1st anniversary
名前は?
キバナの恋人成人済み
大体のポケモンが大好き
手持ちはキュウコン•シャンデラ•マホイップ•
ユキメノコ•ニンフィア•ナックラー
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それからというもの私は必死に旅を続けた。
ロコンとユキワラシを育てながら先へ先へと進み、なんとか一つ目のジムまでたどり着いた。
ここまで来るのにわかった事がある。
ここに来るまでトレーナーとバトルを数回したが、その時の私は全く興奮しなかった。
どうやら相手が自分よりも上だと分かると興奮してしまうらしい。
だからここまではなんとか自分をセーブ出来たが‥ジム戦はそうはいかないだろう。
きっと私の中の恐怖との戦いはここからだ。
ジムに入りバトルの手続きをし、ついに始まったジム戦。
中に入ると客席には観客がたくさん。その前に‥ウールー‥?
え?このウールーをあそこまで追い込む?
混乱しているうちにスタートの合図がきられた。
怖い。こんなに沢山の人の前でバトルするの?
私は冷静になれる?
とりあえず迷っている暇はない!やるぞ!
頬をパシッと叩き、気を入れ直してウールーを追いかける。
あっちこっちいくウールーを目が回りながら追いかけ、なんとか柵に入れる事ができた。
息を切らしながら柵を閉める。
ウールーに追いかけ回してごめんね。と呟き、きのみを柵の中に入れてあげた。
そしてトレーナー戦。
ここはなんとか冷静に対応できた。
そして全てのウールーを柵に入れて、ついにリーダー戦。
スタジアムに入ると観客が歓喜の声をあげる。
向かいの入り口からはヤローさんが歩いてくる。このバトルは初めてのダイマックスバトル。どうしよ、息が荒くなり、胸が高鳴る。
怖い。怖い。腕をぐっと掴みヤローさんと向かい合う。
「はじめまして。ぼくのミッションはなかなか厳しめにしとるのだけど、君はミッションクリアだけでなくウールーのことまで気にかけてくれとったんですね。ありがとう。‥所で息が荒いけど‥体調悪いんか?」
「ひっ、あの、その‥。‥ご、ごめんなさい!」
私はヤローさんに背を向けてスタジアムから飛び出てしまった。
アーマーガアタクシーに乗って気づくとワイルドエリアのミロカロ湖まで来てしまった。
私、最低だ。リーダーを前に逃げ出すなんて。
情けなくて涙が出る。トレーナー戦では普通にバトルできたがリーダー戦は我慢できる気がしなかった。絶対に興奮してしまう。しかもあの観客の数。あの時の記憶が蘇る。
すると途端に目の前のヤローさんが怖く見えた。もちろんヤローさんがそんな人じゃないのは分かっている。でも、心配してくれて伸ばしてくれた手が怖くて怖くて堪らなくなった。
ヤローさんにも観客にも迷惑をかけてしまった。
ミロカロ湖の辺りで1人泣いていると、目の前に大きなポケモンが降りてきた。
え、こんな所にフライゴン?野生の?
今の私のポケモンじゃ手も足もでない。リュックを抱きしめていると!フライゴンは手に持っている手紙を私に渡して飛び立って行った。
この手紙の筆跡‥あのジムリーダーだ。
《ユイさんへ
エキシビションマッチに来てくれていましたね。私にチャンスをくれてありがとう。私は君にバトルの魅力を伝える事が出来ましたか?
実は風の噂でユイさんがジムチャレンジをし始めた事を知りました。それを知り私はとても嬉しかったと共に不安でもありました。旅を始めるとバトルは避けられません。また男性の事を避けるのも難しいと思います。もしかしたらユイさんが恐怖を感じる事があるかもしれません。その時は私を思い出して欲しい。私がユイさんを守ります。次こそ守って見せます。なので、ユイさんはチャレンジに集中してください。貴方は貴方の戦い方に誇りを持ってください。私はユイさんと戦ってみたいです。貴方が私のジムに来るのを楽しみにしています。》
自然と涙が溢れた。
私を思い出して欲しい。守って見せます。
どんなに心強い言葉だろう。
手紙を胸に抱き、私はターフタウンへと戻った。
スタジアムの前にはヤローさんが立っており、私を見つけると走ってきた。
「お嬢さん!大丈夫かい?急に走って行ったから驚いたよ!体調は大丈夫かい?」
「ヤローさん、ごめんなさい。私、途中で抜けて‥皆さんに迷惑をかけてしまいましたよね。
」
「なぁに、心配することはない。このジムは最初のジムだからか結構急にリタイアする人も多いんですわ。だからお嬢さんが謝る必要はないですよ。」
「‥ありがとうございます。ヤローさん、もう一度私からの挑戦を受けてくれませんか?次こそはちゃんと戦います。」
「もちろん受けて立ちます。実は観客のみんなも貴方を待っていたんですわ。」
「え?」
「貴方、うちのウールー達にだけでなくジムトレーナーにもバトル後に傷薬を渡していたみたいですね。それを観客が見ていて貴方の試合を最後まで見てみたいと言っとるんです。」
「皆さん、待っていてくれたんだ‥。ヤローさん、よろしくお願いします。」
スタジアムに向かうと歓声の声が聞こえた。
ヤローさんの前に立つとまた足がすくむ。
ギュッと目を閉じてさっきの手紙を思い出す。
“私を思い出して。”
“戦い方に誇りを持って”
「よくここまで来てくれました。さぁ、実りの多い試合にしましょう!」
「ヤローさん、皆さん、お待たせしました。よろしくお願いします。」
お互いにポケモンを出してバトルが始まる。
お互いに譲らないバトル。私の興奮は最高潮。ダイマックスバトルに入りうっとりする。
「はぁぁ。本当にバトル最高!ヤローさん、私すごく楽しい!ダイマックスバトルだけじゃなく、ジム全部のバトルが最高に気持ちいい!ヤローさん、もっともっと楽しみましょう!もっと私を興奮させてください!」
「なるほど。貴方のスタイルはこんな感じなんですね!いいの!僕も本気でいきますわ!」
結果、バトルは私の勝ち。
ポケモンをボールに戻してから私の身体は血の気が引いていた。
やってしまった‥。つい楽しすぎて興奮してしまった‥。ヤローさんも観客も引いてるに違いない‥。頭が真っ白で周りの音が聞こえない。
と、とりあえずスタジアムの真ん中まで行かないと‥。でも足に力が入らない。その場にペタンっと座り込んでしまった私。
そこにヤローさんが来てくれた。手を伸ばしてくれたけど、その手にビクッとした私に何か気がついたのか手を引っ込めて優しく声をかけてくれた。
「ユイさん。とても楽しいバトルをありがとう。これはジムリーダーに勝った証の草バッチですわ。ミッションのポケモン達、ジムトレーナーに優しくしてくれた。そんな君にこのバッチは受け取って欲しいんです。ユイさん、スタジオのこの声が聞こえるかい?」
「‥声‥?」
ヤローさんが優しくて話をしてくれたおかげか少し周りの音が聞こえ始めた。
すると周りの声が聞こえ始めた。
“嬢ちゃんすごく強いな!”
“私たち貴方を応援するわ!”
“カッコよかったよ!”
“ジムチャレンジ頑張ってね!”
聞こえる声には私を非難したり、笑い物にする声なんて聞こえなかった。
暖かい声援で私の目からは涙が溢れた。
こんな私の戦い方を認めてくれるの?誰も嫌わないでくれるの?
その時スタジアムで泣きじゃくる私を空からフライゴンが見ていたことは全く気が付かなかった。