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【涼やかな彼女】
幻想郷に夏がやって来た。
寂れた神社も、紅い館も、竹林の診療所も夏の強い日差しに曝されていた。
そんな中、ここ霧の湖は程よい涼しさを保っていた。
「ナナシ~」
「おっ、どうしたチルノ?」
「さっき、山の上の神子が来て、ナナシと一緒に神社に来て欲しいって」
「早苗さんがか?」
だとしたら真面目な話かもしれないし、急いだ方がいいのかな?
「チルノは行けるのか?」
「ん~?いつでも行けるよ」
「じゃあ、待たせるのも悪いし早く行こうか」
「いや~悪い。ここは他に比べて高いから、熱くて仕方なくてね」
「すみません、ナナシさん。お二人がどうしても、と言うので」
「だってさ~、仕方ないじゃん。神様だって暑いものは暑いのだよ?」
「諏訪子の言う通り。寧ろ神自ら呼んだのだから信仰してもいいんだぞ?」
生憎、無宗教なのですが……。
チルノが神社の要所要所に氷を作り終え休んでいるところに、別の人が現れた。
「ようやく見つけましたよ、チルノさんにナナシさん」
「ん?鴉天狗じゃないか。どうしたんだ?」
「神奈子様、このお二人をちょっと借りて行きますね、では!!」
射命丸に連れていかれてからは、もう各所をたらい回しにされた。
妖怪の山から、永遠亭、人里、香霖堂、アリス邸、魔理沙宅、紅魔館、地霊殿、命蓮寺、白玉楼、マヨヒガ、そして……
「ありがとう。本当にほんっとうに助かったわ」
「それはチルノに言ってあげてくださいよ」
「チルノー、あんた意外と役に立つじゃない」
「そうだろ?なんたって、アタイは最強なんだからな!!」
「そうだ、ナナシくん。人助けついでに、お賽銭入れてかない?」
「慎んでお断りします」
「何よ、ケチ」
「こっちも、いっぱいいっぱいなんで」
帰り道。今日の事を思い返す。
自分が考えていたより、チルノが皆に頼られていたこと。
これは、夏だからかも知れないけど、それでもちょっと胸の奥がモヤモヤしてしまう。
いくら同性でも、自分が好きな子が他人に笑顔を向けているのを見ると、嫉妬してしまう。
「ナナシ?どうかした?」
「なんでもない」
心配させているのに、無愛想に言いすぎた。チルノが悪いわけじゃないのに。
「なんか、ナナシ怒ってる?」
「怒ってない」
「アタイ知ってるよ、そういう時はね……」
「だから、怒ってないって言って――――――」
チルノの方を向いた途端、額がひんやりとしたものに触れた。
そして、その冷気は額だけでなく、両頬にもやって来た。
「頭を冷やしたらいいんだよ」
チルノが両手で僕の頭の動きを押さえ額を当てて来た事を理解するのに数瞬かかった。
「ちっチルノ?いきなり何を?」
「あれ、余計に赤くなった?ナナシ、もう少し冷やすからじっとしてて」
今度はチルノが額を当てようと顔を近づけてくるのを見てしまった。
目を閉じているので、キスを急かしているようにも見えなくはないが……。
「いや、もう怒ってないから。冷やさなくて大丈夫だって」
これ以上されると、さらに赤くなりそうだし。
「本当に怒ってない?」
「本当だって」
「じゃあ、はい」
そう言ってチルノは手を差し出してきた。
「ほら、ナナシ。一緒に帰ろうよ」
あぁ、つまりは手を繋いで帰ろうと言うことか。
「そうだな。早く帰ろう」
繋いだ手はいつもより冷たくて、それが彼女の存在をより際立たせていた。
もしかしたら、僕の手が熱かっただけかもしれないけど。
あとがき→
本来ならもう少し長いんですが、削って削って、こうなりました。
妖怪の山からマヨヒガまでの会話はご想像にお任せします。
くりゅでした。
感想、誤字脱字等は感想板に
幻想郷に夏がやって来た。
寂れた神社も、紅い館も、竹林の診療所も夏の強い日差しに曝されていた。
そんな中、ここ霧の湖は程よい涼しさを保っていた。
「ナナシ~」
「おっ、どうしたチルノ?」
「さっき、山の上の神子が来て、ナナシと一緒に神社に来て欲しいって」
「早苗さんがか?」
だとしたら真面目な話かもしれないし、急いだ方がいいのかな?
「チルノは行けるのか?」
「ん~?いつでも行けるよ」
「じゃあ、待たせるのも悪いし早く行こうか」
「いや~悪い。ここは他に比べて高いから、熱くて仕方なくてね」
「すみません、ナナシさん。お二人がどうしても、と言うので」
「だってさ~、仕方ないじゃん。神様だって暑いものは暑いのだよ?」
「諏訪子の言う通り。寧ろ神自ら呼んだのだから信仰してもいいんだぞ?」
生憎、無宗教なのですが……。
チルノが神社の要所要所に氷を作り終え休んでいるところに、別の人が現れた。
「ようやく見つけましたよ、チルノさんにナナシさん」
「ん?鴉天狗じゃないか。どうしたんだ?」
「神奈子様、このお二人をちょっと借りて行きますね、では!!」
射命丸に連れていかれてからは、もう各所をたらい回しにされた。
妖怪の山から、永遠亭、人里、香霖堂、アリス邸、魔理沙宅、紅魔館、地霊殿、命蓮寺、白玉楼、マヨヒガ、そして……
「ありがとう。本当にほんっとうに助かったわ」
「それはチルノに言ってあげてくださいよ」
「チルノー、あんた意外と役に立つじゃない」
「そうだろ?なんたって、アタイは最強なんだからな!!」
「そうだ、ナナシくん。人助けついでに、お賽銭入れてかない?」
「慎んでお断りします」
「何よ、ケチ」
「こっちも、いっぱいいっぱいなんで」
帰り道。今日の事を思い返す。
自分が考えていたより、チルノが皆に頼られていたこと。
これは、夏だからかも知れないけど、それでもちょっと胸の奥がモヤモヤしてしまう。
いくら同性でも、自分が好きな子が他人に笑顔を向けているのを見ると、嫉妬してしまう。
「ナナシ?どうかした?」
「なんでもない」
心配させているのに、無愛想に言いすぎた。チルノが悪いわけじゃないのに。
「なんか、ナナシ怒ってる?」
「怒ってない」
「アタイ知ってるよ、そういう時はね……」
「だから、怒ってないって言って――――――」
チルノの方を向いた途端、額がひんやりとしたものに触れた。
そして、その冷気は額だけでなく、両頬にもやって来た。
「頭を冷やしたらいいんだよ」
チルノが両手で僕の頭の動きを押さえ額を当てて来た事を理解するのに数瞬かかった。
「ちっチルノ?いきなり何を?」
「あれ、余計に赤くなった?ナナシ、もう少し冷やすからじっとしてて」
今度はチルノが額を当てようと顔を近づけてくるのを見てしまった。
目を閉じているので、キスを急かしているようにも見えなくはないが……。
「いや、もう怒ってないから。冷やさなくて大丈夫だって」
これ以上されると、さらに赤くなりそうだし。
「本当に怒ってない?」
「本当だって」
「じゃあ、はい」
そう言ってチルノは手を差し出してきた。
「ほら、ナナシ。一緒に帰ろうよ」
あぁ、つまりは手を繋いで帰ろうと言うことか。
「そうだな。早く帰ろう」
繋いだ手はいつもより冷たくて、それが彼女の存在をより際立たせていた。
もしかしたら、僕の手が熱かっただけかもしれないけど。
あとがき→
本来ならもう少し長いんですが、削って削って、こうなりました。
妖怪の山からマヨヒガまでの会話はご想像にお任せします。
くりゅでした。
感想、誤字脱字等は感想板に