「私に会いたくなったかネ」

　この人の自信は一体どこから来るんだろうか。まあ事実だけどさ。

「うん…まあ、そうとも言うかな」
「奇遇だな」
「え？」

　マユリから気になる言葉が聞こえ顔をじっと見たが、マユリは眠たそうな顔をしている。青い髪を梳くように撫でるとマユリの目が更に細くなった。

「少し寝たら？」
「君が居るのに寝るわけないだろう」

　うーん。サラッと言われてしまった。私は少し照れ臭くなって上を向く。

「で、でもさ。マユリここの所疲れてるみたいだし、休んで欲しいよ」
「ああ。確かに忙しかったね。そのせいで名無しさんにも会えなかった」

　マユリが下から手を伸ばして私の頬に触れた。私はまた下を向いてマユリと目を合わせた。マユリは優しく微笑んでいた。

「私も会いたかった。名無しさん」

　ああ。どうしよう。顔がものすごく熱い。この部屋が薄暗くて良かったな。
　マユリは片腕で体を少し起こす。私も少し屈んで、それとなくお互いに口付けた。

　マユリがまた体を横にして、目を細める。どうやら限界のようだ。

「寝ていいよ。マユリが起きるまで待ってるし、起きてもここに居る」
「…10分だけ」
「何分でもいいよ」

　思わず少し笑ってしまったが、私はマユリの頭を撫でた。1分もしない内に静かな寝息が聞こえてくる。
　これ戻ったら隊員に怒られるかな。まあ皆私がサボり癖あるの知ってるし、きっともう諦めてるかな。

　マユリが寝ている時間も、私はなんだかすごく愛おしいものに感じた。私がマユリが起きるまで青い髪を撫で続けるのであった。