たゆたう知恵

最初は、まったくの偶然であった。
後に最初の委員会を結成する事となる、その研究者グループは、遺跡の奥底で【智慧】に接触したという。
遺跡は、ミーミルズウェルと名付けられ、そこを拠点として、【智慧】の解析が始められた。
【智慧】は、遥かな時代…
この星で引き起こされた、大戦期にまで遡る叡智の結晶と判明。
その圧倒的な水準と、危険性から、伝承の存在とされた、魔族の遺した技術であると結論された。
魔族の遺産である【智慧】は、人の記憶領域を模した擬似空間に集積され、多くの謎と一緒に保存されていたという。
まさにーー
魔族の遺した【想い出】といえよう。
研究者グループは記録されていた情報から、擬似空間に存在する情報ライブラリィを【ヒアデス】と命名・呼称した。
ヒアデスと、そこに遺された智慧は、その後も長きに渡って、研究グループによって解析される事となる。
かつては、星の破壊のために振るわれた力を今度は星の再生に用いるためである。
智慧はたゆたうモノ。
その価値と利用法は、一所に定まるものではないのだ。
1/1ページ
スキ