悪路

「あぁっ…。いっ…てぇ…。」
…痛い。それと、びっくりした。
情けない声が出ちゃったよなぁ、と思うと、顔がだんだん熱くなってきた…。
「…おいおい…。」
一緒に歩いてたクールが近寄って来る。

私はたった今、足をちょっとグキった。
…というのも、今歩いてる路地がレンガ敷きになってるんだけど、だいぶ古いというか、道が悪くなってるみたいで、石の一部がビミョーに盛り上がってたり沈んでたり。その小さい段差ができてるところに足をついてしまったせいで、足首を変な風に捻って、盛り上がってる方から凹んでる方に、その足がズルっと滑り落ちた…。

「こういう道はいっぱいあんだから…ちょっとは気をつけろよ。」
ちょっと呆れた感じで言われた。確かに不注意と言えば不注意なんだけども…。
まぁ、そこまでは良かったんだよ。
「歩ける?」
「…大丈夫だと思う。」
返事にはちょっと迷ったんだけど…。実際、たぶん歩けるだろうとか思っちゃったし、恥ずかしすぎて頭が熱いから、何も言えなかった。
ヤバかったのはその後でした…。
「!?」
歩き出そうとして、捻った方の足に力入れたら、足首にすごい痛みが…。たぶん、骨、ではないとは思うんだけど…。これは筋だな。
痛いから変な歩き方になるし、案の定、気付かれた。逆に、この歩き方で何も気付かれないなんて、それは無理がある…。
「…痛いの。」
笑いながら聞かれた。
…黙って頷いたら、また笑いながら、腕を差し出されたので。今、さっきよりも顔が熱い。
「ハイハイ。しょうがないねぇ。」
所謂、お姫様抱っこってやつだ、これは。たぶん今、私の顔は真っ赤なんだろうな、と思う。
「…無理すんなよ。」
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