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【紫紅】
その人とは、都会の中で出会った。
日傘を差し、珍しい服装をしていたその人は俺の前まで歩いてきてこう言った。
「貴方、別の世界に興味は無い?」
「はい?」
不意打ちだった。
そりゃ、かなり綺麗な人が急に電波な台詞を吐けばそう思うだろう。
話を合わせるべきだろうか?
「えっと…」
「ごめんなさい、急に変なこと聞いて」
この人、わかっててやっていたらしかった。
「貴方がつまらなそうな顔をしてたからつい、ね」
「まぁ、構わないですけど…」
「でも、本当に興味は無いの?」
「無いって言うと、嘘になっちゃいますね」
「そう…。じゃあ、縁があったら向こうでまた会いましょう。なナナシ」
そう耳元で呟いて去っていった。
「なんで俺の名前を知って…」
振り向いたが、特徴的な日傘を見つけることは出来なかった。
「夢…だったのか?」
わからない。だが、白昼夢を見るなんて疲れてんのかな。
歩きだそうとして一歩踏み出した瞬間、足元の感触がなくなっていた。
「なっ?」
そして、体を引き寄せるかのように地面に吸い込まれていった。
ここは…
何処かの家なんだろうけど…。
なにかおかしい、なんとなくそんな気がした。
気を失ったのは都会の中だったし、仮に病院だとしても他の患者の声が聞こえない。それに、車の音が一切しないのがおかしかった。
「あら、もう気がついたの?」
覗き込むように見ている人は、銀とは言い難い白銀の髪に紅い瞳で、純粋に綺麗に見えた。
「ぅぁ…」
体を起こそうとしたら猛烈な痛みが襲ってきた。
「あっ、無理しないで。体を酷く打ったみたいだから、どこか怪我してるかも…」
そういって、女性は俺の頭に濡れタオルをそっとのせた。
「すみません、なんか迷惑かけてるみたいで」
「気にしなくていいの。家の前に倒れていた貴方を私が勝手に看てただけだから」
「家の前じゃ、他の人にも迷惑かけてたかな?」
「そんなことないわ。この竹林には滅多なことが無い限り人は来ないもの」
?
へ…? 竹林? 俺は都会にいたはずじゃ…
「その服、珍しいね? 君はもしかして外から来たの?」
「外…って何処から見た、外の事?」
「この世界。幻想郷からみた外よ」
話によるとここは幻想郷と呼ばれる異世界らしく、神隠しにあうぐらいしか入る方法が無いという。
これは、俺を助けてくれた人、藤原妹紅さんに聞いた事だ。
助けられてから三日たったある日、神社に行った。
そこで俺をここに連れて来た本人に会ったり、妹紅さんとの同棲宣言をしたりと、はちゃめちゃな一日となったわけだ。
そして今は……
「妹紅ー、お昼ご飯出来たよ」
「今行くー」
と、まぁごく普通の同居人みたいな感じで日々を過ごしている。別にそういう風に過ごすことに何か苦しみがあるわけじゃないんだが、小さな心苦しさを感じていた。
このもやもやは次第に大きくなっていった。
「ナナシ、どうかしたの?」
「ん? なんでもないよ」
ただ、妹紅と話している時は気が楽になる。
何なんだろうな、この感覚は…
私は…どうしちゃったんだろう?
彼を、ナナシを見ていると落ち着けなくなる。
慧音に抱くのとにている気がするけど、よくわからない…
ナナシが笑ったりすると釣られて笑ってしまい、ナナシが苦しんでいると、こっちまで苦しくなる。
「はぁ…」
「どうしたんだ、妹紅。溜息なんてお前らしくないぞ」
「慧音、私だって溜息つきたくなることはあるさ」
「アイツのことか?」
「えっ…いや、そうじゃ無くて…」
「隠さなくてもわかっているさ。で、いつからだ?」
「何が?」
「だから、ナナシって言ったっけ? 彼を好きになったのはいつからだと聞いている」
「慧音…誰にも言わないでよ?」
「わかった、わかった」
「多分だけど…一緒に暮らしだしてからだと思う…」
「そうか、その気持ちが彼に届くといいな」
「…うん」
わかった…というより解らされた。
この気持ちが恋ということに。
「よし、決めた!!」
今日伝えよう。
俺の気持ちを。
その日の夕方…
外を眺めている妹紅の隣に座り、少し経ってから口を開いた。
「「あのさ…」」
見事に声が重なった。こうなると少し恥ずかしい。
「妹紅からどうぞ」
「いや、ナナシからでいいわ」
「じゃあ先に言わせていただくが…妹紅、好きだ」
「え?」
「だから、好きだ。大好き。だから付き合ってくれないか?」
暫くの沈黙…
「なあ、何か話してよ。恥ずかしくて倒れそうだ」
妹紅の顔を覗こうとしたら…
「っ見ないで!!」
パァン
「痛ぁっ!!」
「あっナナシ、大丈夫?」
「何とか…で、返事は?」
痛む頬をさすりながら、告白の返事を聞く。
「わ…私も好きだよ。こちらこそよ…よろしく」
→あとがき
どうもお久しぶり。なくりゅです。
大分待たせてしまってすみません。
最近スランプ気味です。
今回の妹紅は女性口調というか、男の子っぽい口調は止めてみました。
鏡様
本当にお待たせ致しました。
設定を頂いたのは始めてでしたが、あるのと無いのでは書き手からしても楽しみがあり、話を作り易かったです。
少し時間が掛かりすぎましたが…。
最後に感想等ありましたら、感想板にお願いします。
絵に自信がある方、イラストの投稿板もあるので、そちらもよろしくです。
その人とは、都会の中で出会った。
日傘を差し、珍しい服装をしていたその人は俺の前まで歩いてきてこう言った。
「貴方、別の世界に興味は無い?」
「はい?」
不意打ちだった。
そりゃ、かなり綺麗な人が急に電波な台詞を吐けばそう思うだろう。
話を合わせるべきだろうか?
「えっと…」
「ごめんなさい、急に変なこと聞いて」
この人、わかっててやっていたらしかった。
「貴方がつまらなそうな顔をしてたからつい、ね」
「まぁ、構わないですけど…」
「でも、本当に興味は無いの?」
「無いって言うと、嘘になっちゃいますね」
「そう…。じゃあ、縁があったら向こうでまた会いましょう。なナナシ」
そう耳元で呟いて去っていった。
「なんで俺の名前を知って…」
振り向いたが、特徴的な日傘を見つけることは出来なかった。
「夢…だったのか?」
わからない。だが、白昼夢を見るなんて疲れてんのかな。
歩きだそうとして一歩踏み出した瞬間、足元の感触がなくなっていた。
「なっ?」
そして、体を引き寄せるかのように地面に吸い込まれていった。
ここは…
何処かの家なんだろうけど…。
なにかおかしい、なんとなくそんな気がした。
気を失ったのは都会の中だったし、仮に病院だとしても他の患者の声が聞こえない。それに、車の音が一切しないのがおかしかった。
「あら、もう気がついたの?」
覗き込むように見ている人は、銀とは言い難い白銀の髪に紅い瞳で、純粋に綺麗に見えた。
「ぅぁ…」
体を起こそうとしたら猛烈な痛みが襲ってきた。
「あっ、無理しないで。体を酷く打ったみたいだから、どこか怪我してるかも…」
そういって、女性は俺の頭に濡れタオルをそっとのせた。
「すみません、なんか迷惑かけてるみたいで」
「気にしなくていいの。家の前に倒れていた貴方を私が勝手に看てただけだから」
「家の前じゃ、他の人にも迷惑かけてたかな?」
「そんなことないわ。この竹林には滅多なことが無い限り人は来ないもの」
?
へ…? 竹林? 俺は都会にいたはずじゃ…
「その服、珍しいね? 君はもしかして外から来たの?」
「外…って何処から見た、外の事?」
「この世界。幻想郷からみた外よ」
話によるとここは幻想郷と呼ばれる異世界らしく、神隠しにあうぐらいしか入る方法が無いという。
これは、俺を助けてくれた人、藤原妹紅さんに聞いた事だ。
助けられてから三日たったある日、神社に行った。
そこで俺をここに連れて来た本人に会ったり、妹紅さんとの同棲宣言をしたりと、はちゃめちゃな一日となったわけだ。
そして今は……
「妹紅ー、お昼ご飯出来たよ」
「今行くー」
と、まぁごく普通の同居人みたいな感じで日々を過ごしている。別にそういう風に過ごすことに何か苦しみがあるわけじゃないんだが、小さな心苦しさを感じていた。
このもやもやは次第に大きくなっていった。
「ナナシ、どうかしたの?」
「ん? なんでもないよ」
ただ、妹紅と話している時は気が楽になる。
何なんだろうな、この感覚は…
私は…どうしちゃったんだろう?
彼を、ナナシを見ていると落ち着けなくなる。
慧音に抱くのとにている気がするけど、よくわからない…
ナナシが笑ったりすると釣られて笑ってしまい、ナナシが苦しんでいると、こっちまで苦しくなる。
「はぁ…」
「どうしたんだ、妹紅。溜息なんてお前らしくないぞ」
「慧音、私だって溜息つきたくなることはあるさ」
「アイツのことか?」
「えっ…いや、そうじゃ無くて…」
「隠さなくてもわかっているさ。で、いつからだ?」
「何が?」
「だから、ナナシって言ったっけ? 彼を好きになったのはいつからだと聞いている」
「慧音…誰にも言わないでよ?」
「わかった、わかった」
「多分だけど…一緒に暮らしだしてからだと思う…」
「そうか、その気持ちが彼に届くといいな」
「…うん」
わかった…というより解らされた。
この気持ちが恋ということに。
「よし、決めた!!」
今日伝えよう。
俺の気持ちを。
その日の夕方…
外を眺めている妹紅の隣に座り、少し経ってから口を開いた。
「「あのさ…」」
見事に声が重なった。こうなると少し恥ずかしい。
「妹紅からどうぞ」
「いや、ナナシからでいいわ」
「じゃあ先に言わせていただくが…妹紅、好きだ」
「え?」
「だから、好きだ。大好き。だから付き合ってくれないか?」
暫くの沈黙…
「なあ、何か話してよ。恥ずかしくて倒れそうだ」
妹紅の顔を覗こうとしたら…
「っ見ないで!!」
パァン
「痛ぁっ!!」
「あっナナシ、大丈夫?」
「何とか…で、返事は?」
痛む頬をさすりながら、告白の返事を聞く。
「わ…私も好きだよ。こちらこそよ…よろしく」
→あとがき
どうもお久しぶり。なくりゅです。
大分待たせてしまってすみません。
最近スランプ気味です。
今回の妹紅は女性口調というか、男の子っぽい口調は止めてみました。
鏡様
本当にお待たせ致しました。
設定を頂いたのは始めてでしたが、あるのと無いのでは書き手からしても楽しみがあり、話を作り易かったです。
少し時間が掛かりすぎましたが…。
最後に感想等ありましたら、感想板にお願いします。
絵に自信がある方、イラストの投稿板もあるので、そちらもよろしくです。