船の墓場ヤード

流砂の抵抗と、何より魔獣の脅威は、これまで幾隻もの船舶を破壊し、生命と残骸を、砂海に沈めてきた。
砂海を渡るという事は、それだけ大きなリスクを伴っているのだ。
そんな事情を踏まえた上で、【運命の箱船】教団の神殿施設が、ここ、ヤード島にあるのには理由がある。
かつてここは、難破船の残骸が流れ着く事で、【船の墓場】などと不名誉なふたつ名で呼ばれた島であった。
だが、ひとりの渡り鳥が、ある船の残骸と出逢った事で、この島は、新たな歴史を刻みはじめた。
渡り鳥が発見した船とは、遥かな昔、我ら人類の祖をこの星に導いた、【天翔ける船】であったのである。
渡り鳥は、太古の叡智の結晶を手にし、それをもって、世界の救済に着手しはじめた。
渡り鳥とは、10年前のラミアムその人であり──
そして、【天翔ける船】は、教団の神殿として改修され、全ての活動の拠点として機能しているのである。
墓場と呼ばれた島から、新たな船が出航しようとしている。
【運命の箱船】教団発祥の地から、ファルガイアの未来が、紡がれていくのである。
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