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【スキマの向こうで会えたなら】
「あー暇ね……藍、なにか面白いことない?」
「ありませんよ、最近は特にこれといった異変もなく、平和そのものです」
「むー」
やはり藍はしっかりしている。
これなら今日は結界の管理を任せても大丈夫ね。
そして私は自分の下にスキマを開き、幻想郷の外側の世界、日本へと向かった。
「紫様、お願いですから、無闇に厄介事を起こさないで下さいね。聞いてますか、紫様?」
私が訪れたのは、日本のある地方都市だった。
夕暮れ時は学生が多い。
駅に向かう学生、学舎で話をしている学生、帰りに何処かに立ち寄る学生と様々だ。
そんな中私は、一人変わった少年を見つけた。
駅に向かう訳でも、話をしている訳でも、何処かに立ち寄る訳でもなく、只、学舎の門に背中を預け、空を眺めていた。
子どもと大人の境に存在しているようなその少年に、多少の興味を抱き、気がつけば彼に話しかけていた。
「こんばんは。何を見ているのかしら?」
「……え、はい。こんばんは。何か用ですか?」
「何を見ていたの?」
「空を見てたんです」
「空?」
言われて、空を見上げるが何もない。
いたって普通の空だ。
「何もないじゃない」
「それで良いんですよ。何もないからこそ、そこに何かある気がするんです。例えば……別の世界、とか」
不覚にもときめいてしまった。
ここまで純真に別の世界が存在することを信じている少年を、私は見たことがなかったから。
それに、笑顔が可愛い。
「あなた、名前は?」
「ナナシです」
「ナナシ、あなたがもし別の世界に行けたとしたらどうする?」
その言葉にナナシは目を点にしていた。
それもそうだ。出会って三十分も経ってない人にそんなこと言われたら、誰だってそうなるはずだ。
「うーん、今すぐには行きたくないな。もし行くんだとしたら、今の生活が終わってからかな?」
今の生活というのは学生生活何だろうか。
単に友人達と離れたくない、そういうことかもしれない。
「そう。じゃあ、私はこれで失礼しますね」
「あの、すみませんけど、名前……教えて貰って良いですか?」
「紫よ。八雲紫。ナナシ、あなたが私の事を覚えていられたら、またいつか会いましょう」
そう残し、私は人気の無い道から幻想郷へと戻った。
「あぁ、暇ね。すごく暇。藍、何か面白いことない?」
「ありませんよ。……というより、何回目ですか?その質問は。
何も起きてませんから、大人しくしててください」
「えー、つまんなーい。
そうだ、今から霊夢のとこに行くわね」
「だから、大人しく……」
「バイバーイ♪」
博麗神社に行くと、何やら面白そうなことが起きていた。
「幻想郷って?
戻るにはどうしたらいいんだ?」
「だから言ったでしょ?戻る方法なんてないわよ」
「そんな……」
「ハロー、霊夢」
「紫……またアンタの仕業?」
「やーねー、違うわよ。今回はね。
……でも、貴方は私に会ったことがあるわよね、ナナシ」
「えっ……あー!?あの時の美人さん!」
「美人って……褒めても何も出ないわよ?」
「外見はそうだけど、中身はババァよね」
「霊夢、今何か言ったかしら?」
「別にー。で、何の用なの?」
「そうそう、この子、私が貰ってもいい?」
「いいわよ。むしろ持ってちゃって」
「ありがと、霊夢」
私はナナシの手をとり、再びスキマの中に戻っていった。
マヨヒガにて
「それにしても、よく覚えてられたわね?」
「そりゃ、紫さんみたいに綺麗な人は他にいませんから」
そう言うナナシの頭を軽く叩く。
「いたっ……何するんですか?」
「紫と呼びなさい」
「へっ?」
「貴方にそう呼んで欲しいの。それに好きな者どうしが名前で呼び合うのは当然でしょ?そこに『さん』とかつけないの」
「はいわかりまし……えっ?紫さ……紫、今なんて」
「鈍いわね……貴方が好きと言ったのよ。
それとも、私みたいなオバさんじゃ嫌?」
「紫はオバさんじゃないよ。……じゃなくて、えっ?紫さんが俺のことを……好き?」
「フフッ、初心ね。でも、そんなところが好きなんだけど」
END
はいどうも、いつも最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
くりゅです。
紫甘夢でした。
……甘いのか、これは?
あと二つ。消化まで。
頑張ろう。
「あー暇ね……藍、なにか面白いことない?」
「ありませんよ、最近は特にこれといった異変もなく、平和そのものです」
「むー」
やはり藍はしっかりしている。
これなら今日は結界の管理を任せても大丈夫ね。
そして私は自分の下にスキマを開き、幻想郷の外側の世界、日本へと向かった。
「紫様、お願いですから、無闇に厄介事を起こさないで下さいね。聞いてますか、紫様?」
私が訪れたのは、日本のある地方都市だった。
夕暮れ時は学生が多い。
駅に向かう学生、学舎で話をしている学生、帰りに何処かに立ち寄る学生と様々だ。
そんな中私は、一人変わった少年を見つけた。
駅に向かう訳でも、話をしている訳でも、何処かに立ち寄る訳でもなく、只、学舎の門に背中を預け、空を眺めていた。
子どもと大人の境に存在しているようなその少年に、多少の興味を抱き、気がつけば彼に話しかけていた。
「こんばんは。何を見ているのかしら?」
「……え、はい。こんばんは。何か用ですか?」
「何を見ていたの?」
「空を見てたんです」
「空?」
言われて、空を見上げるが何もない。
いたって普通の空だ。
「何もないじゃない」
「それで良いんですよ。何もないからこそ、そこに何かある気がするんです。例えば……別の世界、とか」
不覚にもときめいてしまった。
ここまで純真に別の世界が存在することを信じている少年を、私は見たことがなかったから。
それに、笑顔が可愛い。
「あなた、名前は?」
「ナナシです」
「ナナシ、あなたがもし別の世界に行けたとしたらどうする?」
その言葉にナナシは目を点にしていた。
それもそうだ。出会って三十分も経ってない人にそんなこと言われたら、誰だってそうなるはずだ。
「うーん、今すぐには行きたくないな。もし行くんだとしたら、今の生活が終わってからかな?」
今の生活というのは学生生活何だろうか。
単に友人達と離れたくない、そういうことかもしれない。
「そう。じゃあ、私はこれで失礼しますね」
「あの、すみませんけど、名前……教えて貰って良いですか?」
「紫よ。八雲紫。ナナシ、あなたが私の事を覚えていられたら、またいつか会いましょう」
そう残し、私は人気の無い道から幻想郷へと戻った。
「あぁ、暇ね。すごく暇。藍、何か面白いことない?」
「ありませんよ。……というより、何回目ですか?その質問は。
何も起きてませんから、大人しくしててください」
「えー、つまんなーい。
そうだ、今から霊夢のとこに行くわね」
「だから、大人しく……」
「バイバーイ♪」
博麗神社に行くと、何やら面白そうなことが起きていた。
「幻想郷って?
戻るにはどうしたらいいんだ?」
「だから言ったでしょ?戻る方法なんてないわよ」
「そんな……」
「ハロー、霊夢」
「紫……またアンタの仕業?」
「やーねー、違うわよ。今回はね。
……でも、貴方は私に会ったことがあるわよね、ナナシ」
「えっ……あー!?あの時の美人さん!」
「美人って……褒めても何も出ないわよ?」
「外見はそうだけど、中身はババァよね」
「霊夢、今何か言ったかしら?」
「別にー。で、何の用なの?」
「そうそう、この子、私が貰ってもいい?」
「いいわよ。むしろ持ってちゃって」
「ありがと、霊夢」
私はナナシの手をとり、再びスキマの中に戻っていった。
マヨヒガにて
「それにしても、よく覚えてられたわね?」
「そりゃ、紫さんみたいに綺麗な人は他にいませんから」
そう言うナナシの頭を軽く叩く。
「いたっ……何するんですか?」
「紫と呼びなさい」
「へっ?」
「貴方にそう呼んで欲しいの。それに好きな者どうしが名前で呼び合うのは当然でしょ?そこに『さん』とかつけないの」
「はいわかりまし……えっ?紫さ……紫、今なんて」
「鈍いわね……貴方が好きと言ったのよ。
それとも、私みたいなオバさんじゃ嫌?」
「紫はオバさんじゃないよ。……じゃなくて、えっ?紫さんが俺のことを……好き?」
「フフッ、初心ね。でも、そんなところが好きなんだけど」
END
はいどうも、いつも最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
くりゅです。
紫甘夢でした。
……甘いのか、これは?
あと二つ。消化まで。
頑張ろう。