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夢小説設定
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【主のいない図書館で】
「ゔ~ん……今日もまた来てしまった……」
今俺はヴワル図書館の扉の前にいる。
パチュリー様に紅茶とスコーンを持ってきたのだが……いつもながら入りづらい。
埃は舞ってないんだけど……本崩れと書いて『なだれ』と読むような事が起こると、埃が舞い上がり呼吸し辛くなる。
「まぁ、仕方ないと言えば仕方ないんだよなぁ……」
本崩れが起きなきゃいいんだ。そう呟き、扉を開ける。
「パチュリー様、紅茶とスコーンをお持ちしました」
「あっ、ナナシさん」
「あれっ? パチュリー様は」
図書館の中には司書の小悪魔しかいなかった。
「先ほどレミリアお嬢様に呼ばれていましたが…会いませんでしたか?」
「あー…じゃあ、すれ違ったのかも……」
参ったな、スコーンは平気だけど…これじゃお湯が冷めちゃうな…すぐ移し変えたら適温なのに…
「あの……」
溜め息をつくのをグッと堪えていると、小悪魔が声を掛けてきた。
「ん? どうしたんですか、司書さん?」
「よければ紅茶を淹れて貰えませんか?」
「構いませんよ。では、少しお待ちください」
.
大体五分くらい経ってから、ナナシさんが紅茶を淹れてきてくれた。
「ナナシさんってこういう仕事得意なんですか?」
紅魔館で執事をしているのだから、それなりに外でやっていたとは思うけど…
「そうでもないですよ。これだって十六夜先輩に教えてもらったものですし…」
「それでも上手ですよ。ところで、このスコーンはナナシさんの手作りですか?」
「えっ、そうですけど……お口に合いませんでしたか?」
ナナシさんは少し不安そうな顔をして尋ねてきた。
「そうじゃなくて…いつもと味が違ったから、咲夜さんじゃなくてナナシさんが作ったのかと」
私がそう言うと安心したのか、顔を綻ばせた。
うわぁ……可愛い///
ナナシさんはそのまま話し続ける。
「作り方は十六夜先輩に教えてもらって、あとは自分なりに手を加えただけです」
右手の人差し指を動かしながら説明する。
その仕草が堪らなく可愛らしい…///
.「あの、司書さん? 顔が赤いんですけど……熱でもあるんですか?」
「あっ、赤くなってますか!?」
俺の言葉に小悪魔は余計に顔を赤くし、俯いてしまった。
仕方無い……
「ちょっと失礼」
「へっ? なんです……か」
小悪魔の前髪を手で上に持ち上げ自分の額と小悪魔の額を合わせる。
「うん、熱は無いな」
「あああ、あのっ…ななっナナシさん? な、何を?」
「何をって…熱があるか見たんですけど…迷惑でしたか?」
「いっ、いや……迷惑かどうかと聞かれると、迷惑じゃないですし……むしろもう少しあのままでいたかったというか……」
このまま慌ててる小悪魔を見ていたいんだけど、ここに来てからこの人に一番聞きたい事が残ってるんだよなぁ……
「司書さん」
「はっ、はい!?」
「前から聞きたい事があるんですけど……いいですか?」
.
きっ聞きたい事!? そそ…それってもしかして……
恋愛関係の……?
「はいっ!! いいですよ! 何でも聞いてください!」
「っと、その前に敬語とってもいいでしょうか?」
「ええ、いいですよ」
「司書さん……小悪魔の名前を教えて欲しいんだけど……」
……やっぱり聞かれちゃうんだ…
「……す」
「えっ?」
「無いんです、名前」
「それって、どういう…」
「私はパチュリー様の使い魔なんです。それなので、名前はありません」
「……ごめんな、答え辛いこと聞いちゃって…」
「これが事実ですから、平気です……よ……」
本当は平気なわけ無い。好きな人に名前を聞かれて、無いんです。なんて虚しすぎる。
気付くと、頬に温かいものが伝わってきた。
ナナシさんに泣いている姿を見られるなんて……最悪だ……。
「泣くほど辛い? 名前が無い事って……」
ナナシさんは私のすぐ傍まで来て、涙を拭ってくれた。
「……はい」
「そっか……ごめんな」
「謝らないで下さい…」
.
「あのさぁ、小悪魔」
「グスッ…なん…ですか?」
「これから『こぁ』って呼んでいい?」
「…その、『こぁ』ってなんなんですか?」
「小悪魔の名前のつもりなんだけど……気に入らなかった?」
「気に入らないなんて、そんなことありませんよ!!」
よかった……名前だけでここまで落ち込むとは思ってなかったから、ようやく本題に入れる…
「ところで……」
「はい?」
「こぁは、好きな人いるの?」
その台詞を聞くと、こぁは完熟したトマトのように首から頭まで一気に赤くなった。
「いきなりなんですか!?」
「これが一番聞きたかった事なんだが……いないのか?」
「いますよ!! 目の前にっ!!」
目の前っていうと……俺?
突然のこぁの告白に彼女ほどではないと思うが、顔が赤くなった気がする……
「っつ…ごめんなさい! 急にこんな……」
「俺もだよ、こぁ」
「……へっ」
「俺も目の前にいるんだ、好きな人が」
「ほんとに…?」
「ああ、本当だ」
「じゃあ……」
こぁはいったん言葉を止めて、俺の唇にこぁのそれを重ねた。
そして少し微笑んだ。
「これからは、私だけを見ていてくださいね、ナナシさん♪」
→あとがき
はじめまして、くりゅです
夢小説…というよりは、東方二次創作の処女作品です。
すごくグダグダな気もしますが、気に入って貰えたなら嬉しいです。
夢主設定
紅魔館の執事。
外界から来たところをレミリアが保護? 以来、住み込みで働く事に。
「ゔ~ん……今日もまた来てしまった……」
今俺はヴワル図書館の扉の前にいる。
パチュリー様に紅茶とスコーンを持ってきたのだが……いつもながら入りづらい。
埃は舞ってないんだけど……本崩れと書いて『なだれ』と読むような事が起こると、埃が舞い上がり呼吸し辛くなる。
「まぁ、仕方ないと言えば仕方ないんだよなぁ……」
本崩れが起きなきゃいいんだ。そう呟き、扉を開ける。
「パチュリー様、紅茶とスコーンをお持ちしました」
「あっ、ナナシさん」
「あれっ? パチュリー様は」
図書館の中には司書の小悪魔しかいなかった。
「先ほどレミリアお嬢様に呼ばれていましたが…会いませんでしたか?」
「あー…じゃあ、すれ違ったのかも……」
参ったな、スコーンは平気だけど…これじゃお湯が冷めちゃうな…すぐ移し変えたら適温なのに…
「あの……」
溜め息をつくのをグッと堪えていると、小悪魔が声を掛けてきた。
「ん? どうしたんですか、司書さん?」
「よければ紅茶を淹れて貰えませんか?」
「構いませんよ。では、少しお待ちください」
.
大体五分くらい経ってから、ナナシさんが紅茶を淹れてきてくれた。
「ナナシさんってこういう仕事得意なんですか?」
紅魔館で執事をしているのだから、それなりに外でやっていたとは思うけど…
「そうでもないですよ。これだって十六夜先輩に教えてもらったものですし…」
「それでも上手ですよ。ところで、このスコーンはナナシさんの手作りですか?」
「えっ、そうですけど……お口に合いませんでしたか?」
ナナシさんは少し不安そうな顔をして尋ねてきた。
「そうじゃなくて…いつもと味が違ったから、咲夜さんじゃなくてナナシさんが作ったのかと」
私がそう言うと安心したのか、顔を綻ばせた。
うわぁ……可愛い///
ナナシさんはそのまま話し続ける。
「作り方は十六夜先輩に教えてもらって、あとは自分なりに手を加えただけです」
右手の人差し指を動かしながら説明する。
その仕草が堪らなく可愛らしい…///
.「あの、司書さん? 顔が赤いんですけど……熱でもあるんですか?」
「あっ、赤くなってますか!?」
俺の言葉に小悪魔は余計に顔を赤くし、俯いてしまった。
仕方無い……
「ちょっと失礼」
「へっ? なんです……か」
小悪魔の前髪を手で上に持ち上げ自分の額と小悪魔の額を合わせる。
「うん、熱は無いな」
「あああ、あのっ…ななっナナシさん? な、何を?」
「何をって…熱があるか見たんですけど…迷惑でしたか?」
「いっ、いや……迷惑かどうかと聞かれると、迷惑じゃないですし……むしろもう少しあのままでいたかったというか……」
このまま慌ててる小悪魔を見ていたいんだけど、ここに来てからこの人に一番聞きたい事が残ってるんだよなぁ……
「司書さん」
「はっ、はい!?」
「前から聞きたい事があるんですけど……いいですか?」
.
きっ聞きたい事!? そそ…それってもしかして……
恋愛関係の……?
「はいっ!! いいですよ! 何でも聞いてください!」
「っと、その前に敬語とってもいいでしょうか?」
「ええ、いいですよ」
「司書さん……小悪魔の名前を教えて欲しいんだけど……」
……やっぱり聞かれちゃうんだ…
「……す」
「えっ?」
「無いんです、名前」
「それって、どういう…」
「私はパチュリー様の使い魔なんです。それなので、名前はありません」
「……ごめんな、答え辛いこと聞いちゃって…」
「これが事実ですから、平気です……よ……」
本当は平気なわけ無い。好きな人に名前を聞かれて、無いんです。なんて虚しすぎる。
気付くと、頬に温かいものが伝わってきた。
ナナシさんに泣いている姿を見られるなんて……最悪だ……。
「泣くほど辛い? 名前が無い事って……」
ナナシさんは私のすぐ傍まで来て、涙を拭ってくれた。
「……はい」
「そっか……ごめんな」
「謝らないで下さい…」
.
「あのさぁ、小悪魔」
「グスッ…なん…ですか?」
「これから『こぁ』って呼んでいい?」
「…その、『こぁ』ってなんなんですか?」
「小悪魔の名前のつもりなんだけど……気に入らなかった?」
「気に入らないなんて、そんなことありませんよ!!」
よかった……名前だけでここまで落ち込むとは思ってなかったから、ようやく本題に入れる…
「ところで……」
「はい?」
「こぁは、好きな人いるの?」
その台詞を聞くと、こぁは完熟したトマトのように首から頭まで一気に赤くなった。
「いきなりなんですか!?」
「これが一番聞きたかった事なんだが……いないのか?」
「いますよ!! 目の前にっ!!」
目の前っていうと……俺?
突然のこぁの告白に彼女ほどではないと思うが、顔が赤くなった気がする……
「っつ…ごめんなさい! 急にこんな……」
「俺もだよ、こぁ」
「……へっ」
「俺も目の前にいるんだ、好きな人が」
「ほんとに…?」
「ああ、本当だ」
「じゃあ……」
こぁはいったん言葉を止めて、俺の唇にこぁのそれを重ねた。
そして少し微笑んだ。
「これからは、私だけを見ていてくださいね、ナナシさん♪」
→あとがき
はじめまして、くりゅです
夢小説…というよりは、東方二次創作の処女作品です。
すごくグダグダな気もしますが、気に入って貰えたなら嬉しいです。
夢主設定
紅魔館の執事。
外界から来たところをレミリアが保護? 以来、住み込みで働く事に。
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