———Cool

数分後。
「…彼女は元気?」
「あぁ。」
店主が金を取り戻すついでに男の両腕と両脚を拘束し、俺がいよいよこいつを連れて行くだけになった段階で、店主が言った。
「…今度、イブの日にまたここへ来なよ。彼女にケーキ持っていきな。アンタには助けてもらったしね。」

…こうして、予定外ではあったが、思わぬ〝プレゼント〟を貰っちまったというわけだ。

そして、12月24日の夜。
双子の兄妹のいるバーは相変わらず賑やかだった。
「…あら、おかえり。」
入ってすぐ、結蓮がこっちに気づいて放った言葉に、次いで客と結蘭が反応し始めた。
「お、ダンナが帰ってきた。」
「…んだよそれ…またあいつに?」
「悪いかよ。」
…しかし持ってきたケーキを見せてやりたい人間の姿は見当たらず。
結蓮が小声で耳打ちをしてきた。
「…今寝る準備してるから。あんたも軽く何か食べてから行きな。」


その数分後。
例のあいつがクリスマスがどうという話を考えているのは当たり前といえば当たり前だが、その話を結蓮から聞かされていた。
「あなたに何をしたらいいか、よくわかんないってさ。いつも言ってるよ。」
「…別に俺はなんか欲しいわけじゃねぇしいいよ。」
「…でもそういうあなたは…ケーキなんか持ってきちゃって。」
「…あれは貰ったから持ってきてやっただけだよ。」
「…ふーん。」
「……。」
「…まだなんかあるみたいだけど…。」
ケーキ以外にもう一つ俺が持っていた箱。その正体は、まだバラすわけにはいかない。あいつに教えられては困る。
「…まぁいいわ。あんたも帰ってきたし、明日はみんなでいいお料理でも食べようか。」

…なんなら、直接他の人間に教える必要はない。
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