短編
「えっと……998-C、998-C」
ナルは神の国が保有する大図書館を、ブツブツと呟きながら歩いていた。
「あっ、ここの棚だ。それで、えっと今度は224.3だから……あー」
数字を読み上げてから、ナルは顔を遥か上にあげる。
その本があるであろう場所は、ナルの身長では手が届かない場所にあった。
「椅子持ってこないと」
「ほい」
「えっ」
ナルが来た道を戻ろうとすると、突然背後から頭にコツンと何かを当てられる。
後ろを振り向くと、そこにはニコニコと笑みを浮かべているロキの姿があった。
「お父さん」
「やぁ、ナル。この本だろ? お目当てのは」
ロキの手には、青い革表紙の本があった。それを見たナルは目を輝かせ「うん! そう、それ! ありがとうお父さん!」と礼を言いながら、その本を受け取った。
「どういたしまして。その本、どういう話なんだ? この棚は……童話だな。確か異世界の」
「イギリスの童話、『不思議の国のアリス』!私と歳が近い女の子が不思議な世界で冒険する話だって。さっきオーディン様にお会いして、教えてもらったの」
「へぇ。ナルはそういうのが好きなんだな」
「うん。父さんはどんな話が好き?」
ナルがそう問いかけると、ロキは苦笑する。
「うーん。ボクはあんまり本を読まないからなぁ。読み始めたら秒で寝る」
「えー、面白いのに。それに兄さんも同じ事言ってた」
「ハハハ。じゃあ、ナリは本をあまり読まないボクに。ナルは本をよく読むシギュンに似たんだな」
ロキは笑いながら、ナルの頭を撫でた。ナルはそれを嬉しそうに受け入れながら、再びロキに質問する。
「そういえば、お父さんはどうして此処に? いつもバルドルさんと兄さんの鍛錬場に居るのに」
「うん? 気分的にナルに構ってこようかなって。でも、本読むならボクは邪魔かな?」
ロキが頬をかきながらそう話すと、ナルは「ううん」と首を横に振る。
「本ならいつでも読めるから、いいよ。ねぇ、一緒にお父さんでも読める本選ぼうよ」
その提案にロキは眉をひそめるも、手を握る娘の手を払えるはずもなく「……そうだな。折角だし、選んでもらうか」と言うとナルはとびっきりの笑顔を見せ、手を繋いだまま歩き出した。
「何がいいかな……戦記物とかなら、お父さん飽きないかな……。あぁ、そうだ。本が見つかったら中庭に行こう?今日はいい天気だから、きっと気持ちいよ」
「ナル。それは完全に、お父さんに昼寝させる条件コンプリートになるぞ?」
目をキラキラと輝かせはしゃぐナルに、ロキも笑った。
ナルは神の国が保有する大図書館を、ブツブツと呟きながら歩いていた。
「あっ、ここの棚だ。それで、えっと今度は224.3だから……あー」
数字を読み上げてから、ナルは顔を遥か上にあげる。
その本があるであろう場所は、ナルの身長では手が届かない場所にあった。
「椅子持ってこないと」
「ほい」
「えっ」
ナルが来た道を戻ろうとすると、突然背後から頭にコツンと何かを当てられる。
後ろを振り向くと、そこにはニコニコと笑みを浮かべているロキの姿があった。
「お父さん」
「やぁ、ナル。この本だろ? お目当てのは」
ロキの手には、青い革表紙の本があった。それを見たナルは目を輝かせ「うん! そう、それ! ありがとうお父さん!」と礼を言いながら、その本を受け取った。
「どういたしまして。その本、どういう話なんだ? この棚は……童話だな。確か異世界の」
「イギリスの童話、『不思議の国のアリス』!私と歳が近い女の子が不思議な世界で冒険する話だって。さっきオーディン様にお会いして、教えてもらったの」
「へぇ。ナルはそういうのが好きなんだな」
「うん。父さんはどんな話が好き?」
ナルがそう問いかけると、ロキは苦笑する。
「うーん。ボクはあんまり本を読まないからなぁ。読み始めたら秒で寝る」
「えー、面白いのに。それに兄さんも同じ事言ってた」
「ハハハ。じゃあ、ナリは本をあまり読まないボクに。ナルは本をよく読むシギュンに似たんだな」
ロキは笑いながら、ナルの頭を撫でた。ナルはそれを嬉しそうに受け入れながら、再びロキに質問する。
「そういえば、お父さんはどうして此処に? いつもバルドルさんと兄さんの鍛錬場に居るのに」
「うん? 気分的にナルに構ってこようかなって。でも、本読むならボクは邪魔かな?」
ロキが頬をかきながらそう話すと、ナルは「ううん」と首を横に振る。
「本ならいつでも読めるから、いいよ。ねぇ、一緒にお父さんでも読める本選ぼうよ」
その提案にロキは眉をひそめるも、手を握る娘の手を払えるはずもなく「……そうだな。折角だし、選んでもらうか」と言うとナルはとびっきりの笑顔を見せ、手を繋いだまま歩き出した。
「何がいいかな……戦記物とかなら、お父さん飽きないかな……。あぁ、そうだ。本が見つかったら中庭に行こう?今日はいい天気だから、きっと気持ちいよ」
「ナル。それは完全に、お父さんに昼寝させる条件コンプリートになるぞ?」
目をキラキラと輝かせはしゃぐナルに、ロキも笑った。