで、ついでに宣伝してもらえると大助かりなんですが……」
「それだったら任せて、顔が利く知り合いは多いはずだから」
「ふふっ、お買い上げありがとうございますね。おにーさん」
個人的な買い物を終えて、咲夜を見ると未だに夢想していた。
「いいえ、ロザリオは流石に……やっぱり無難にネックレスかしら?……でもこの幅広の無機質な腕輪とアンクレットは拘束しているみたいで……」
「ちょっと咲夜、何堂々とお嬢を脳内でいじめて楽しんでるの?」
「い…いやね、ナナシ。愉しんでなんかないわよ。
ただちょっーと悦んでくれるか想像していただけよ」
「咲夜、亡い女を想うって書いて妄想って言うんだよ……。
とにかく、そろそろ行こ?買い物は済んだんだから」
「そうね……また今度来ましょ」
そう言って咲夜は先に店を出て行ってしまった。
それまでにお嬢様の腕と足首の大きさを計らないと、と呟いて。
冗談だよね?
.
「ちょっと遅くなっちゃったわね」
「まぁ、これだけ買い込めばね」
紅茶の葉の他にそろそろ底が尽きそうな食品をいくらか、それと銀のナイフを僕の両手でぎりぎり抱え切れるぐらいの量を買っている。
「これ全部厨房に置いていいの?」
「後で私が仕分けるから大丈夫よ」
「そう?あっ…そうだ。はい、咲夜」
ポケットに忍ばせておいた小袋を咲夜に手渡す。
「ナナシ、これは?」
「いつもお世話になってるお礼。本当は指輪がよかったけど、それだと仕事中に邪魔になりそうだから首飾りにしたんだ……いらなかった?」
「そうじゃなくて、ナナシがプレゼントくれるなんて珍しいから。嬉しい」
よかった、喜んでくれて。
「そうね……お返しにならないかもだけど、紅茶でも飲む?」
「魅力的なお誘いだけど、わざわざ来客用のティーセットを出させる訳には……」
「はい、どうぞ」
カタリ、と僕の前に紅茶が差し出された。
ティーカップとソーサーは森の道具屋で見かけた物、ティースプーンは咲夜が時間をかけて選んでいた物だ。
これじゃあ断れないじゃないか。
「それじゃあ、頂こうかな?」
終わり
→あとがき
.
くりゅです。
はいさー、咲夜夢でした。
自分の中では珍しく、続き物。別に前回のリクエストを読んでなくても読めるはず。
盟様、リクエストありがとうございました。
またのリクエストをお待ちしてます。
ども、紅魔館の庭師のナナシです。
今日は咲夜と一緒に買い出しに里まで来ています。
ちなみに妖怪だけど、上白沢さんに里に入る許可証代わりに博麗の御札を張られているので問題無し。
「それで、何を買うんだっけ?」
「えっと、銀のナイフに紅茶の葉でしょ。あとは……何かあったかしら?」
「特にないんじゃないかな。あるとしたら食材ぐらいだよ」
大体月に一度ほど、屋敷内の様々な消耗品と食品を買い出しに来ているのだけど、如何せん紅魔館は広いので何がどれくらい必要なのか把握しきれない。
一応咲夜が解っている範囲の物を買い出しに行くから、それまでに各自必要な物をメモ書きでも口頭でもいいから伝えないと補充されないようになっている。
僕は荷物持ちと、自分の買い出しを一緒に行っているので、補充しそびれる事はないんだ。
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「ふぅ……これくらいかしら?」
様々な紅茶の葉が一杯に詰まった紙袋を両手で抱え、人里を練り歩く。
「銀食器ってこれだけでよかったの?」
咲夜が買ったのは一本のティースプーン。
その一本にしても、小一時間かけて選んでいた。
「そこまで失くなってないから大丈夫よ。あとは……」
咲夜が辺りを見渡し、ある方を眺めたまま固まってしまった。
「どうかしたの、咲夜?」
「あっナナシ。ちょっとあのお店に寄っていいかしら?」
.
「いらっしゃいませー」
「わぁ……」
「へぇ……」
咲夜が見つけたのは最近里の中でちらほらと見かける“アクセサリーショップ”という所だ。
以前から指輪や首飾り、腕輪。変わり種としてはロザリオや十字架は個人で作成販売してたり、後者に関しては森の入口近くの道具屋で取り扱っていたけど、ここみたいにそれだけを扱う店はなかった。
多分外から流れ着いた物を見つけて、真似をしてここまで発展したんだろう。
人間ってすごい。
「初めて来るけど、いろいろあるんだね」
「このブローチお嬢様に似合いそうね……ああ、この指輪も……けどお嬢様は十字架苦手だし……」
ダメだ、聞こえてない。
「おにーさんおにーさん」
「ん、僕の事?」
ここの店員だろう。客受けの良さそうな女性が話し掛けてきた。
「そうですよ。何をお探しで?」
「何をと言われても……なんせ初めて来たからね」
「初めてなんですか!?だったら、ちょいとサービスしますよ?」
「本当に?」
「ええ、任せてください!流石に只とは言えませんけど」
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「じゃあ、これを貰えるかな?」
「はいっ、それじゃあ値段はこんくらいでどうです?」
「えっ!?いくらなんでも負けすぎじゃない?」
「いいのいいの。こっちも店を立ち上げたばかりなんで、ついでに宣伝してもらえると大助かりなんですが……」
「それだったら任せて、顔が利く知り合いは多いはずだから」
「ふふっ、お買い上げありがとうございますね。おにーさん」
個人的な買い物を終えて、咲夜を見ると未だに夢想していた。
「いいえ、ロザリオは流石に……やっぱり無難にネックレスかしら?……でもこの幅広の無機質な腕輪とアンクレットは拘束しているみたいで……」
「ちょっと咲夜、何堂々とお嬢を脳内でいじめて楽しんでるの?」
「い…いやね、ナナシ。愉しんでなんかないわよ。
ただちょっーと悦んでくれるか想像していただけよ」
「咲夜、亡い女を想うって書いて妄想って言うんだよ……。
とにかく、そろそろ行こ?買い物は済んだんだから」
「そうね……また今度来ましょ」
そう言って咲夜は先に店を出て行ってしまった。
それまでにお嬢様の腕と足首の大きさを計らないと、と呟いて。
冗談だよね?
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「ちょっと遅くなっちゃったわね」
「まぁ、これだけ買い込めばね」
紅茶の葉の他にそろそろ底が尽きそうな食品をいくらか、それと銀のナイフを僕の両手でぎりぎり抱え切れるぐらいの量を買っている。
「これ全部厨房に置いていいの?」
「後で私が仕分けるから大丈夫よ」
「そう?あっ…そうだ。はい、咲夜」
ポケットに忍ばせておいた小袋を咲夜に手渡す。
「ナナシ、これは?」
「いつもお世話になってるお礼。本当は指輪がよかったけど、それだと仕事中に邪魔になりそうだから首飾りにしたんだ……いらなかった?」
「そうじゃなくて、ナナシがプレゼントくれるなんて珍しいから。嬉しい」
よかった、喜んでくれて。
「そうね……お返しにならないかもだけど、紅茶でも飲む?」
「魅力的なお誘いだけど、わざわざ来客用のティーセットを出させる訳には……」
「はい、どうぞ」
カタリ、と僕の前に紅茶が差し出された。
ティーカップとソーサーは森の道具屋で見かけた物、ティースプーンは咲夜が時間をかけて選んでいた物だ。
これじゃあ断れないじゃないか。
「それじゃあ、頂こうかな?」
終わり
→あとがき
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くりゅです。
はいさー、咲夜夢でした。
自分の中では珍しく、続き物。別に前回のリクエストを読んでなくても読めるはず。
盟様、リクエストありがとうございました。
またのリクエストをお待ちしてます。