古傷 ― Episode 1 Mimidori

ちょうどそちら側に背を向けて横になって丸まっていたので、正確な判別はできない。
それでも、なんとなくわかる。

…見られたくないような、そんな気もしたけれど…。

「……こっち向けよ。」
静かにそう言われて、やっと確信が付いた。
でも、顔を見せるのにはまだ抵抗があって…恐る恐る、後ろを向きかけたところで…。
…伸びた腕に抱き寄せられた。

額を埋めて目をつぶって、景色は真っ黒だった。でも、すごく安心した。
抱きしめられたまま、何もせず、ただ息をしていると、自然に、意識の境界がわからなくなってきた…。


◇   ◇   ◇


「……寝てるの?」
部屋の扉を再び開いて入ってきた結蓮が、静かに聞き、布団にいる…話の当の本人を横で抱いているクールが、返事をした。
「…寝てる…。」
「…よっぽど寂しかったんだね…。」
そう小声で言う結蓮は、さっきまで布団の中で小さくなっていた彼女が穏やかに眠っているのを見て、安心していた。
「…でも、いいの?」
「…何が?」
「……急にこんなになって…。」
「……別に、いいよ。しばらく暇だったし…。」
そう…と返して、ゆっくり扉の前に戻る結蓮。

「…じゃあ、またしばらく一緒に居てやってよ…。」
扉の前からそう言って、返事代わりにふうと息を吐く彼を見ながら、部屋を出た…。
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