———Cool

そして、更に数十分後。

部屋でベッドに座っていたミミドリの横に自分も座って、もう一つの箱を見せた。箱には気付いてはいたらしいが、中身を見せても、動揺からか、中身から俺の顔に目を移してくる。
「…これは…?」
「見たまんまだよ。」

中身は、シルバーのリング。
季節の風景を理由に思い立ったこととは言えど、賞金の話に目を向けたのは、このためだ。
…貰った方のケーキは自分で選んだものじゃないからな。

片方を指にはめてやったら、やっと実感が湧いたようで。それでも不安そうなのはいつものことだとは思いつつ…。
「嫌だった?」
「…ううん…。」
嫌なわけではない、ってのはこっちの想像や憶測でしかないんだろうが。今までの経験からして、こいつはきっと自信がなくてこんな反応をしてるんだろうということだけは分かっていた。
「…特別今までと変わるわけじゃねぇから心配すんな。」
もちろんこの言葉通り、特別何かをするってわけでもないし、これがあるからと言ってお互い今までよりきつい縛りを設けるわけでもない。
「…でも、ホントにいいの?」
ただ…この街に来る前まで一般社会で育ったこいつにとってみれば、これはおそらく、今後しばらくの未来を決める一つの重い決断…のように映っているに違いない。
実際、俺だってそこについては考えたつもりだった。これを渡すということは、証明でもあり、そう簡単に離れることが許されないということでもある。
「……証明が欲しくなったんだよ。」
それでも結局、今言えることはこれに尽きる。

…今までのことを振り返って、もうこいつしかいないんだろうと俺が思っているからだった。

「…俺は何が欲しいってわけじゃねぇんだよな。」
抱き合ってしばらくして、俺は思い返しながら言った。

「これでお前が〝プレゼント〟になったよな。」
4/4ページ
スキ