「っていうかマユリのとこはすごいねー。色んな薬が作れるんだよねー」
「何を今更な事言ってるんだネ」
「いや改めてだよ。マユリがすごいのは知ってたけどさ。どんなものでも作れるの？」
「当たり前だヨ」
「睡眠薬とか、媚薬とか、マユリを弱らせる薬とかも？」

　マユリがこっちをチラッと見る。すごく見下している顔だ。

「最後の薬の必要性はともかく、最初の二つはあるヨ。なんなら媚薬を試してやろうか？」
「マユリが飲んでくれるんだったらいいよ」
「何をバカな事を」

　そこで私は寝起きにされた事を思い出した。

「あ！っていうか…サラッと流したけど起こすのにビンタする必要あった？」
「何度か声を掛けても起きなかったんだヨ」

　マユリがしれっと答える。理由になってないと思うんだが。
　私はマユリの膝に顔を乗せて、横を向いた。モニターの明かりが眩しい。

「なんかマユリってさー。エスコートみたいなのしないよねー。優しくないっていうかさ」
「いきなりなんの話だネ」
「だってさー。普通恋人を起こす時とかさー、キスで起こしたりとかさー。いつも出かける時とかもさー、手を引っ張るの痛かったりとかー」
「…優しくしてほしいのかネ」

　私がぶつぶつと文句を言っているとマユリが少し不機嫌そうに要約してくる。