その1
「金を渡さなきゃならんね。」
「…車だ。中なら見えねぇ。」
そう小声で会話する三人。
…だが、背後に現れたもう一人には気付いていなかった…。
「ぐっ!?」
会話を終えた次の瞬間、男二人のうち一人が、衝撃と共にびくりとなって少し仰け反り、一秒ほどして膝をつく。まさかと思ったもう一人が覗き見たその背中には、しっかりナイフが刺さっている。
連れてきたうちの一人とスーツの男、二人が車の方を振り返ると、その車の横にいたのは…。
「…この車がどうしたって?」
…直接関わったことはないまでも、二人もその存在はよく知っている男…。
"黒い翼"の男だったのである。
すぐさま、二人組のうちの一人が、上着に隠し持っていた拳銃を取り出す。しかし、クールは男が銃を取り出すのと同時に、ボンネットを飛び越え、車の後ろへ回っていた。
男が何発か発砲し、車に傷がつく。男は舌打ちをして車の方へ走ったが、その足音を聞いたクールが、今度は車の屋根を越え、それに遅れて気が付いた男の頭上へ、飛び降りながら蹴りを出した…。
側頭部を蹴られた男は、当然、その痛みと衝撃で立ってはいられず、ふらついたところに追い打ちで蹴り飛ばされて、漏れた声と共に倒れた。
その男を背に、彼は、今度はミミドリを強引に連れて行こうとしたスーツの男の元へ…。
はじめは踏みとどまろうとした彼女だったのだが、頭に拳銃を突きつけられて、大人しくついていく他はなくなっていた。
しかし、男が彼女を連れて、古い建物と配管で溢れた裏路地をしばらく進んだところで、先の方の頭上から…背後にいたはずのクールが、ビルを登り先回りして、降りてきたのだ。
男は咄嗟に、持っていた銃を彼に向けて撃とうとしたが、彼が素早く二つのビルを伝って降りるのと、男が焦っているのとで、狙いは完全に外れている。
彼がいた場所を遅れて撃つような形になり、男の銃は、その無駄撃ちとなった四発ほどで、弾切れを起こした。そのまま男が替えの弾を取り出す余裕もなく、すぐに距離を詰めたクールが、一発、二発、と回し蹴りを喰らわせた…。
何もできず倒れた男の少し後ろに、体に腕をロープで縛り付けられたミミドリが立っている。
そこですぐに彼女のロープを外しに行こうとしたクールが、彼女の背後、最初にナイフで倒れた男が動いていたのに気付いた。
男が彼女の方にゆっくりと伸ばした腕の先には、拳銃がある。
クールが走り出し、彼女を覆うようにして抱いた次の瞬間、銃声が鳴った……。
「…車だ。中なら見えねぇ。」
そう小声で会話する三人。
…だが、背後に現れたもう一人には気付いていなかった…。
「ぐっ!?」
会話を終えた次の瞬間、男二人のうち一人が、衝撃と共にびくりとなって少し仰け反り、一秒ほどして膝をつく。まさかと思ったもう一人が覗き見たその背中には、しっかりナイフが刺さっている。
連れてきたうちの一人とスーツの男、二人が車の方を振り返ると、その車の横にいたのは…。
「…この車がどうしたって?」
…直接関わったことはないまでも、二人もその存在はよく知っている男…。
"黒い翼"の男だったのである。
すぐさま、二人組のうちの一人が、上着に隠し持っていた拳銃を取り出す。しかし、クールは男が銃を取り出すのと同時に、ボンネットを飛び越え、車の後ろへ回っていた。
男が何発か発砲し、車に傷がつく。男は舌打ちをして車の方へ走ったが、その足音を聞いたクールが、今度は車の屋根を越え、それに遅れて気が付いた男の頭上へ、飛び降りながら蹴りを出した…。
側頭部を蹴られた男は、当然、その痛みと衝撃で立ってはいられず、ふらついたところに追い打ちで蹴り飛ばされて、漏れた声と共に倒れた。
その男を背に、彼は、今度はミミドリを強引に連れて行こうとしたスーツの男の元へ…。
はじめは踏みとどまろうとした彼女だったのだが、頭に拳銃を突きつけられて、大人しくついていく他はなくなっていた。
しかし、男が彼女を連れて、古い建物と配管で溢れた裏路地をしばらく進んだところで、先の方の頭上から…背後にいたはずのクールが、ビルを登り先回りして、降りてきたのだ。
男は咄嗟に、持っていた銃を彼に向けて撃とうとしたが、彼が素早く二つのビルを伝って降りるのと、男が焦っているのとで、狙いは完全に外れている。
彼がいた場所を遅れて撃つような形になり、男の銃は、その無駄撃ちとなった四発ほどで、弾切れを起こした。そのまま男が替えの弾を取り出す余裕もなく、すぐに距離を詰めたクールが、一発、二発、と回し蹴りを喰らわせた…。
何もできず倒れた男の少し後ろに、体に腕をロープで縛り付けられたミミドリが立っている。
そこですぐに彼女のロープを外しに行こうとしたクールが、彼女の背後、最初にナイフで倒れた男が動いていたのに気付いた。
男が彼女の方にゆっくりと伸ばした腕の先には、拳銃がある。
クールが走り出し、彼女を覆うようにして抱いた次の瞬間、銃声が鳴った……。
