それはまるで、金の髪、黒い翼…

——— 1週間後

相も変わらず賑やかな、"風の魚"。
…しかし、今日は。
壇上の隅、机に置かれた画面や機器を前にゲームをしながら喋っているミミドリの姿。そして、その横…壇上中央に来るよう配置されたスクリーンに映る画面を、それぞれ笑ったり喋ったりしながら見ている客達の姿があった。

そのざわめきから少し離れた…以前彼女がいた辺りの場所に、今度はクールがいる。

「この前、あの子にこのお酒飲ませたんだけど、ハマっちゃったみたいでさぁ。あれ以来たまにこうやって飲んでるんだよ…。」
ユイレンが彼に、以前と同じ、あの透き通った金色のグラスを出して、言った。
「…この味とか匂いが、あなたみたいなんだって。」
それを聞きつつ、漂う香りをすぐに感じ取った彼は、ふっと鼻で笑う。
一見、普段の冷静・冷淡な彼と何ら変わりないように見えるが…彼がやや本心から笑っていることを、ユイレンはなんとなく悟っている。その証拠、と言うべきか、彼の表情は苦笑いに近く、少し緩い。

「……俺みたい、ねぇ…。」
表情はそのままに、一口飲んでから、彼は一つ、そう言った。

そこにタイミング良く、ちょうどユイランも戻って来て、クールの持つグラスと、彼の一言で、流れを察したようである。
「…あいつも心配なんだよ…。アンタがいない間さ。」
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