忘却の彼方に消ゆ

人と近しい姿を備え、人と近しい心を持った、人とは異なる彼の者らを亜人種と呼ぶ。
亜人種の名はエルゥ。
その名と姿は、遥か時の彼方に消え去って久しい。
亜人種エルゥは、魔族のファルガイア侵攻の際、守護獣を率いて抵抗を繰り返したとされる。
元来、争いを好まぬ性情の彼らであったが、刀鍛冶にして剣士であるバシムを筆頭に、星を守るために立ち上がったという。
他にも、禁断の秘技に通じしフルカネルリや、星を識るブラバツキーらは、当時の碑文などに勇名を残しているが…
熾烈を極めた戦いの後、エルゥたちの行方を知る者はいない。
一説によると、星の力と大きく関わる彼らは、星の衰退に伴って、その力を失い、やがて、絶えていったとされる。
では、すべてのエルゥは絶えてしまったのか?
我々には、その問いにすら答える事はできない。
歴史の彼方に忘れられし亜人種エルゥ。
我々が彼の者らを思い出す時…
それは、この星に緑が蘇る時なのかもしれない。
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