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大空と正義の味方

――ハズだった。
衛宮士郎は死んだハズだ。
――ここはどこだ。
すると声がした。
いや、声というより頭の中に直接情報を書き加えられるような気持ち悪さを感じた。
『――――問題ないようだな、衛宮士郎』
俺はこの感覚を――知っている。
「――アラヤか」
そう。人類の集合無意識。人類の破滅回避の願望。
そして、抑止力の守護者を要するモノ。
英霊エミヤという前例が居るためか――そいつは生前から俺と契約を迫ってきた。
正直、契約しそうになったこともある。
しかし、それは遠坂によって度々阻止されてきた。
――そう。平行世界の未来で英霊となったアイツとの約束を果たすために。
だから、アラヤと契約をするわけにはいかない。
それはアラヤもわかっているハズ――――――――
――なぜ今になって契約を迫ろうとしているのだろうか

『――提案がある』
『――――英霊エミヤを開放したくはないか?』
――――聞いてはいけない。でも――
「――ッ、なぜいまに、なって…」
そんなことを言うんだ。
声にならない疑問を紡ぐ。
『――奴の魂はもう限界だ。近いうちに存在ごと消滅するであろう』
『――輪廻の輪に戻されることもなく、誰にも知られることなく』
『――奴よりも強くなった衛宮士郎であるお前が私と契約するのならば』
『――奴に転生のチャンスを与えてやることができる』
そんな。卑怯じゃないか。
そんなこと言われて俺が断れないことを知っている。
――――ごめん、遠坂。せっかくおまえが頑張ってくれたのに。
――――――でも、俺がたとえ最後まで偽物であったとしても、
――――――――――後悔だけはしたくないから。
「――――ああ、その契約受けよう」
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