1st anniversary
名前は?
キバナの恋人成人済み
大体のポケモンが大好き
手持ちはキュウコン•シャンデラ•マホイップ•
ユキメノコ•ニンフィア•ナックラー
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スクールに行かなくなって数日。
先生は何故か事情が分かったようで私を襲った男子達に厳しい処分を出したらしい。
もちろん最初にきっかけを作った女子生徒も厳しい処分を受けたみたい。
家には先生が何回も謝りに来たが私はそれを受け入れることができなかった。
先生達は何も悪くないのは分かってるけど、2度とあそこには行きたくない。思い出しただけでも吐き気が出る。バトルフィールドも。教室も。
あの日からロコンとユキワラシが責任を感じているのかずっとそばにいてくれている。違う。君たちのせいじゃない。私がおかしいから。
私がもっと普通にバトル出来ていたらあんな事にはならなかった。謝るべきなのは私だ。
ごめんね。ごめんね。そうやってロコンとユキワラシに謝り続けている。
夢の中でもあの時のことが鮮明に思い出される。バトル後のみんなの視線。掴まれる腕。身体を触るたくさんの手の感触。
その夢を見る度に冷や汗を流しながら飛び起きる。そして、何かが切れたかのように泣きじゃくる。
そんな日を繰り返している私に一通の手紙が届いた。
差出人は‥書いていない。
中を見てみると手紙とチケットが入っている。
《ユイさんへ
突然のお手紙すみません。私は数日前に君の学校に特別講師として行かせていただきました。その時に教室から飛び出すユイさんを見て、何かがあったと思いクラスメイトに事の経緯を聞きました。その後スクールに来ていない事も先生から伺っています。本当は君に会って直接話をしたかったですが、私も男です。君の気持ちを考えると会うべきではないと思ったので今回手紙を書かせていただきました。
私が想像する以上に君は辛かったと思います。もしかしたらポケモンバトルが嫌いになってしまったかもしれません。私がもっと早く教室に着いていれば君がさらに傷つくこともなかったかもしれない。私にも責任があります。君の事を守れなくて誠に申し訳ございません。
私はバトルの楽しさをみんなに知って欲しくてジムリーダーになりました。君にもバトルは本当はとても楽しくて魅力的なものなんだと知って欲しいとも思っています。もしバトルを楽しんでみたい。そんな気持ちがほんの少しでもまだ残っていたら、私の試合を見に来てみませんか?無理をしないでいい。嫌だったら破り捨ててもいいです。怖かったら帰ってもいい。もし君にバトルを楽しみたい。そんな気持ちの欠片があったら私にチャンスをください。君がまた笑顔になれる事を祈っています。》
チケットをよく見るとチャンピオンリーグのエキシビションマッチのチケットだった。
丁寧に書かれた手紙を見て私は送り主の気持ちに嘘偽りがないと感じた。
バトル自体楽しくなかったかと言われたらそんな事はなかった。すごく楽しかった。ロコンとユキワラシに色んな可能性を感じて、もっとこうしたら?ああしたら?と考えられて楽しかった。
‥この手紙の送り主はジムリーダー。きっと楽しいバトルをするに決まっている。ただそれを見て私が冷静に見ていられるかが分からない。でも今想像するだけで興奮しているんだから、きっと無理だ。それを考えると見に行くのは怖い。
周りの人に変な目で見られたら?また襲われたら?そう考えるとあの日の事が思い出されて全身の血の気が引く。
考えただけでも怖い、でも‥。
“バトルを楽しみたい気持ちがあったら”
“私にチャンスをください。”
‥この人を信じてみてもいいのかな?
怖い気持ちには変わりはないけど‥こんな私でもバトルを素直に楽しめるかな?
なにより、たまたま特別授業先の学校で見かけたたった1人の生徒に手紙を書き、チケットを送ってくれたこの人を信じてみたい。会ってみたい。
数日後、私はチケットを握りしめてシュートシティに立っていた。あの手紙も一緒に持ってきた。今すごく怖くて胸が苦しい。でもこれがあるとすごく心強い。
チケットを係の女性に渡すと何故か他のお客さんと違う所に案内された。みんなスタジアムの客席なのに私が通されたのは少しゆとりのある個室。こ、ここすごくお値段が高いんじゃない‥?少しドキドキしながら席に座ると目の前に手紙が置いてあるのに気がついた。
封筒に書かれていた文字はあの手紙と同じ筆跡。
《ユイさんへ
今日は来てくれてありがとう。勇気を出してくれてありがとう。ここまで来てくれただけで私は嬉しいです。ユイさんが少しでも安心できるように個室を用意しました。ここには誰も入ってこないようにしてあります。是非ポケモン達をボールから出して一緒に楽しんでください。もし途中で辛くなったら帰っても大丈夫です。では、ゆっくり過ごしていってください。》
本当にこの人は優しい人だ。ここまで私の事を考えてくれたんだ。
お言葉に甘えてロコンとユキワラシを出して一緒に観戦をした。
‥そういえば、この手紙の人は誰なんだろ?
確か男性だって書いてあったよね?男性のジムリーダー‥。パンフレットを読むとジムリーダー一覧が載っている。
ヤローさん、カブさん、オニオンさん、マクワさん、ネズさん、キバナさん。あとはダンデさん。
‥誰だか全然分からない。何より今までチャンピオンリーグを見た事が無いからこの人達がどんな性格なのか、どんな喋り方なのかが分からない。
悩んでいるとロコンがグイッと服を引っ張った。
あ、ジムリーダー入場‥。みんなとても輝いて見える。カッコいい。みんな自信に満ち溢れている顔をしている。
トップジムリーダーと呼ばれているキバナさんが代表としてマイクを持って話し始めた。
「会場のみんな!今日は来てくれてありがとう!今年もこの季節がきたぜ!俺様はみんなにバトルを楽しんで欲しい。中にはバトルが苦手な人、嫌いな人もいると思うが、少しでいい。このエキシビションマッチでバトルが楽しいものだと感じてくれたら俺様は嬉しい!さぁ、みんな!盛り上がっていこうぜ!」
キバナさんが話している時、ずっとこっちを見つめていた様な気がしたけど‥。あ、ここステージの真前だからか。
今日のマッチは‥カブさんとネズさん。
あとはキバナさんとダンデさん。
カブさんとネズさんのバトルが始まった。
2人の白熱したバトルを私は食い入るように見ていた。すごい‥初めてジムリーダー同士のバトルを見たけど、こんなに激しくてすごいんだ。
思いもやらない戦略で相手を翻弄する。
こんなバトル、私も出来たら‥。
次のバトルはキバナさんとダンデさん。
2人がフィールドに着くと会場が今までに無いくらいの盛り上がりをみせる。
キバナさん‥。さっき挨拶していた人だよね。
すごくおっとりしていそうな人。そして、トップジムリーダー。
キバナさんは腕で顔を一瞬隠すとさっきまでタレ目だった顔つきが一変。一気につり目になり、顔つきが変わった。
その姿に私は驚きを隠せない。
バトルが始まったらまるで人が違うみたい。そこに私は親近感を覚えてしまった。
その試合はずっとキバナさんから目を離せず、ずっと胸が高鳴り続けていた。
バトルが終わっても私はその余韻に浸っていた。
バトルってすごい。私なんかじゃ思いもやらない事ばかり。
でも何よりキバナさん。あの人私と同じようにバトルの時に性格が変わって堂々と戦ってた。周りの人もそれを嫌な目で見ている人はいなかった。
それが一番の衝撃。ジムリーダーにもそんな人がいるのを知らなかった。
閉会式。ダンデさんがステージに立ちマイクを握る。
「みんな!今日のバトルは楽しんでもらえたか?カブさんの燃え上がるバトル、ネズのロックなバトル。そして荒れ狂うバトルを見せてくれたドラゴンストームのキバナ!一人一人のバトルスタイルがある!恥じる事はない、むしろ誇りを持つべきだ!俺たちジムリーダー、チャンピオンはいつでも君たちの挑戦を待っている。今年のチャンピオンリーグも盛り上がろうぜ!」
そうやって終わったエキシビションマッチ。
私はスタッフの人‥いや、手紙の人の配慮で人が少なくなってから出してもらった。
帰り道を歩きながら私はキバナさん、ダンデさんの言葉を頭の中で繰り返してた。
“バトルを楽しんで欲しい。”
“恥じる事はない、むしろ誇りを持つべきだ!”
こんな私でもバトルを楽しんでいいのかもしれない。バトル中に興奮してしまうかもしれないけど、それは本当に恥ずかしい事?
いや、きっとそれは私の個性だったかもしれない。他の人からどう思われてもいい。それが私なんだから。
少し前向きに考えられるようになった私は、ある一つの考えに行きついた。
チャンピオンリーグに挑戦をしよう。
私に変わるきっかけをくれたキバナさん、ダンデさんに会いにいこう。
そして、あの手紙をくれた人を探して直接お礼を言おう。
。