それはまるで、金の髪、黒い翼…
ユイレンが持つ瓶には、ややはっきりとした、黄色の液体…おそらく酒と思しきものが入っている。それを氷の入ったグラスに少し注ぎ、炭酸水を加えると…。
「ちょっと苦いんだけど…どうかなぁ。」
ミミドリの目の前に出されたグラスの中身は、淡い金色に輝く、透き通った飲み物になっていた。その見た目と香りに、出された本人は何かを感じたようで、少し戸惑いながらグラスを手に取る。
…ハーブのような、少しツンとしているが爽やかに抜けていく良い香り。飲むと一番先に来るやや強い苦味。しかし、喉を通った後には、飲む前と同じツンとした爽やかな香りが長く残り、彼女が至ったのは、何か、綺麗だが鋭いものの感覚…。
そう、彼女は思い出した。
今この場にはいない、"彼"の姿を。
彼が気を張った時の態度や知力は、鋭く冷たいもので。すごく苦くて…。
「…どうだった?」
ほんの少し顔が緩んだような彼女に、ユイレンが聞いた。
「…苦いけど、美味しい。」
「でしょ?」
ユイレンはやはり最初から何かの意図があるようで、得意気だった。
「ミント系?ハーブ?」
「これはね、色んなハーブとか根っこが使われてるんだけどね…実はその中に、アンジェリカっていうハーブがあるの。」
「………。」
少し笑って、ややわざとらしく彼女に言ってみせたユイレン。彼女はユイレンの意図がようやくはっきり読めたような気がして…そして、やはり想像した通りだった気がして…照れなのか呆れなのかわからない、込み上げる笑いで口元が緩み、ふふ、と震えていた。
「…おっ、もしかして彼氏の話か?」
彼女の隣に座っていた男も、話の内容から何かを察し…彼女と一緒にいることの多い"彼"の話題を上げた。
「や~っぱりそれかぁ~。」
笑って頭を抱えた彼女の様子を見て、ユイレンも、うまく行ったと思ったようだ。
「…もしかしてホントにあの人のこと考えてた?」
「…うん。」
照れくさそうに、ただ笑って頷くミミドリと、呆れたようではありつつも、彼女のことを少し羨むように笑うユイラン。
「またそういうこと言っちゃってさ…。いいよな~頭お花畑で!」
「な、なんだそれ…。」
…彼は今どうしてるんだろう?
彼女はそんな思いを心の片隅に置きながら、苦味と爽やかな香りの酒と共に、穏やかな時間を過ごした。
「ちょっと苦いんだけど…どうかなぁ。」
ミミドリの目の前に出されたグラスの中身は、淡い金色に輝く、透き通った飲み物になっていた。その見た目と香りに、出された本人は何かを感じたようで、少し戸惑いながらグラスを手に取る。
…ハーブのような、少しツンとしているが爽やかに抜けていく良い香り。飲むと一番先に来るやや強い苦味。しかし、喉を通った後には、飲む前と同じツンとした爽やかな香りが長く残り、彼女が至ったのは、何か、綺麗だが鋭いものの感覚…。
そう、彼女は思い出した。
今この場にはいない、"彼"の姿を。
彼が気を張った時の態度や知力は、鋭く冷たいもので。すごく苦くて…。
「…どうだった?」
ほんの少し顔が緩んだような彼女に、ユイレンが聞いた。
「…苦いけど、美味しい。」
「でしょ?」
ユイレンはやはり最初から何かの意図があるようで、得意気だった。
「ミント系?ハーブ?」
「これはね、色んなハーブとか根っこが使われてるんだけどね…実はその中に、アンジェリカっていうハーブがあるの。」
「………。」
少し笑って、ややわざとらしく彼女に言ってみせたユイレン。彼女はユイレンの意図がようやくはっきり読めたような気がして…そして、やはり想像した通りだった気がして…照れなのか呆れなのかわからない、込み上げる笑いで口元が緩み、ふふ、と震えていた。
「…おっ、もしかして彼氏の話か?」
彼女の隣に座っていた男も、話の内容から何かを察し…彼女と一緒にいることの多い"彼"の話題を上げた。
「や~っぱりそれかぁ~。」
笑って頭を抱えた彼女の様子を見て、ユイレンも、うまく行ったと思ったようだ。
「…もしかしてホントにあの人のこと考えてた?」
「…うん。」
照れくさそうに、ただ笑って頷くミミドリと、呆れたようではありつつも、彼女のことを少し羨むように笑うユイラン。
「またそういうこと言っちゃってさ…。いいよな~頭お花畑で!」
「な、なんだそれ…。」
…彼は今どうしてるんだろう?
彼女はそんな思いを心の片隅に置きながら、苦味と爽やかな香りの酒と共に、穏やかな時間を過ごした。
