Precious EGG
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俺達がいた方から対岸の川沿いに見えている、古くも一見すると趣のあるビル郡の景色。その奥には、見るだけで十分狭い…これまた古い高層住宅の過密区域が続いている。俺達はその高層住宅の間、人が二人やっと並んで通れるくらいの道に入った。
地面は元居た方よりも度を増してゴミの散乱が目立つうえ、マッチの屑やら箱、出所の知れない葉巻や薬の箱、注射器…とにかくそれが単なるゴミなんかではないことが見て取れる物もあった。おまけに所々の道に転がってるネズミの亡骸は、その時の一匹だけじゃなく、歩いてるうちに何回も出くわすほどだ。
…きっと隣にいる人間には、あの表の景色だけではこの実情は想像もつかなかったろう…。
それでも、この区域に結蓮の知り合いがいるというので、俺は渡された情報の通りに、その場所を探していた。
何故ミミドリを連れてくる必要があったのかを理解するのは簡単だった。俺がそこに居ようが居なかろうが、あのバーの双子もこいつの素性や中身についてを多少知ってるわけだから、まずこいつ一人だけで外…遠くを歩かせるわけにはいかないと思うもんだ。かと言って、俺一人に頼んだところで、都合よくそこにいただけの俺がタダで行ってやるつもりは毛頭ない。そして結蓮もそれを予測していたんだろう。
…ただ、そうは言ってもだな。
俺だけならいざ知らず、こいつを連れてる状態ではこの場に長くいたくはなかった。
「…周りはあんまり見んなよ。」
頭上やすれ違いざま、俺達を興味深く眺める奴、勝手な妄想や憂さ晴らしの標的にする奴、そんなのもきっといるんだろう。俺だってそんな奴とは関わりたくはない。俺は確かにこういう場所に身を隠していることもあるから慣れたとは言え、面倒なことに変わりはない。
それに、特にこいつに至っては…一度いいカモになりそうだと向こうから判断されれば、そいつの興味も湧くだろうからな…。
「目合わすと厄介だからな。」
とにかくそう言っておくしかなかった…。
しばらく歩くと、また横からの道が交わる。交差している道は広く、目の前は広場のような空間で、俺達が来た方以外の三方向を高層住宅に囲まれているが、広いその空間に若干の西日が入っている。その広場の周辺、小さい店が入っている箇所がいくつかある中に、古着の並んでいる店があった。おそらく結蓮の知り合いとはあの店主のことだとすぐに把握する。
明るいだけあって、さっきまで俺達が見てきたものよりはまだマトモな空間のようで、古いがしっかりした服を着ている母親と子供の姿もある。その空間の様子に、隣の人間の安堵を感じながら、俺達はその店に向かった…。
「あんた、結蓮の妹ね。」
「…そうです。」
「…ホント、聞いた通りだよね。」
一見やや気の強そうに見えた女店主が、店の布を持って行った俺達を見て笑った。
「こんなところに来るような人たちじゃないと思ったからさ。オツカイでも頼まれた?」
「そう…なのかな。」
使われている自覚がなさそうな、ぎこちない返事をするミミドリに少し笑いが込み上げてきてしまった。
「アンタのことも聞いてるよ…。来るとしたら二人で来るかもってさ。」
「…まぁ、そうだろうな。」
「いい用心棒さん。」
「…そりゃどうも。」
結蓮は一体どれだけ俺の事を漏らしてくれたんだか。確証はないが…。
「きっとそこらで聞くような巡り合わせじゃないんだろうね…。お似合いだよ。」
この言葉と俺の肩を軽く叩く様子からするに…俺達がそこそこ長い関係であること、軽薄な付き合いではないことは、おそらく知られている。
「…デートってんなら、こんなとこはさっさと出なさいよ。そこらの大通りに行ってみるといい。そしたらもっと露天商とか大きい店とか色々あるからね。」
…お前も露骨に下向くなよ…。
俺達がいた方から対岸の川沿いに見えている、古くも一見すると趣のあるビル郡の景色。その奥には、見るだけで十分狭い…これまた古い高層住宅の過密区域が続いている。俺達はその高層住宅の間、人が二人やっと並んで通れるくらいの道に入った。
地面は元居た方よりも度を増してゴミの散乱が目立つうえ、マッチの屑やら箱、出所の知れない葉巻や薬の箱、注射器…とにかくそれが単なるゴミなんかではないことが見て取れる物もあった。おまけに所々の道に転がってるネズミの亡骸は、その時の一匹だけじゃなく、歩いてるうちに何回も出くわすほどだ。
…きっと隣にいる人間には、あの表の景色だけではこの実情は想像もつかなかったろう…。
それでも、この区域に結蓮の知り合いがいるというので、俺は渡された情報の通りに、その場所を探していた。
何故ミミドリを連れてくる必要があったのかを理解するのは簡単だった。俺がそこに居ようが居なかろうが、あのバーの双子もこいつの素性や中身についてを多少知ってるわけだから、まずこいつ一人だけで外…遠くを歩かせるわけにはいかないと思うもんだ。かと言って、俺一人に頼んだところで、都合よくそこにいただけの俺がタダで行ってやるつもりは毛頭ない。そして結蓮もそれを予測していたんだろう。
…ただ、そうは言ってもだな。
俺だけならいざ知らず、こいつを連れてる状態ではこの場に長くいたくはなかった。
「…周りはあんまり見んなよ。」
頭上やすれ違いざま、俺達を興味深く眺める奴、勝手な妄想や憂さ晴らしの標的にする奴、そんなのもきっといるんだろう。俺だってそんな奴とは関わりたくはない。俺は確かにこういう場所に身を隠していることもあるから慣れたとは言え、面倒なことに変わりはない。
それに、特にこいつに至っては…一度いいカモになりそうだと向こうから判断されれば、そいつの興味も湧くだろうからな…。
「目合わすと厄介だからな。」
とにかくそう言っておくしかなかった…。
しばらく歩くと、また横からの道が交わる。交差している道は広く、目の前は広場のような空間で、俺達が来た方以外の三方向を高層住宅に囲まれているが、広いその空間に若干の西日が入っている。その広場の周辺、小さい店が入っている箇所がいくつかある中に、古着の並んでいる店があった。おそらく結蓮の知り合いとはあの店主のことだとすぐに把握する。
明るいだけあって、さっきまで俺達が見てきたものよりはまだマトモな空間のようで、古いがしっかりした服を着ている母親と子供の姿もある。その空間の様子に、隣の人間の安堵を感じながら、俺達はその店に向かった…。
「あんた、結蓮の妹ね。」
「…そうです。」
「…ホント、聞いた通りだよね。」
一見やや気の強そうに見えた女店主が、店の布を持って行った俺達を見て笑った。
「こんなところに来るような人たちじゃないと思ったからさ。オツカイでも頼まれた?」
「そう…なのかな。」
使われている自覚がなさそうな、ぎこちない返事をするミミドリに少し笑いが込み上げてきてしまった。
「アンタのことも聞いてるよ…。来るとしたら二人で来るかもってさ。」
「…まぁ、そうだろうな。」
「いい用心棒さん。」
「…そりゃどうも。」
結蓮は一体どれだけ俺の事を漏らしてくれたんだか。確証はないが…。
「きっとそこらで聞くような巡り合わせじゃないんだろうね…。お似合いだよ。」
この言葉と俺の肩を軽く叩く様子からするに…俺達がそこそこ長い関係であること、軽薄な付き合いではないことは、おそらく知られている。
「…デートってんなら、こんなとこはさっさと出なさいよ。そこらの大通りに行ってみるといい。そしたらもっと露天商とか大きい店とか色々あるからね。」
…お前も露骨に下向くなよ…。
