近くて遠い異世界

人間の頭脳は、今なお未知の領域が大半を占めており、近くにありながら、非常に遠い異世界といえよう。
神秘の異世界──、【脳】。
だが、その仕組みは、単純な構造に置き換えて、考察する事が可能である。
脳内は、電気信号の海であり、思考も記憶も、睡眠時に見る夢も、全ては電気信号のもたらす反応の結果であるのだ。
極論すると、情報の記録媒体と、脳内の記憶領域の構造は、その仕組みに、大きな差異は見られないとも言える。
夢も、つまりは、電気信号が脳内に結んだ映像であり、モニタに映される画像の仕組みと、変わりはない。
さらなる研究によって、脳が外部からの信号を受信し、脳そのものが情報媒体となる事もありうるだろう。
脳──
この近くて、遠い異世界の開拓は、始まったばかりである。
未知の世界には、【畏れ】と同等の、【可能性】が広がっていると信じたいものだ。
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