童顔お姉さんは僕らのマネージャー
登録
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
初めて見た時の印象は
”大人しそうな人”
初めて声を聞いた時の印象は
『精一杯頑張らせて頂きます!宜しくお願い致します!!』
”ハキハキしてて元気な人”
そんな彼女に俺が抱いた感情は
ーーーーー
「え?マネージャーが?」
晩飯を食べる前にちょっとだけ雑談配信でもするか、とPCの電源を付けた直後、オーナーであるおじさんからの電話で、自分の担当をしてくれているマネージャーが辞めることを知った。
「そうなんだよ、鈴木さんと川田さんが家庭の事情で辞めることになってさ」
「鈴木さんは俺としすこさんの担当で、川田さんは確か…」
「だるまとありさかの担当の人」
「ですよね」
鈴木さんとは二年程の付き合いで、俺とふらんしすこの担当をしていた。
もう一人の川田さんとはほとんど顔を合わせたことはないが、少なくとも鈴木さんよりかマネージャー歴が長い人だった気がする。
「でも安心して!もう新しいマネージャー決まってるから」
「へ~。よくそんなすぐに二人も決まりましたね」
「いや、一人だよ。一人で四人担当する」
「え」
辞めるのが二人ということもあり、当然のように新しく入るのも二人だと思っていた。
(新人マネージャーがいきなり四人も担当って…大丈夫なんかな)
俺の不安を感じ取ってか、電話越しでも伝わるくらい、おじさんは自信たっぷりに言った。
「大丈夫!マジでメッチャ優秀な人だから!!」
「だとしても、四人同時に担当するのはさすがにキツいんじゃ…。それに、俺人見知りだから上手くコミュニケーションとれるかとか不安もありますし」
「大丈夫大丈夫!俺もすぐサポート出来るようにはするつもりだし、それにーーーあ、ごめん電話だ!詳しくはまた連絡する!!」
「あ、はい。分かりました」
おじさんは急ぎの電話が入ったらしく、そのまま通話は切れてしまった。
雑談配信をするつもりが、こんなことになるとは。
「んー…でもまぁ、雑談はするかぁ」
おじさんが言いかけていた言葉の続きは気になるが考えていても仕方ないし、当初の予定通り配信の準備をしてツイートをする。
「どもー、こんばんはー。…そう、飯食う前にちょっとだけね」
流れて行くコメントを見ながらいつものように雑談配信をしていると、おじさんからメッセージが入った。
何気無くその内容を確認すると…
「えっ!」
しまった、と思った時には時既に遅し。
>えっ?
>何々どうしたの?
>バニさん大丈夫!?
当たり前と言えば当たり前だけど、思い切り声がマイクに入ってしまい、コメントが一気に流れていく。
俺に何かあったのかと、心配する声が多い。
「え、と…ごめんみんな。ちょっと待ってね」
取り合えずミュートにする。
おじさんのメッセージ内容はこうだ。
<今度の日曜日、CRストアで新しいマネージャーの人と顔合わせしてもらおうと思ってる。だるまは来れないから、ありさか、ふらんしすこ、バニラの三人は夜八時にストアに来て欲しい。あと、みんなで焼肉行こうと思ってるから飯抜きで来てね!>
(詳しくはまた連絡するって言ってなかったっけ?)
詳細も何も、まさかの顔合わせが決定した。
(しかも、何でわざわざ顔合わせ?前にマネージャーが代わった時は、確かLINEで挨拶して終わりだったよな?)
疑問に思いつつ、まずはマネージャーのことをみんなに話してもいいか確認するべく、即おじさんに電話をかける。
「もしもしー」
「もしもし。あのー…今俺雑談配信中で、一旦ミュートにしてるんですけど。おじさんからのメッセージ内容見て、ビックリしてつい声出しちゃったからみんなに心配されちゃってて。マネージャーのこと話してもいいですか?」
「あ、そうだったんだ!ごめんごめん!マネージャー代わるってこと話していいから!顔合わせのことも言っていいけど、さすがに場所と日時は内緒で」
「分かりました。ありがとうございます」
「みんな心配してるなら、ちゃんと説明しなきゃだしね。突然で申し訳ないけど、今度の日曜宜しく!」
「了解です。配信に戻ります」
「はーい」
通話を切りコメントを見ると、
>バニどうしたんだ?
>今来ました!何かあったんですか…?
>バニちゃんがいきなり声あげたと思ったら、ちょっと待っててっていなくなった
>心配…
案の定みんなざわついていた。
脳内で軽く話す内容をまとめ、ミュートを外す。
「ごめんね、お待たせ」
>お帰りー!!
>大丈夫?
>何かあったの?
「んーとね、結論から話すと…マネージャーが代わります」
>そうなのか!
>その連絡?
「いや、今のマネージャーが辞めることは、雑談を始める前におじさんから電話で聞いてたから知ってるんだけど…まさかの顔合わせすることになって」
>顔合わせとかあるんだ!
>新マネージャーさんとの顔合わせ配信ありますか
「マネージャーとの顔合わせ配信って何よ。どうも初めまして~ってやるの?」
>www
>見たいw
>男?女?
「男か女か…まぁこれまで二人とも男性だったし、おじさんからも特に言われてないから男性だと思う。ちなみにその人、俺だけじゃなくてだるま、ありさか、しすこの担当をするらしい。いきなり四人ってヤバない?」
>男かぁ
>何その豪華メンバーw
>マネージャーさんめちゃ優秀説ある
「マネージャー優秀説…あー、そう言えばおじさんが、マジでめっちゃ優秀だから大丈夫って言ってたなぁ。顔合わせはだるさん以外集まるらしいんだけど、これまでマネージャーとの顔合わせとかしたことなかったから、どういう感じになるんだろうね」
>いつやるのー?
>だるまさんさすがに来ないかwww
「いつどこでやるかはねぇ、秘密です!おじさんからもしっかり口止めされてるから!終わった後に、おじさんがいいよって言ったらどんな感じだったか話そうかな」
>そりゃさすがに言えんよね
>話してくれるの期待しとくー!
「まぁ…今日の雑談はこれくらいにしとこうかな。心配かけちゃってごめんね。本日も、来てくれてありがとうございました。また次の配信で。お疲れ様でしたー。ばいばい」
>お疲れ様でした!
>お疲れ様ー
>またねー
配信を切り、改めておじさんからのメッセージを確認する。
(今度の日曜の夜八時に、ストアに集合か…)
鈴木さんは俺にとって三人目のマネージャー。つまりCRに入ってから、今回が三回目のマネージャー変更になる。
過去二回の変更時には顔合わせなんてものはなく、お互いの連絡先を交換後、LINEで『初めましてVanilLaです。宜しくお願いします』とか何とか送っただけで終わったと思う。
顔を合わせたのは、それこそイベントの時だとか。
(…もしかして、少しでも早く馴染んでもらう為とかかな)
おじさんはあぁ言ってたけど、やはり新人マネージャーがいきなり四人を担当するというのはかなり大変だと思う。だからこそ、俺達と直接会って親睦を深めるとかそういった考えがあるのかもしれない。焼肉に行くって言ってたし。
「…よし、取り合えず飯食お」
日曜日は三日後。話しやすい人だといいなぁと思いながら、買っておいたコンビニのおにぎりを頬張った。