童顔お姉さんは僕らのマネージャー
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今日俺は、いつものように家でゲーム…ではなく、CRストアに来ている。
関係者しか入れないスペースにいるのは、俺、しすこさん、ありさかさん、おじさん、そして…
「初めまして!この度皆さんのマネージャーを務めさせて頂くことになりました、神薙麻美と申します!マネージャーとして、少しでも早く皆さんのお役に立てるよう精一杯頑張らせて頂きます!宜しくお願い致します!!」
元気いっぱいに挨拶をし、頭を下げる一人の女性。
「初めまして、ふらんしすこです。宜しくお願いします」
「どうも、初めまして。ありさかです。宜しくお願いします」
「…初めまして、VanilLaです。宜しくお願いします」
そしてその女性を前に、横並びになるしすこさん、ありさかさん、俺。
「伝えてた通り、こちらの女性…麻美さんがみんなの新しいマネージャーをやってくれるから!」
(いや俺聞いてないけど!!?)
新しいマネージャーはまさかの女性。
ニコニコしながら話すおじさんに心の中でツッコミを入れ、チラリと横目でしすこさん、ありさかさんの様子を窺う。
「CRのマネージャーさんで、女性って初めてですよね。何か困ったことがあったら言って下さい」
「おじさんから連絡来た時はビックリしましたよ。男ばっかりでなかなか慣れないかもしれないですけど、迷惑掛けないよう気を付けますんで」
しすこさんもありさかさんも普通に会話してる辺り、恐らく事前に聞いていたのだろう。
(これ絶対俺だけ知らんかったやつやん)
別に女性と話せない訳ではないが、予想していなかっただけに正直動揺はしていて、二人みたいに上手く会話に混ざることが出来なかった。
ーーー
その後は、事前におじさんから言われていた通りみんなで焼肉を食べに行った。
おじさんの奢りということで、せめてもの仕返しに沢山食べて帰ろうと心に決めて店内に入る。
座った順番は…部屋の奥から俺、ありさかさん、しすこさん、俺の右斜め前におじさん、その隣に神薙さんだ。幸い俺と神薙さんは、テーブルの対極に座ることになった。
お肉を注文して待つ間に、神薙さんと俺達三人は連絡先の交換をする為各々スマホを取り出す。
「頼りないと思いますけど…何かあったらいつでも連絡下さいね」
そう言ってニッコリ笑う顔を見て、何となく照れ臭くなった俺は、
「ありがとうございます」
とたった一言だけしか返せず、そんな俺を見てニヤニヤしているしすこさんにイラッとして腕を後ろからこっそりつねってやったら、「痛い!!」と声をあげて神薙さんに笑われていた。ざまあみろ!
食べている間クールキャラを貫き続け、かと言って大食漢でもない俺はひたすらみんなの話の聞き役に回りつつ、時折チラッと神薙さんの様子を窺っていた。
(凄く楽しそうに笑う人だなぁ…何歳くらいなんだろう。俺より少し上くらい…?)
ゲーム上だと女性と関わる機会も多いものの、こうしてリアルで関わる機会はそう多くはない。
比較的年齢が近そうな異性ということで、マネージャーという立場ではあるものの何となく気になって、自然と目がそちらを追ってしまう。
(あ、神薙さんのグラスもうすぐ空になりそう…)
神薙さんはお酒を飲めないようで、ずっと烏龍茶を飲んでいる。
だけどみんなの話を聞いて楽しそうに笑っていて、そのことに気付いてないように見えた。
少し考えた後俺は立ち上がると、「ちょっとお手洗い」と個室から出て、近くにいた店員の女性に、
「すみません、そこの部屋なんですけど烏龍茶一つお願いします」
と注文をして男子トイレに向かった。
(俺メッチャかっこ付けじゃん…)
でもみんな、いつ誰が何を頼んだかなんていちいち覚えてないだろうし、俺がこっそり注文したとかバレない筈。
そう考えながら用を足し、手を洗って個室に戻ろうとしたら、部屋の前で神薙さんと出くわした。
「あ」
俺を見て小さく声をあげる神薙さん。
何となく気まずい。
軽く会釈をして左側を通り抜けようとしたら、神薙さんが俺の手を掴んできて、驚いてそちらに顔を向ける。
「あっ、すみません!えっと…お茶、頼んでくれてありがとうございます。バニラさん優しいですね」
一気に頬に熱が集まるのを感じた瞬間だった。
(バレてる…!!)
でもそれよりも、手を掴まれた状態で…座っていた時よりも近くで神薙さんの笑顔を見たら、別の意味で顔が熱くなるのを感じた。
「あ、いや…たまたま気付いただけなので」
「ふふ、それでも嬉しいですよ。ありがとうございます」
何とか平静を装って言葉を返すが、相変わらずニコニコしながら話す神薙さんに見とれそうになる。
一方的に掴まれたままの右手が熱い。
もしこのまま、俺も手を握り返したらーーー
「んじゃ、俺もお手洗い行って来まーす」
タイミングが良いのか悪いのかガラッと戸が開き、出て来たのはありさかさん。
「あれ?バニと神薙さん。どうしたん?」
後ろ手に戸を閉めながら、部屋の前で立ち止まっている俺達を見て不思議そうにしている。
「いや、えっと…」
パッと見手を繋いで見えるかもしれないし、俺がこっそり神薙さんのドリンクを注文したことを話されたら俺は恥ずかしさで死ぬかもしれない。
(ヤバい、何て答えよう…)
チラリと神薙さんの方に視線を向けると、
「んふふ、内緒です。ね、バニラさん」
「…えっ、あ……はい」
「えー、何すかそれ~」
いつの間にか神薙さんの手は離れていて、笑いながら俺を見ていた。
「それよりありさかさん、お手洗いに行くんですよね?私も行きたいので、途中までご一緒しましょう」
「は~い」
そして二人は並んで歩いて行く。
その背中を見ていたら、途中神薙さんがこちらを振り返って、右手の人差し指を自分の唇に当てて微笑んだ。
(え、まさか…)
憶測でしかないけど、俺がこっそり烏龍茶を注文していたことに気付いたのは神薙さんだけで、それがありさかさんにバレないように誤魔化してくれたんじゃないかなって。
もし本当に、そうだとしたら。
明るくて、笑顔を絶やさなくて、しっかりしてて、気遣いも出来て。
また振り返ってくれないかな、なんて。
(何だろう、この感じ…)
先程まで触れられていた右手を見つめ、グッと握ると部屋に戻る。
しすこさんに、
「バニ遅かったね、何かあった?」
なんて聞かれたけど、俺は笑って右手の人差し指を自分の唇に当てる。
「内緒~」
マネージャーとの顔合わせも、なかなかいいものかもしれない。
関係者しか入れないスペースにいるのは、俺、しすこさん、ありさかさん、おじさん、そして…
「初めまして!この度皆さんのマネージャーを務めさせて頂くことになりました、神薙麻美と申します!マネージャーとして、少しでも早く皆さんのお役に立てるよう精一杯頑張らせて頂きます!宜しくお願い致します!!」
元気いっぱいに挨拶をし、頭を下げる一人の女性。
「初めまして、ふらんしすこです。宜しくお願いします」
「どうも、初めまして。ありさかです。宜しくお願いします」
「…初めまして、VanilLaです。宜しくお願いします」
そしてその女性を前に、横並びになるしすこさん、ありさかさん、俺。
「伝えてた通り、こちらの女性…麻美さんがみんなの新しいマネージャーをやってくれるから!」
(いや俺聞いてないけど!!?)
新しいマネージャーはまさかの女性。
ニコニコしながら話すおじさんに心の中でツッコミを入れ、チラリと横目でしすこさん、ありさかさんの様子を窺う。
「CRのマネージャーさんで、女性って初めてですよね。何か困ったことがあったら言って下さい」
「おじさんから連絡来た時はビックリしましたよ。男ばっかりでなかなか慣れないかもしれないですけど、迷惑掛けないよう気を付けますんで」
しすこさんもありさかさんも普通に会話してる辺り、恐らく事前に聞いていたのだろう。
(これ絶対俺だけ知らんかったやつやん)
別に女性と話せない訳ではないが、予想していなかっただけに正直動揺はしていて、二人みたいに上手く会話に混ざることが出来なかった。
ーーー
その後は、事前におじさんから言われていた通りみんなで焼肉を食べに行った。
おじさんの奢りということで、せめてもの仕返しに沢山食べて帰ろうと心に決めて店内に入る。
座った順番は…部屋の奥から俺、ありさかさん、しすこさん、俺の右斜め前におじさん、その隣に神薙さんだ。幸い俺と神薙さんは、テーブルの対極に座ることになった。
お肉を注文して待つ間に、神薙さんと俺達三人は連絡先の交換をする為各々スマホを取り出す。
「頼りないと思いますけど…何かあったらいつでも連絡下さいね」
そう言ってニッコリ笑う顔を見て、何となく照れ臭くなった俺は、
「ありがとうございます」
とたった一言だけしか返せず、そんな俺を見てニヤニヤしているしすこさんにイラッとして腕を後ろからこっそりつねってやったら、「痛い!!」と声をあげて神薙さんに笑われていた。ざまあみろ!
食べている間クールキャラを貫き続け、かと言って大食漢でもない俺はひたすらみんなの話の聞き役に回りつつ、時折チラッと神薙さんの様子を窺っていた。
(凄く楽しそうに笑う人だなぁ…何歳くらいなんだろう。俺より少し上くらい…?)
ゲーム上だと女性と関わる機会も多いものの、こうしてリアルで関わる機会はそう多くはない。
比較的年齢が近そうな異性ということで、マネージャーという立場ではあるものの何となく気になって、自然と目がそちらを追ってしまう。
(あ、神薙さんのグラスもうすぐ空になりそう…)
神薙さんはお酒を飲めないようで、ずっと烏龍茶を飲んでいる。
だけどみんなの話を聞いて楽しそうに笑っていて、そのことに気付いてないように見えた。
少し考えた後俺は立ち上がると、「ちょっとお手洗い」と個室から出て、近くにいた店員の女性に、
「すみません、そこの部屋なんですけど烏龍茶一つお願いします」
と注文をして男子トイレに向かった。
(俺メッチャかっこ付けじゃん…)
でもみんな、いつ誰が何を頼んだかなんていちいち覚えてないだろうし、俺がこっそり注文したとかバレない筈。
そう考えながら用を足し、手を洗って個室に戻ろうとしたら、部屋の前で神薙さんと出くわした。
「あ」
俺を見て小さく声をあげる神薙さん。
何となく気まずい。
軽く会釈をして左側を通り抜けようとしたら、神薙さんが俺の手を掴んできて、驚いてそちらに顔を向ける。
「あっ、すみません!えっと…お茶、頼んでくれてありがとうございます。バニラさん優しいですね」
一気に頬に熱が集まるのを感じた瞬間だった。
(バレてる…!!)
でもそれよりも、手を掴まれた状態で…座っていた時よりも近くで神薙さんの笑顔を見たら、別の意味で顔が熱くなるのを感じた。
「あ、いや…たまたま気付いただけなので」
「ふふ、それでも嬉しいですよ。ありがとうございます」
何とか平静を装って言葉を返すが、相変わらずニコニコしながら話す神薙さんに見とれそうになる。
一方的に掴まれたままの右手が熱い。
もしこのまま、俺も手を握り返したらーーー
「んじゃ、俺もお手洗い行って来まーす」
タイミングが良いのか悪いのかガラッと戸が開き、出て来たのはありさかさん。
「あれ?バニと神薙さん。どうしたん?」
後ろ手に戸を閉めながら、部屋の前で立ち止まっている俺達を見て不思議そうにしている。
「いや、えっと…」
パッと見手を繋いで見えるかもしれないし、俺がこっそり神薙さんのドリンクを注文したことを話されたら俺は恥ずかしさで死ぬかもしれない。
(ヤバい、何て答えよう…)
チラリと神薙さんの方に視線を向けると、
「んふふ、内緒です。ね、バニラさん」
「…えっ、あ……はい」
「えー、何すかそれ~」
いつの間にか神薙さんの手は離れていて、笑いながら俺を見ていた。
「それよりありさかさん、お手洗いに行くんですよね?私も行きたいので、途中までご一緒しましょう」
「は~い」
そして二人は並んで歩いて行く。
その背中を見ていたら、途中神薙さんがこちらを振り返って、右手の人差し指を自分の唇に当てて微笑んだ。
(え、まさか…)
憶測でしかないけど、俺がこっそり烏龍茶を注文していたことに気付いたのは神薙さんだけで、それがありさかさんにバレないように誤魔化してくれたんじゃないかなって。
もし本当に、そうだとしたら。
明るくて、笑顔を絶やさなくて、しっかりしてて、気遣いも出来て。
また振り返ってくれないかな、なんて。
(何だろう、この感じ…)
先程まで触れられていた右手を見つめ、グッと握ると部屋に戻る。
しすこさんに、
「バニ遅かったね、何かあった?」
なんて聞かれたけど、俺は笑って右手の人差し指を自分の唇に当てる。
「内緒~」
マネージャーとの顔合わせも、なかなかいいものかもしれない。