———Cool

12月の入りになっても、毎年のように、俺自身は今が真冬であることにしか実感が湧かない。綺麗な秩序なんか存在しないこの街の裏世界には、季節なんてものも当然、大して関係はなく。表社会との関わりも増えたとは言えど、浮ついた空気と離れた世界にしばらくいるだけで、あっという間に時間が過ぎる。そんな中でいちいち季節を気にしている余裕はない。

ビル街の中の目立たない通りやら裏路地。あるいは…スラム化しているかどうかを抜きにして…古い住宅街の路地や目立った場所の裏通り。
暗い場所のそこら中に、たったこの二日程度で、賞金が書かれたとある人間の張り紙を見るようになった。
俺はその時、この数ヶ月の間で拾うなり戦闘で相手が落としたものを頂戴するなりして溜まっていた、銃器のパーツやボロボロの銃そのものを、取り引きへと流し終わったところで、かなりの大金が手に入っていた。
賞金がどうという情報が表に出始めたのは、それが片付いて数日…俺ももうしばらくは大人しくしていようかと思っていたところだった。
大金があるということは、リスクはあるが、その金さえ盗られることがなければいい話で。少なくともこの月を越すまでは大人しくしている方が安牌だと…その時の俺には、別に賞金の話を追うつもりは無かった…はずだった。
それだけの話なら、大層下らない物語だったろう。

しかし、こんな街でも呑気な風を吹かせている社会がある場所を通った時、辺り一帯が季節を思わせる飾りで溢れかえって、そういえば騒がしいのが鬱陶しくて避けていたことがあったと…ここでようやく実感が湧いた。

…俗に言う、クリスマス。

ただその日が特別だからとか、神を祝う日だからとか、皆が下らない理由で贈り物の話をしているのが…昔は、馬鹿みたいだと思っていた。
縁遠いなんてわけでもなくなった今は…多少、そうやって下らない理由をつけたくなるのも、なんとなく分かるような気はする。
そこで、俺の考えは変わっていた。まだ先を越されていないのであれば…賞金の話を追ってみるのもいいだろう…。

おそらく賞金目当てであると…明らかにわかるような奴もちらほらいる中で、確実にいい結果になる保証はない。
だからこそ、決断は早い方がいい。
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