お昼頃、食堂は生徒たちで賑わっていた
そこで一際ざわつき人が集まっているテーブルがありそこでは1人の生徒が食事をひたすらしている
そうひたすら食べているのである
食材は勿論無限では無いだけどそんな華奢な身体のどこにそんな量が入るのかってくらいその生徒は黙々と食べている

「先輩、私の分も食べてください実はもうお腹いっぱいで」

「ありがとうございます、遠慮なくいただきますね」

そういい膳を受け取ると女子生徒は嬉しそうな悲鳴をあげる。それをかわきりに他の生徒もそのテーブルに次々と置いていく
学園の制服の下にパーカーを着、帽子をいつもかぶっているナナシはとにかく食べて食べるのである、本当にその量がいったいどこに消えていってるのか不思議なほど
ナナシが大量に食事をとるのにはわけがある、自らは生み出せないある成分を食事で補うためである

「よっ、今日も相変わらず馬鹿みたいな量食ってんな」

「ロビン」

向かいに座ってきた彼はロビンフッド、顔立ちが整っている所謂イケメンと呼ばれる部類に入る彼が女子生徒にウィンクすれば黄色い悲鳴があがる
わかっててやってるとこがもはやなんというか

「いやー、この顔に生まれてきて良かったっておもってますわ」

「ロビンは実際イケメンですからね」

「悪意がないからホントたちわるいっすわ」

ボソッっと言った言葉はナナシには届いておらず頭にはてなをうかべる
やれやれとため息をつきながらロビンも食事をはじめる
本来ならナナシもロビンも食事は必要としない、この行為はまわりに不審に思われないために行っているにすぎない
すぎないのだが、ロビンとナナシには1つ違いがあったそれは

「あ!!いたいたーー!!ロビン! ナナシ!!」

元気よくテーブルにかけよってきた少女は当たり前のようにナナシの隣に座る
ロビンとナナシはそれが当たり前のことだから特に気にはしないが、まわりはヒソヒソと「アーシアンのくせに」とか、「身の程を弁えろ」とかわざわざ聞こえるように言う
だけどこれでも文句を言う人は減った方、元気に来た彼女藤丸立香は誰にでも分け隔てなく平等に接しており、スペーシアンの友人も少なからずいる
ロビンと藤丸立香はアーシアンである、ナナシはスペーシアンではあるがそういった差別には全くと言っていいほど興味がなく誰とでも同じように接している

「ったく、どこいっても差別ってのはなくならないもんですねぇ」

「でも、わかってくれる人もいるよ」

どちらもおなじ人間だって言うのに、人は自分と違うものは恐怖として受け入れられない
仕方の無いことだ
そう思いながらご飯を食べているとまわりは端末を見て歓声をあげていた
ロビンと立香も端末を出して映像を見始めた

「ナナシみてみて!!この子最近編入して来た子だよ!!」

ナナシはご飯を口に運びながら映像を見る
一瞬目を丸く見開き少し口角を上げた

『こっ、ここここ、婚約者!!?で、ででででも!私、女、ですよ?』

『あら、水星ってばお堅いのね、こっちじゃ、全然ありよ』

目標発見、そうボソッっと呟くとロビンと立香もニヤリと笑った