あの時に同じものを飲んでいたミミドリの様子、そして、クールがいない間の彼女の周りに微かに何か足りないような感覚があるのを思い出し、少し悩みつつ、やや率直に言葉を出す…ユイランなりに。
「…たぶん寂しいんだと思うけど…あと、アンタがいないと殺風景だよな…。」
しかし、クールには鼻で嗤われ、わざとらしくも、それでいて涼しい調子で、揶揄うような形で返されてしまった。
「…アンタもいよいよ、そういうこと言うようになったか…。」
「は…？…別にオレがお前に寂しいって言いてぇわけじゃねぇよ。」
「ハイハイ、そうかよ。」
だが、そのやり取りも…少なくとも昔と比べれば、お互いどこか気を許しているような雰囲気だっただろう。
傍にいたユイレンは、堪えていた笑いを抑えきれず、ふっ、と少し吹き出した。
クールがまた、向こうにいるミミドリを静かに眺めながら一つ…。
「…まぁ、俺は寂しいとか言われる奴には間に合ってるからな…。」
…お前は別にいいぜ…口には出さないが、若干まだ揶揄うようでもありながら、そう言いたいのが丸わかりな彼に、ユイランも、ついさっき彼がしたように鼻で嗤い、わざとらしく返した。
「へーへー、そうですか…。あんたの頭もだいぶお花畑んなったよなぁ。」
「あぁ…？知らねぇよ。」
頭がお花畑とは…盲目だと言いたいのか、少しでも惚気る者を言うのか…。彼は確かに、別段盲目というわけでもないが、ほんの少し無自覚かもしれない。

二人のやりとりを聞きながら相変わらず可笑しそうに笑っているユイレンと、文句を垂れるユイラン。
「…ったく、こないだから二人揃ってお惚気だよ～…。」
「いいねぇ～、んじゃ俺と付き合おうよ。」
「はぁ？嫌に決まってんだろ。っつうかしばらく男と付き合う気ねぇから。」
「えぇ～？」
ぶつぶつ言っていたユイランも、常連に絡まれながら、少し笑っていた…。