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やや狭く人ひとりいない漆黒の路地。僅かに明かりを照らしながら、急いで通り抜ける者たちがいた。

〝 おう、うまくいったか。 〟
「あぁ…。」

停まっていた車に転がり込んだ男たちがすぐにドアを閉め、運転席の男が小声で何者かと通話を始める。

〝 厄介なのに見つかんじゃねぇぞ。 〟
「わかってるよ。」
〝 取引は成立だな。 〟
後部座席側、男の片腕に抱えられるような形で捻じ伏せられている、男たちより小さい、もう一人の人影。
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…入口の外にいる結蓮を眺めていた結蘭のもとに、この事件を予期していたとでも言うように、黒い翼ことクールが現れた。
「…おい。あいつは…。」
声をかけられて返事をしようと思ってはじめて、結蘭はその事実を認めた…。
「…いない…さっき…連れてかれた…。」
俯きながら返事をする結蘭をよそに、クールは静かに、しかし焦ったように、大きなため息をつく。
…一足、遅かったのだ。

彼こそが、謎のメッセージを受け取った本人。
メッセージの詳細は確かに謎だが、失うものにだけはなんとなく心当たりがあった。
嫌な予感がして、急いでここへ来た結果、その予感は的中、そのうえ当の彼女がたった今、どこかへ連れていかれたところだったのである。

だが、まだ手掛かりはあった。
「…あの…あいつが騒いでるのを片付けに行ってる間に…。」
「……あれか。」
先ほど粘っていた男。明らかに普通の物とは違うスーツを着ているのを見て、彼は何か思い立ったように歩き出した…。

「…何があったの？」
「…ちょっとそいつに用があんだよ。」
状況を知らない結蓮は不思議そうにしているが、彼は構わず、地面を這いつくばって逃げようとした男に、声をかけた。

「貴様、どこの組織だ。」