「マユリく〜ん」

　ドアを開けて様子を覗くと部屋は薄暗かった。あまりここの場所を知らない人が来たらきっと留守だと思うだろう。
　だけど画面の前の椅子にいないだけで、ソファを良く見れば。
　仰向けで目を閉じてるマユリがいた。どうやら休憩中みたいだ。
　私はそっと音を立てないように扉を閉めた。

「そのまま鍵を閉めといてくれたまえ」
「うわっ」

　目を閉じたままのマユリが声をだす。いきなり話すものだから普通にびっくりしてしまった。

「ごめん、起こした？」
「いいや。寝ていなかったよ」

　マユリは上半身だけを起こす。私はマユリの言う通りに鍵を閉めるとソファに寄って、マユリが起き上がってできたスペースに座った。
　マユリが私に体重を預けてくる。目が半分閉じかかっているような気がする。

「邪魔なら帰ろうか？」
「いや、構わないよ。君仕事は？」
「マユリの様子を見るって言う仕事中なの」
「サボりかね」

　マユリはキッパリと言うと体をずらして私の膝上に頭を乗せてきた。二人だからかずいぶん甘えているように感じる。