短編
「「シュークリーム?」」
ロキとバルドルが口を揃え、目の前に差し出された食べ物の名を呼ぶ。キツネ色に焼き上がった生地から、甘い香りが漂う。
それを持ってきたトールは目をキラキラとさせなかまら、そのシュークリームについて話し出す。
「この前異世界で知ったスイーツを作ってみた第五弾! シュークリーム! 今色んな神族に完成品を渡しているんですわ。でも良かった。二人がちゃんと一緒にいてくれて! 一人しかいなかったら勿体なかったもの!」
トールはご丁寧に二人分の珈琲や砂糖、ミルクも用意してロキにそのトレーを渡す。
「それじゃ、他にも配らなきゃいけないのでアタシはこれで!感想、待ってますわ!」
そう言ってトールはスキップしながら行ってしまった。そんな彼の後ろ姿を見ながら二人は珍しいスイーツ、シュークリームをマジマジと眺めながら部屋の中へと戻った。
「シュークリームねぇ。なんか匂いからして甘ったるそうだ」
「甘いの無理だったか?」
「いや。単品ならキツイけど珈琲があるなら大丈夫だ。さっ、食べるか」
ロキはテーブルにトレーを置き、ソファに座る。それに合わせてバルドルもソファに座り、珈琲に角砂糖を三つ入れた。
そして互いに手を合わせ「いただきます」と言ってシュークリームののった皿を持ち上げる。そのまま一口、サクッという効果音と共にかぶりつく。
外はサクサク、中はふんわりと柔らかく、中からカスタードクリームと生クリームが混じりあったものが彼等の口の中へと溢れる。
「うわ、とっ」
かぶりついた逆側からクリームが落ちかけていたのを、ロキは口で食い止める。
「行儀が悪いぞロキ」
「仕方ねーだろ。落ちそうになってたんだ、し……」
「それでも手で受け止めるとかあるだろう。……うん、生地も二つのクリームも美味しいな。けれど食べるのが難しいの……なぁ、ロキ。貴方なんでさっきから笑ってるんだ?」
バルドルはロキが自分を見ながら笑っていることに気付く。彼は笑いが収まらぬまま「いや、なんかすげぇ間抜けに見えっから」と言う。バルドルはその間抜けに見える、というのがよく分からないでいた。
ロキはようやく笑う自分を落ち着かせると、シュークリームを置いてテーブル越しにバルドルの顔に自分の顔を近付ける。彼の行動に驚くバルドルは、ついギュッと強く目を閉じてしまう。
すると、彼の唇あたりにぬめりと舐められる感覚が走る。その感覚と共に顔がだんだんと熱くなる。おそるおそる目を開けると、目の前にはクリームのついた舌を見せるロキの顔があった。ロキはそれを口の中に入れる。
「クリーム、口についてた」
「……は?」
「だーかーら。クリームが口についてたから間抜けだなって笑ったんだよ。そっちの方が行儀が悪ぃ、ぎゃっ!?」
「舌を使うな、馬鹿!」
ロキとバルドルが口を揃え、目の前に差し出された食べ物の名を呼ぶ。キツネ色に焼き上がった生地から、甘い香りが漂う。
それを持ってきたトールは目をキラキラとさせなかまら、そのシュークリームについて話し出す。
「この前異世界で知ったスイーツを作ってみた第五弾! シュークリーム! 今色んな神族に完成品を渡しているんですわ。でも良かった。二人がちゃんと一緒にいてくれて! 一人しかいなかったら勿体なかったもの!」
トールはご丁寧に二人分の珈琲や砂糖、ミルクも用意してロキにそのトレーを渡す。
「それじゃ、他にも配らなきゃいけないのでアタシはこれで!感想、待ってますわ!」
そう言ってトールはスキップしながら行ってしまった。そんな彼の後ろ姿を見ながら二人は珍しいスイーツ、シュークリームをマジマジと眺めながら部屋の中へと戻った。
「シュークリームねぇ。なんか匂いからして甘ったるそうだ」
「甘いの無理だったか?」
「いや。単品ならキツイけど珈琲があるなら大丈夫だ。さっ、食べるか」
ロキはテーブルにトレーを置き、ソファに座る。それに合わせてバルドルもソファに座り、珈琲に角砂糖を三つ入れた。
そして互いに手を合わせ「いただきます」と言ってシュークリームののった皿を持ち上げる。そのまま一口、サクッという効果音と共にかぶりつく。
外はサクサク、中はふんわりと柔らかく、中からカスタードクリームと生クリームが混じりあったものが彼等の口の中へと溢れる。
「うわ、とっ」
かぶりついた逆側からクリームが落ちかけていたのを、ロキは口で食い止める。
「行儀が悪いぞロキ」
「仕方ねーだろ。落ちそうになってたんだ、し……」
「それでも手で受け止めるとかあるだろう。……うん、生地も二つのクリームも美味しいな。けれど食べるのが難しいの……なぁ、ロキ。貴方なんでさっきから笑ってるんだ?」
バルドルはロキが自分を見ながら笑っていることに気付く。彼は笑いが収まらぬまま「いや、なんかすげぇ間抜けに見えっから」と言う。バルドルはその間抜けに見える、というのがよく分からないでいた。
ロキはようやく笑う自分を落ち着かせると、シュークリームを置いてテーブル越しにバルドルの顔に自分の顔を近付ける。彼の行動に驚くバルドルは、ついギュッと強く目を閉じてしまう。
すると、彼の唇あたりにぬめりと舐められる感覚が走る。その感覚と共に顔がだんだんと熱くなる。おそるおそる目を開けると、目の前にはクリームのついた舌を見せるロキの顔があった。ロキはそれを口の中に入れる。
「クリーム、口についてた」
「……は?」
「だーかーら。クリームが口についてたから間抜けだなって笑ったんだよ。そっちの方が行儀が悪ぃ、ぎゃっ!?」
「舌を使うな、馬鹿!」