｢万事屋銀さんでーす。｣

その後暫しの沈黙になった。
どうも、聞いたことのある声。
さっきの女の子もそうだったけど…
まぁ、何処で会っていようが関係ないけど。

｢あれ、無視ですかぁ？依頼って何？｣

『いや、そんなこともないようなかも？』

｢それどっちだよ！まぁ、とにかくだ。そのマント脱がねーのか？
何かすごく目立ってるぞ。｣

そう言われても私はこのマントを脱ぐわけにはいかなかった。
私の姿を見られたら、深く関わることになるかもしれないから。それに．．．

『私はもともと死ぬはずだったひとだから(ボソッ』

｢何ていったんだ？｣

小さくて聞き取りづらい声で呟いたため、この銀髪の男の人には聞き取れていなかった。

『何でもない。それより、血華族って知ってるか？』

｢さぁー、知らねーなー。神楽お前は？｣

｢うーん…でも、なんか聞いたことあるようなー？｣

この子他の人間とは違うと一目見たときから分かった。
噂には聞いていたがこの子が戦闘民族夜兎だろう。
白い肌に番傘を見たときに分かった。
本人曰くあまり覚えていないようだ。

『ありがとう。それでは失礼します。』

相手の返事を聴かずに私は、きた道を通って帰った。



そして夜になってまたききこみを始めた。



もう分かってたんだ────

こんなことしても意味が無いってこと────

そう、血華族はただの駒だから────

用が済んだら捨てられる────

それだけの存在────





そろそろ、この町を去らなければならない日が近づく。
この町が広かったせいで結構長居してしまった。
万事屋とはあれ以来会っていない。
もう、会うことはないだろうが。

今日のききこみが最後になる。



町が寝静まり辺りの看板の光が消え一通りも少なくなった頃そろそろ潮時かと思い聞き込みを止めた。
疲れて近くにあった公園のブランコに座った。

『星が綺麗。』

どの星に行っても星は綺麗だった。
もちろん私の星からみる星も綺麗だった。
だから、嫌な思い出が頭を流れる。

『ハァー』

思わず溜め息が漏れる。
これから私はどうしたらいいんだろう。
そういうことばかりが頭の中を駆け巡る。

今までやってたことは全て取り残され生き残ってしまった私への罪滅ぼしのようなもの。
それをやめてしまった私はどう生きていけばいいのか分からない。自分がしたい事も私が決めるなんて出来ないから。それならいっそ消えてしまった方がマシだ。

うん、もし死ぬのならこの星で死ぬのも本望じゃないかな。

『そろそろかな。』

夜が明けはじめて私はこの町を出るため歩きだした。

ちょうど、歌舞伎町という看板を抜けようとしたとき、

「ちょっと待てよ。」

声がし、振り向くといつぞやの銀髪頭に夜兎の少女にメガネ。
驚いたが、楓はまた歩き出した。

「おい、だから無視すんなよ！」

『私に関わるな。』

いつものように冷たくいい放った。

「てめーが、血華族だからか？」

思いがけないくらいに楓は反応した。

「やっぱりな。調べさせてもらったぜてめーのこと。」

『余計なことを。』

そういう彼女だったが、動揺してるのがバレバレだ。

楓自身もあまりの出来事に頭がおいついていない。


銀「余計なことして悪かったな。
ちょっと、警察脅して情報もらっただけだ。
だが、裏の奴が色々なかったことにして闇に葬られている部分もある。
てめーにとっちゃその部分を探してるらしいけど。」

楽「こっちも頑張ったけどそこまでは分からなかったアル。」

新「色々あなたの種族のこと探ってすいません。」

彼女は、俺たちの話を聞いた後何も喋らなくなった。
その場につったったまま動かない。

銀「あれ、やっぱ怒ってる？」

こんなことされたのは私にとって初めてだった。
だから、どう反応していいのか分からない。
どうしよう、でも感情は実に正直で・・・

バサッ

少女のマントがアスファルトの地面に落ちていく。

『こんなことされたらここから離れたくなくなるじゃん！』

少女の瞳からは大粒の涙が溢れていた。
まさかのことに今度は3人が驚いた。
そして、3人は私の目の前に来た。

銀「じゃぁ、ここにいたらいいさずっと。
てめーを見てると昔の自分を思い出すんだよ。」

そういいながら彼は私の頭を優しく撫でた。

楽「一緒に万事屋に住むアル！
それより、名前教えてヨ。」

『楓・・・』

私最後に泣いたの何年ぶりかな。
もう、とっくに枯れたものだと思ってた。

楽「私神楽ネ。」

新「僕は志村新八です。」

銀「俺は坂田銀時だ。もう、死に場所探しは止めろよ！」

この男は私の事何でもお見通しか。

でも、今日以外こんな嬉しいことなんてない。


孤独の死神少女は新しい生活を手に入れた

この人達との出会いは不幸だった私へ神様からの贈り物？

それともここから更に不幸になる序章なの？