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名前は?
キバナの恋人成人済み
大体のポケモンが大好き
手持ちはキュウコン•シャンデラ•マホイップ•
ユキメノコ•ニンフィア•ナックラー
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“ジムリーダーキバナ、またダンデに負ける”
“今回も敗北!”
“未だに勝利数0!”
“彼は本当にダンデのライバル?”
「‥ダンデのライバル名乗るな。‥ジムチャレンジャーからやり直せ‥。言ってくれるよなあ。」
SNSから流れてくる情報が頭に届く。
こんなのは初めてじゃないし、ダンデに勝てないのも事実だ。
そう、事実。でもこういう風に言われると腹が立つ。全てがアンチのコメントじゃないのは分かってる。俺様を応援してくれる声があるのも分かってる。それでも嫌な方に目が行くのは意外と不思議なことじゃない。その証拠にテレビや雑誌の奴らもアンチコメントばかり報道している。
今回のバトル‥一体何がいけなかった?何が足りなかった?あの時、あの技を出したのが失敗だったか?あの時、あの時、あの時‥思い返してみてもきっとその時の自分には最善の選択だったはずだ。
考えても分からない。こんな時はいつも黒い考えが頭の中を埋め尽くす。俺様のせいで、俺様が弱‥。
「‥‥バナ?‥‥キバナ!」
「んぁ?‥あぁ、ダンデか‥。」
「珍しいな!君がこんな所で寝ているなんて。」
「たまにはな!ワイルドエリアが晴れてるの珍しいからな。そんな時しか外で寝られないだろ?」
「なるほどな!隣いいか?」
「ああ。」
「君は昔からよくここにくるな。」
「‥ここは野生のポケモンのレベルも高いから、なかなか人も来なくて好きなんだ。」
「何かを考えるのには最適だな。ここにくるのは君が悩んだ時だ。‥どうした?」
「‥わり、ダンデにも心配かけちまったな!でももう大丈夫だ!」
「おいキバナ。俺が長年のライバルである君の事が分からないとでも思ったか?俺の前でその笑顔はよせ。」
「‥まいったな、お前には何も隠せないな。」
ダンデにはなにも隠せないな。誤魔化して笑ったつもりでも全部お見通しって事だな。
ダンデはいつだってそう。俺様の考えている事を全部見通す。その見通す力ですら今の俺様には羨ましい。
「‥俺様は何がダメなんだろうな。その時は最善の考えだと思っていても終わってみればそれが本当に良かったのか分からなくなる。俺様はダンデに負けても次こそは!ってなるけど観客達はそう思ってくれない。‥またキバナが負けたか。いい加減諦めたらどうだ。そんな声ばかり聞こえる。」
「‥観客は俺たちを熱狂してくれる者であり、残酷でもあるからな。俺が彼らを最高に盛り上げてやれなかったのが悪い。キバナ、すまない。お前に嫌な思いをさせたな。‥俺たちトレーナーを傷つけるのは観客達の一言だが、俺たちを救うのも観客達だと思っている。」
「‥俺様を応援してくれる奴なんて‥。」
「少なくとも目の前の彼女はお前を応援していると思うぜ?」
「‥キバナさん?」
その声の主に目をやるとユイの姿があった。この場所はワイルドエリアの中でも野生ポケモンのレベルが高い場所だぞ?ユイ一人で?そもそも俺様は彼女にすらこの場所は教えてないはず。なんで知っているんだ?
そんな考えがぐるぐる回ってまず言葉に出たのが「いつから聞いてた?」なんてありきたりな言葉。ユイは「最初から。」とまたありきたりな言葉が返ってきた。
極力彼女の前では弱音を吐かないようにしていた俺様にとっては顔から火を吹くくらい恥ずかしい。
「さて、あとはユイに任せたぜ!」
「へ?!」
「え?私?」
「俺はこれからシュートシティに用事があるから行くぜ!またな!」
「‥リザードンに乗って行っちゃいましたね‥。」
「‥ユイ‥俺様は‥。」
「キバナさん、ナックルに帰りましょうか。」
「‥おう。」
ユイは何も言わずに俺様の手を引く。まあ、彼氏があんな弱音を吐いているのを聞いたら何にも答えられないよな。
ナックルシティに着くとユイは買い物があると言って俺様を置いて入った。店の前を通る人達が俺様をチラチラ見ている。
きっとみんな俺様が負けたことを知っているんだろ?‥ダメだこんな状態で外に出ているのは辛い。ユイが来たらすぐにジムに戻って‥。
考えていると、前から男の子がやってきた。
「あの‥ジムリーダーのキバナさんですか?」
「あ、あぁ。」
「今日の試合見たよ!すっごくカッコ良かった!」
「え?」
「サダイジャで砂嵐がビューってして、ジュラルドンでドシーンって!最高にカッコ良かった!」
「‥俺様負けちまったぞ?」
「ん?でもカッコ良かったよ!僕、まだポケモン持てないけど大きくなったらキバナさんみたいなトレーナーになるんだ!すっごくカッコ良くて強いトレーナーになるんだ!ねぇ、一緒に写真撮ってもいいですか?」
「ッ!あぁ!ガオーッてポーズ決めるぜ!」
「‥あれ?あれってジムリーダーのキバナさん?」
「わぁ、私も写真撮って欲しい!」
「キバナさん!俺にはサインください!」
「今日のバトルもカッコ良かったよ!」
「次こそダンデさんに勝とう!俺達ずっとキバナさんの応援してるからな!」
男の子から始まり、いつのまにか俺様の周りには人がたくさん集まって、声援の声が耳に届いた。
あぁ、俺様はみんなにポケモンバトルを楽しんで欲しくてこの世界に‥。そして、そんな俺様を応援してくれる人はこんなにも‥。
自然と俺様の目には涙が溜まった。それを周りの人に見られないように拭った。
その姿を遠くからユイがニコニコしながら見ていたのを知ったのは、夜ロトムがこっそり教えてくれた時だった。
私は知ってたよ?
(こうなる事が分かってて俺様を外に置いてったのか?)
(キバナさんに思い出して欲しかったんです。貴方を応援してくれる人はこんなにたくさんいるって。)
(‥これは一本取られたな。)